江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

2020年版鹿鼎記 その1

1~10集

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 金庸作品の何度目かのドラマ化がいくつか進んでいるなかで、「あれ?これが先?」と思ってしまった。まあ時期的には同じくらいに作ってたんでしょうが、「神雕侠侶」や「天龍八部」の話に比べてあまり話題にのぼってなかったんでちょっと意外でした。

 「鹿鼎記」というと周星馳の映画を初め、1984年の梁朝偉劉徳華版、1998年の陳小春、馬浚偉版、2008年の黄暁明、鐘漢良版、2014年の韓棟、魏千翔版に大改編された2000年の張衛健、譚耀文版の「小寶與康煕」とたくさんの先行作品を見てきています。

 84年版とか98年版は名作、経典という評価も固まっているようです。(個人的にはハチャメチャ改編の「小寶與康煕」も大好き)

 そこに登場してきた張一山と張天陽が韋小宝と康煕帝を演じる今回の「鹿鼎記

 いつものように中華サイトの評判はものすごく悪いようですが、とにかく「金庸」だ、「鹿鼎記」だと「燕雲台」その他を後回しにして、早速視聴開始しました。

 

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 張一山の韋小宝は、見かけは原作に沿ってるけど、まるで猴だ、孫悟空だというような評価を多く見かけます。確かに、額に血管浮かして滑稽な表情しよう、大げさにおもしろい顔しようとしている張一山を見ているのはちょっと辛い。黄暁明の時もちょっとそういう感じはあったんですが、今回は全編がそんな感じ。

 張天陽の康煕と二人、少年時代を演じる子役を入れずに、いきなりの登場です。そして、いくらなんでもこの二人で延々と子ども同士のじゃれあいを演じるのには無理があるとは思ったのか、韋小宝が小玄子の正体を知るまでがものすごく短い。

 

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 「鹿鼎記」というのはいろいろな解釈で映像化がされていますが、私の解釈ではどの作品も韋小宝と康煕の友情がドラマの根幹を貫いていると思うのです。時と共に悪ガキ仲間が、君臣となり、やがて分かれていくのですが、それでも少年時代のあの戯れあった時代がベースにあっての二人のドラマ。
 見方は個々それぞれでしょうが、韋小宝の7人の妻とかがアイキャッチャーでも、あくまでも二次的なものだと思うのが私の見方。

 そこから行くと今回のドラマ、あっという間にその部分を通過してしまいました。科白の中ではもう少し時がたってる気もしますが、ドラマ見ている感じでは小宝が小玄子と出会った翌日には彼が皇帝だと知って、鰲拝に噛みついてるように思える・・・なんか慌ただしすぎて情緒に欠けるというか友人としての二人の関係が深まらないうちに君臣に変わってしまってもうそれ以外の関係が存在してない気がする。

 ただ、50集あった黄暁明版と比べても、そんなにドラマ自体の展開が早いわけでもなく、ほぼ同じ程度。10集で劉一舟たちを逃がす話前後に来ています。

 じゃあ、はしょった部分がどこに回っているかというと「ドタバタ」じゃないかと・・・

 

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 今回唐艺昕の演じる建寧公主の出番がうんと増えていて、彼女がらみでオリジナル展開も出てきました。他の「妻」たちに比べて、経験も人気も十分な彼女だからこその配役と見えます。
 ただ、やっぱり彼女も無理してドタバタを演じているように見えてならないのが苦しいです。

 「鹿鼎記」にはコミカルな一面もありますが、けっしてドタバタ喜劇ではないと思うんですけどね~

 その感じを強調してしまうのが、BGM。今回のBGM、まるで往年のハリウッド映画のドタバタ場面のような音楽とか、バンジョーのハイテンションなウェスタン調の曲とか、どこかで聞いた覚えのあるようなコメディ映画の曲っぽいのとかが次々と出てくる。そこだけ聞いてると、懐かしのアメリカシットアップコメディ見てる気になってしまうのは、よくない気がするw

 海大冨の田雨、陳近南の王陽は「慶余年」でおなじみなわけです。新丽电视文化がどちらに関わっているからでしょうか?

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 鰲拝は劉天佐、誰かわからないほどのメイクですが、何度も鰲拝を演じている徐錦江バージョンへのリスペクトを感じて好感です。

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 評価がめっちゃ悪い本作、原作や既存作品への思い入れが強いほど、新しいドラマへの抵抗が強くなるのは致し方ないとは思います。でも、今回のドラマ、やっぱりドタバタしすぎと思うし、BGMなんとかしてくれ~というのを別にするとまあまあ普通に見ていられるのです。原作へのリスペクトが全く感じられなかったアレコレに比べりゃ

 ということで、大陸評価サイト本年度最低ポイント更新したとか言う本作を結構楽しく見ている迷子でした。