1~11集
次々出てくる中華なBL改編ドラマ。「鎮魂」「陳情令」のヒットの後、「商品価値」が上がったということなんでしょうか?次々と登場する耽改劇、これも制作が始まったのは2018年。今まで出てこなかったのが、突然出てきたというのは「墓王之王」と同じ。易柏辰、二連発w
最近では「耽改」という言葉もすっかり目になじんでしまいました。耽美小説とか言われると真っ先に谷崎潤一郎とかが思い浮かぶ人間としては、耽美=BLというわけではないだろと苦笑もしておりますが、使いやすい表現ですな「耽改」w
で、この「恨君不似江楼月」は民国期を舞台にした警察官と医者を主人公とする「耽改」っぽいドラマ。原作のないオリジナル脚本らしいので「耽改」とも言えないらしい。
なので、「鎮魂」の前半とか「SCI謎案集」のような方向を期待したんですけど、ちょっと当てが外れたかもしれない。
茅子俊が演じる主人公1の江月楼はアヘンに強い憎しみを抱く景城警察署の科長。アヘン密売に関わる事件になると暴走気味。
易柏辰の主人公2の陳余之は医者。おせっかいなまでに医者の使命を果たそうとしている。
ある夜、江月楼がアヘンの取引現場に乗り込んだところに、「たまたま」居合わせた陳余之を誤認逮捕。陳余之が拘束されている間に彼の13歳の妹可盈が誘拐され、香港に売り飛ばされてしまう。
陳余之は妹を探して香港へ。江月楼も密売組織を追って密かに香港へ。
そこで負傷した江月楼は「たまたま」逃げ込んだ先の娘楚然に助けられ、その楚然が治療を頼んだ医者が「たまたま」陳余之で、その上彼女のバイト先の喫茶店の客が「たまたま」密売組織のボスルーカスで・・・と、白けるほどの「たまたま」が積み重なった結果、ルーカスは銃撃戦で死亡。せっかくの高雄でもっとゆっくり美爺見たかったのに残念。
陳余之の可盈のことを聞いた江月楼は自責の念にかられ、彼女の救出に協力すると言い出す。
アヘンのことも妹のこともこれといった成果が上がらないまま、舞台は再び景城へ。
彼らに関わった楚然も景城へと移動。彼女の継母が無理やり決めた「結婚」が「たまたま」警察署の江月楼を敵視する金大成の妾になることだったとか、江月楼と陳余之の家が「たまたま」すぐ近くで、猫を知らないうちに共有してたとかまた「たまたま」連発しています。
可盈は景城の有力者展君白の助力で発見され、景城へと戻ってきます。しかし、迎えに行った江月楼の目の前で車が爆破されてしまう。
悲しみにくれる陳余之。江月楼に協力してアヘンを密売し、少女たちを誘拐している組織金馬堂に立ち向かうことを決める。
そしてまた「たまたま」彼の医院に金馬堂の一人が来たことから、それを警察に連絡。彼は逮捕されるが・・・
とまあ、事件も「たまたま」を連発しつつ、陳余之が罠にかけられて、警察に捉えられたところで11集。
「鎮魂」で「たまたまなんかあり得ない」と趙雲瀾が言ってましたよね~w
どうにも話が強引で、「たまたま」に頼り過ぎなのが気になる。「耽改」でもなんでもいいけど、大枠の展開がしっかりしてほしいと思う。
主人公二人の関係も今のところ一方的に江月楼が好意を持っているだけ、それを彼の部下二人が揶揄してるとしか見えない。茅子俊もけっこうたくさん見てるんだけど、男主1というのはこれが初めて?よかったね~とそっち方向でも好奇心がありました。で、こういう走火入魔的な刑事という役が似合ってるかどうかですね~恋する男主ならお似合いだと思うけど。
もう一人の主人公易柏辰は同時進行の「墓王之王」でも主演してますが、こちらの方が上手になってるとは素人目にも思う。でも、巻き込まれ被害者っぽいこの役が彼の持ち味とマッチしてるかどうか、現時点で私にはちょっと疑問。
多分また「艮墨池」の陳雨成も「墓王之王」に次いで共演してます。同じような役回りが続くのは本人にとってどうなんでしょうねえ?違ったらごめん!ですがw
ただ、ここまで見た感じでは彼の役が一番面白みがありそうではあります。
さらにヒロインの位置にある郭姝彤が演じる楚然、江月楼との「たまたま」な出会いが連続、これが他のドラマなら二人がいい関係に~となるんでしょうが、はて?
楚然に関わって一番印象的だったのは、江月楼の止血のために使った血まみれの布きれを捜査にきた警官に見とがめられた彼女が「不好意思~警官」とおなかを押さえると、男性警官がびっくりしてゴミ箱を投げ出して帰っていくというシーン。女性の生理をごく普通にストーリに取り入れているところには好感が持てました。
まあとにかく陳余之と可盈は暴走する江月楼に巻き込まれた被害者という感じなんですよね。けど、エンディング見てると、可盈・・・?
私的にはもっとミステリ方面がきっちりしてる方が好ましいんですけど、抗毒ドラマとかの方向でいくんでしょうか?警察内に内通者がいるとか、景城にはびこる黒組織とかいろいろ要素はあるんですが、頼むから楚然の親とか結婚相手がらみのネバネバ方向にはいかないでいただきたいものです。
タイトルの「恨君不似江楼月」というのは宋代の詩人呂本中の「采桑子」という詞文からとったとのこと。
恨君不似江楼月 南北东西 南北东西 只有相随无别离
恨君却似江楼月 暂满还亏 暂满还亏 待得团圆是几时
主人公の名前が「江月楼」なので、絶対どっかで間違う!という極めてどうしようもない感想を持ちましたが、月に愛する者との別れの哀しさを託した詞はなかなか好みです。