50~62集(大結局)
土木の変から奪門の変を経て、大結局。 最後まで後宮ドラマにはならず、政治ドラマと皇帝一家という特殊な位置にある家族のドラマとして興味を途切れさせずに見終わることができました。
以下ネタバレしてるので立ち入りご用心ください。
皇帝がオイラトに囚われて、それにどう対応するか混乱する明朝朝廷。太后孫若微は母としての気持ちを横において、胡善祥の息子朱祁鈺を新たな皇帝に立てる。その胡善祥はしばらく姿を見せないうちにとんでもないDV母になっていて、息子もその妻も怯えながら暮らしている。当然彼女にしてみれば先皇朱祁鎮が戻ってくるのは望ましくないわけで、息子の帝位を確実なものにするために、祁鎮を取り戻そうとする孫若微らの邪魔をし、孫をさっさと太子にしろ、この無能ものと皇帝になった息子を責め立てる。
失意の孫若微を支えるのはかつて靖難之変の遺児として共に朱家への復讐を誓った徐濱、永楽帝が朱瞻基に与えた有能な家臣である于謙。
オイラト族に囚われた朱祁鎮は辛酸をなめるが、オイラト族の娘其木格との間に愛情が芽生え、男の子も生まれる。その朱祁鎮の元に徐濱が使者として訪れ、以後苦難を共にしながら朱祁鎮を教育。バカ殿に過ぎなかった朱祁鎮が人間的に成長していく。
徐濱の働きもあってようやく朱祁鎮は妻其木格と息子を伴って、北京に戻ってくる。しかし、彼を迎えた弟の現皇帝朱祁鈺はすっかり人格崩壊していた。彼の念願であった息子の立太子が決まったその夜。これ以上、夫の母の虐待に耐えられないと皇后が息子ともども自死してしまったのだ。それ以後、皇帝も胡善祥もすっかり人格崩壊。
宮殿内の隅っこのぼろ屋に軟禁され、赤ん坊の布団もろくにない生活にも耐える日々ですが、それなりに落ち着いた生活。朱祁鈺は其木格が短剣を持っていたのは自分を刺すためだと難癖をつけて、彼女を殺してしまう。これで朱祁鎮も人格崩壊。オイラト族のところにいた方がよほど幸せだったでしょうな~。
朱祁鎮は手先になる家臣を見つけて、奪門の変を起こします。これが成功し、彼はもう一度皇帝になりますが、質の良くない功臣たちの要求で于謙を死罪にしてしまう。于謙は高潔な人物に描かれています。
これで、母孫太后は息子に三行半を突き付けます。
死を目前にした胡善祥と靖難之役以前の子ども時代のように笑いあい、彼女を看取る。
そして、すべてを失った自分ももう死が近いという孫若微のもとに徐濱が現れる。彼は朱祁鎮に孫太后を死なせ、孫若微を自由にしてやれと求めるんですね。そして、ラストは徐濱と二人で海を渡っていく孫若微。
冒頭の場面から、きちんと一周して元のさやに納まってエンディング。言ったらなんですが、最近の中華ドラマ、途中で終わっちゃうのが多いので、こういうきちんときれいに終わってるの貴重です。
公には孫太后は死んだことにしたので、歴史はゆがめてないという整理でしょうか?こういう終わり方、初めてではないと思います。もう随分昔のドラマ「天下堂々」の平賀源内の「死」もこんな感じでしたよね~と年がばれるw
奪門の変で功臣となった石亨らがこの後専横を尽くすし、以後の皇帝のあれこれがどんどん明王朝を衰退させていくのは歴史的事実。朱家というのは権力のために手段を択ばない歴史があり、徐濱が朱祁鎮にもその血が流れてると孫若微に言ってますがまさにその通りの展開。
永楽帝、洪煕帝、宣徳帝と三代にわたって好調だった明王朝も傾きだしたところで終わるドラマなので、せめて孫若微個人レベルでハッピーエンドを演出してみたというところでしょうか?
今回視聴分の主役は孫若微と朱祁鎮、朱祁鈺、徐濱?
同い年とはいえ一応弟の朱祁鈺の方が年上に見えるのには苦笑するしかないですが、小さいころは賢い子だったのにDV母のせいですっかり根性なしで陰険な人物に代わってしまった朱祁鈺の壊れ具合の演技も見ものでした。
朱祁鎮の張藝興。これまで見たイケメンヒーローからレベルアップしたものを感じました。当初余計な心配したようです。
孫若微の湯唯を初めて見たのは、デビュー作の「色/戒」。大胆なベッドシーンが話題になりましたが、私は映画俳優としての彼女の覚悟を見たように感じていました。今回もよかったです。
徐濱の喬振宇は途中、鄭和と共に海に出ちゃって姿を消しましたが、帰ってきたらおいしいところ持っていきました。
最近の中国の歴史ドラマでは衣装やセット、小道具なんかの豪華さがよく話題になります。このドラマもそういう面はあったかと思います。私はそれよりオイラト族に囚われている朱祁鎮や徐濱の着物がどんどん劣化していく様子、雪の中で凍死を図った朱祁鎮の体をこするとボロボロ垢が出てくる、返り血の表現とかちゃんと寝るときは夜着を着てるとかそういう華麗でもなんでもないところに目を引かれました。細かいところが油断なく作りこまれているのって、ドラマ全体を引き締めると思うのです。
こういう点も含めて最後まで個人的好感度は高かったのですが、やっぱり永楽帝と三人息子に孫一人の時代が一番面白かったです。
演 員 角色
汤 唯 饰 孙若微(孝恭皇后)
朱亚文 饰 朱瞻基(明宣宗)
邓家佳 饰 胡善祥(胡皇后)
乔振宇 饰 徐 滨
吴 越 饰 张 妍(诚孝昭皇后)
梁冠华 饰 朱高炽(明仁宗)
张艺兴 饰 朱祁镇(明英宗)
王学圻 饰 朱 棣(明成祖)
俞灏明 饰 朱高煦(汉王)
栾元晖 饰 朱高燧(赵王)
师悦玲 饰 胡尚仪
巴 森 饰 瓦剌也先
苏 可 饰 于 谦
李昕亮 饰 朱祁钰(明代宗)
曲尼次仁 饰 其木格
孙耀琦 饰 双 喜
张 浩 饰 杨士奇
姜 洋 饰 杨 荣
杨维奇 饰 杨 溥
李 泰 饰 郑 和
黄德毅 饰 王 振
職員
制作人 姚昱竹
监 制 谢颖、范惠梅、伍星焰、谢佳慧、曹力宁、张黎
原 著 莲静竹衣
导 演 张挺
编 剧 安建、戴津、张挺
美术设计 赵海
造型设计 张叔平、张世杰、刘博
服装设计 张叔平