江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

三千鴉殺

1~30集

f:id:maimaimaigo:20200426211916j:plain


 タイトルが気になって見始めたドラマです。

 このタイトルを目にして思い出すのは、高杉晋作が作ったという都都逸三千世界の鴉を殺し 主と添い寝(or朝寝)がしてみたい」いかにも粋人の高杉晋作らしいとずっと記憶に残っています。

 どうもこの高杉の都都逸が中国でも知られていて、このタイトルになったんじゃないかとTwitter上で話題になりましたが、ほんとうのところはどうなんでしょうね?

 

 タイトルがらみの感想を書きたいと思います。どうしてもネタバレしてしまいますので、画像から下の立ち入りご用心ください。

 

f:id:maimaimaigo:20200426212016j:plain

 

  物語は大驪国が左相国の手引きで天原の妖兵に滅ぼされるところからスタート。一人生き残った皇帝の娘燕燕は復讐と無残な扱いをされている民を助け、国を復興させることを誓う。
 彼女は、自分をかばって殺された侍女阿満の姿に変身し、覃川と名乗り、宿願を果たすために必要な霊灯を手に入れるために行動を開始します。


 覃川と仙人傅九雲、堂姐の玄珠と左相国の息子左紫辰の二組の恋愛関係がこの復讐劇に並行して語られます。ありがちな恋愛ドラマとかの展開だとヒロインにつらく当たるライバル、いずれ闇落ちというパタンの位置にある玄珠がきちんと性格付けがされていて、覃川に対する劣等感、もともと燕燕とよい関係だった左紫辰が今は自分を愛しているという自信の持てない自己肯定感の低さ、それに対して自分も大驪国帝室の血を引くものだというプライドとかが表現されています。この位置にある女性キャラというとやたらに根性悪だったり、けたたましかったりするか、べたべた甘ったれだったりしてあまり好ましい印象を残すキャラはいないんですが、今回は上出来だと思います。

 彼女が思いを寄せる左紫辰はもともと燕燕が好きだったのですが、物語が進むにつれて玄珠の気持ちを受け入れていく変容も見どころでしょう。

 ヒロインの覃川は、自分は大驪国の帝女だというプライドと高い使命感からすべてを捨てて大驪国のために生きると決意しています。その彼女をずっと見守り、陰に日向になって助けてきたのが傅九雲。覃川は霊灯を手に入れ火をともそうとしていますが、それはすなわち霊灯の灯心の化身である傅九雲の死ということになります。

 ドラマ後半で深く愛し合うようになった二人。覃川は傅九雲の犠牲を受け入れることができない。しかし・・・

 ということで、傅九雲の犠牲で妖族を一掃し世界に平和が戻る。


 ここで終わっておけば普通なんですが、これからまた一ひねりした話が続きます。
 霊灯に吸い込まれていく覃川。彼女が目を覚ますと少女に戻っていて、死んだはずの父や母たちに囲まれた楽しい大驪国の日々。おいおい夢落ちかい~とがっくりしたが、よく見りゃ燕燕の顔は「阿満」の顔。元の世界とはずれた別世界になっているようです。ここから、さらに傅九雲の残した絵の中に吸い込まれて、傅九雲と再会するエンディング。

 つまりこのドラマでの三千世界の鴉は、元々の世界それ自体だったということでしょうか?覃川にしたらようやく復讐を果たし、取り戻した平和な世界なのですが、そこには愛する傅九雲はいない。そして、新たな世界での彼女は徐々に傅九雲や彼との思い出を忘れていこうとしている。その状況で絵の中の世界での再開です。愛する人とともに生きるために、外の世界を捨てる、つまり三千世界の鴉を殺してしまったのかなと無理やり解釈。
 余計な「その後の二人」とか「その後の物語」を付けてしまって、そこまでのドラマはなんだったんだとなるケースも多いのですが、このドラマの場合タイトルに結びつけるためにはこれも必要だったのかもしれません。


 まあ、予想してたよりはずっと面白かったし、何よりキャラ同士の関係を興味深く見られたので、無事最後までたどり着きました。

 なのに、いまだに四苦八苦してる「上古密約」って・・・しかも悪いことにまだ見てはいるのです。


 配役的には傅九云にこのところよく見る鄭業成。今回は配音も自分でやってます。覃川をひたすら愛するかわいい恋する男の面と彼女のいないところで見せる表情の落差がよいです。

 覃川の趙露思は「哦!我的皇帝陛下」の時よりずっといい感じでした。

 左紫辰にはこちらも最近よく見る劉怡潼。もう父親抜きで知られるようになった感じです。若手がどんどん力をつける機会を与えられるのはいいことですね。

 

4/29追記

 やはりこのタイトルは高杉晋作都都逸からとったのだと原作者自身が述べていると教えてもらいました。

f:id:maimaimaigo:20200426212354j:plain



演 員     角 色    配 音
郑业成  飾  傅九云     郑业成
赵露思  飾  覃川・阿满   赵露思
刘怡潼  飾  左紫辰     史泽鲲
王萌黎  飾  玄珠      白雪岑
蒋依依  飾  帝女      徐佳琦
代云帆  飾  雳渊      陈张太康
毛方圆  飾  亭渊      凌飞
王春元  飾  香取山主
张兴哲  飾  左相      刘琮
李路琦  飾  眉山君     李路琦
李明峻  飾  白公子     张思王之
许梦圆  飾  翠丫      刘晴
丁子玲  飾  秋华夫人    李金艳
过齐鸣  飾  国师・南蛮妖王 
张鼎鼎  飾  青青      贺文潇

職員
出品人  张华立、张勇
制作人  唐藩、陆国强
監 制  郑华平、谢邻、梁德平、杨喜卿、芳菲、张志红
原 著  十四郎
導 演  回宇
編 劇  赵天佑
美術設計 曹润辰
造型設計 秦岩