江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

山河月明 その4

29~40集

 

 今回の視聴ハイライトは、祖父と孫を演じているこの二人が実の父子だと知ったことですかね・・・建文帝朱允炆の中の人ってあまり見たことないけど、目力のある俳優だなとチェック入れてびっくり。よく見りゃこれまで見た資料にもちゃんと父は陳宝国と書いてあった。

 

 またしても次々と主要キャラが世を去って行っていくドラマ展開。わかっちゃいるんですがね~

 話数が大幅にカットされたせいで、余計にそういう感じがしてしまうんでしょうかね~
 
 重臣たちの死はなんとなくあっさりと描かれてきましたが、蘭玉は思い切り恨みをぶちまけて死んでいきました。このくらいやらないとね~と他の犠牲者の分までじたばたした感じ?

 朱元璋が亡き太子朱標の長男允炆を皇太孫に決めるあたりから、そろそろ朱棣のいい子ちゃんぶりに破綻が見えてきます。

 

 朱元璋が世を去り、允炆が帝位につくと一気に藩王たち=叔父たちへの攻撃が始まります。朱棣の二人の兄が朝廷からの重圧の中で病没、下の弟たちが獄に囚われ、可愛がっていた十二弟朱柏はそんな侮辱には耐えられないと屋敷に火を放って妻と共に自死

 朱柏の白澍、最近見た主役ドラマよりずっと存在感のある役でしたが、多分自焚に追い込まれるまでの話がごっそり削除されてるんでしょうな~いくらなんでも出番が少なすぎる。

 

 さらに皇帝允炆が斉泰和や黄子澄、方孝儒らに煽られて、藩王を排除しようとしたせい、というわけでもなく朱棣自身が「なんで俺が皇帝ではいけないんだ」と積極的に動き出す。

 このあたりの動きはあちこちで見かけるエピソードをいくつもつないでいます。たぶんそれぞれのエピソードにもっと膨らみがあったんではないかと想像してしまいます。

 

 靖難の変に突入。これもここに至るまでに、もっと允炆と寵臣サイドvs燕王と藩王サイドの隠隠滅滅としたやりとりもあったんではないでしょうかねえ。

 それでも、ここまで「いい人」で通してきた朱棣が、どんどん目つき、顔つきが権力を握ろうとする剣呑なものに変わっていくのは見ごたえありました。同時にどんどん狂気に陥っていく允炆も見せてくれました。

 

 40集までで激しい戦闘を繰り返した後、燕王軍が南京入城、允炆は逃げたのか、死んだのか・・・

 

 今回視聴分後半は激しい戦争場面が続きます。戦争は、過去の歴史の中で起こった戦争をドラマとして鑑賞するのにとどめたい。現実にウクライナで起こっていることを頭から消し去って、ドラマを楽しむということは私には難しいのです。結果、純粋にドラマを楽しめなくなっています・・・

 ドラマでは朱元璋一族、重臣たちの思惑、私利私欲、忠誠、信念、自己愛、家族愛、自己顕示欲・・・そういったものがないまぜになって靖難の変へとつながっていきましたが、現実でも大差ないんじゃないかとか思うと暗澹とした気分になってきます。

 

 これから残り5集、さらにまた人が死んでいくのは知ってる・・・

 

 気を取りなおして・・・

 今回視聴していて新鮮だったのが、朱棣の息子たち。長男の高熾は聡明で人徳があるが文弱、次男高煦はそんな兄を軽蔑する父親同様の戦う皇子というのが「大明風華」などでも描かれた二人のイメージですが、今回の高熾は武術は不得手でも優れた指揮官として朱棣が出陣した後の北平を先頭に立って守り抜く。過酷な攻防を通して、高煦が兄を見直し、尊重するようになっています。

 ここで、次の朱瞻基即位の時に、敬愛した大哥の遺児vs叔父さんたちというピッタリ同じ人間関係ができてくるわけですね。

 

 どうにも思ってた以上に「大明風華」との相性がいいというか連続性がある感じで、先に見てあったのはプラスに働いています。へたすると同じ時代を取り上げてるのに、水と油みたいなアレとかコレとかみたいにならなくてほんとによかったです。