怒火・重案
やっと見ました!
ネットで見るの我慢して、地元映画館にかかるのをじっと待ってました。ドラマならさっさとネットで見ちゃうけど、映画はできるならやっぱり「銀幕」で見たい。
待った甲斐がありました。最初の監督の名前の書き文字から萌えた。
これこそ香港映画、これこそベニー・チャン監督、これこそドニー・イェン、これこそニコツェといくつものこれこそ!!!が脳内に打ち上げ花火状態になるなか、あっという間に2時間強。豊かな時間を過ごせました。
もうみなさんがレビューやスタッフ、キャストの紹介もたくさんされた後なので、いまだ興奮気味のまま思いつくままにさせていただきました。
美しい暴力映画、という表現は不適切でしょうか?
画面には息もつかせぬバイオレンスシーンがあふれ、車がぶつかる、跳ぶ、銃弾も爆弾も飛びまくりはじけまくり、警官が吹き飛び、血が流れ、人が死に、ドニーとニコツェが殴り合う。
眼をそらしてしまってもおかしくない激しい暴力シーンの連続なのに、目が離せない。監督をはじめスタッフやキャストのプロ根性というか職人技が見るものを酔わせ、突き抜けた美しさを感じずにはいられませんでした。
甄子丹演じる張崇邦と謝霆鋒演じる邱剛傲の対比、二人に共通する身を焦がすような怒り、それが静かにぶつかり合う裁判の場面、取調室の場面、そしてラストバトル。
躊躇することなくかつての仲間を惨殺し、相手かまわずに銃撃、爆殺・・・今や悪そのものの邱剛傲。彼が将来を嘱望された警官からこのように変わっていった経過や理由を目つきや表情で見せる謝霆鋒がすごい。
特に武打星でもないはずの彼があの甄子丹と同格で渡り合っているのもすごい。ラストバトルで見せるナイフさばきはほんとに美しくて恐ろしくて・・・
スクリーンからあふれる邱剛傲の狂気、とどめのない暴力、それでも単純に彼を否定することのできないのは、警察や金持ちの腐敗に映画の外の世界をリンクさせるからでしょうか?
この数年謝霆鋒の映画がなくて、さかんに料理番組に出たり、クッキー売ってたりするのを見て、寂しさを覚えていたのですが、彼自身もよい作品に出会うのを待っていたとか・・・これでストレスは一気に解消されました。
甄子丹というと「一個人的武林」のような圧倒的な武芸を見せてくれる作品も忘れられません。でも、この映画はそれだけではなく、演技者としての存在感でも一回りも二回りも大きくなった姿を見せてもらいました。
張崇邦自身は正義を信じ、法を守る警官であることを貫こうとしています。でも、現実は悪徳警官や権力者と癒着した警官がいることもわかっているし、邱剛傲たちがそういう者たちに嵌められたこともわかっている。それでもあくまでも警官としてどうあるべきかにこだわり、それを体現している。そんな張崇邦は邱剛傲の所業を憎み、追い続ける。
映画の終わりまでに、邱剛傲は張崇邦以外の彼の仇、恨みを募らせてきた仇をすべて始末してしまっています。権力をもった悪を排除するには、また悪が必要とも思えてきますが、そこに正義を体現する張崇邦の存在が未来への期待を持たせてくれているようにも感じました。
甄子丹、謝霆鋒の他にも呂良偉、任達華、譚耀文らの香港映画の顔的なキャストがそろっています。勢ぞろい感があるのはキャストだけではなく、陳木勝監督のもと、アクション指導に甄子丹(導演)、李忠志、谷軒昭、谷垣健治とそうそうたる面々が名前を連ねている等スタッフも壮観です。
陳木勝監督の遺作となったこの映画、後世にそういう位置づけで残すのにふさわしいものだと私には思えます。この先、香港映画がこれを超す警察官を主人公にした映画を生み出すことができるのかと思えるほどの完成度ではなかったでしょうか?
上映が終わるまでに絶対また見に行くと決めました!
最後に、謝霆鋒が歌ってギター演奏して、甄子丹がピアノ弾いてる對峙 (電影《怒火》主題曲)の公式MV貼っておきますね~
甄子丹 飾 张崇邦(ボン)
谢霆锋 飾 邱刚敖(ンゴウ)
秦 岚 飾 蓝可盈
谭耀文 飾 袁家宝(ポウ)
黄德斌 飾 戴卓贤
吴浩康 飾 周子俊
何佩瑜 飾 吕慧思
杨天宇 飾 曹宁
汤君慈 飾 关颂谦
麦亨利 飾 招志强
胡子彤 飾 罗剑华
喻 亢 飾 莫亦荃
吕良伟 飾 姚若成
任达华 飾 骆智辉
郭 锋 飾 霍兆堂
张文杰 飾 朱旭明
袁富华 飾 司徒杰
林国斌 飾 区万贵
卢惠光 飾 马家荣
出品人 陈一奇、程武、杨受成、甄子丹、李绮雯、郑志昊、高莉
制作人 邵剑秋、谢炀
监 制 陈木胜、甄子丹
导 演 陈木胜
编 剧 陈木胜、凌伟骏、唐耀良
动作指导 陈木胜、甄子丹(導演)、李忠志(飛車)、谷軒昭、谷垣健治