江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

大秦帝国 その13

中文版 第49~51集 看完了

 ここからは、後に行くほどあんまりカットもなさそうなので、抜けてるシーン中心に。だって、でないとどうしてあそこに白雪が出てきたのか、妻の公主はどうしたのかわかんないもんねえ。

 さてと、一人咸陽に向かう衛鞅は、途中魏にいる白雪と子嶺のもとに行こうとするが、魏の国には入らせないと公子昂が邪魔をする。命が惜しかったら、自分の食客になって一生自分のために知恵を出せなどと言うおまぬけな提案をして、衛鞅に鼻であしらわれる。

 荊南の知らせを受けた白雪は20年も前からこんな事態になるのは覚悟していたと冷静に受け止める。荊南と梅姑に子嶺を墨家のもとに連れて行くよう託し、自分は秦に向かう。
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せっかくなので・・・衛鞅の子、子嶺です
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 魏に入れなかった衛鞅は、直接咸陽に向かうが途中で日が暮れて、客棧に泊まろうとして法を盾に断られる・・・有名な故事ですが、悲惨さはなく、衛鞅はおもしろがると同時に、法が庶民に根付いた証拠と喜んでもいる。

 この後、衛鞅は自ら囚われに赴くという話が続きます。

 それを知った荧玉は、贏虔のもとに押し掛け、衛鞅のいる牢に押し入ろうとして、血を吐いて倒れる。

 その後に、貴族たちのちまちました陰謀と対策に悩む贏駟、やるべきことは見えているという贏虔の話が続き、衛鞅弾劾の場となります。甘龍たちは、自害した子岸が衛鞅が操る民衆に射殺されたとか見え見えの嘘を報告、彼らが何か言うたびに「ああ、この貴族たちっておばか~~」と思える図式になっています。日本版じゃ、肝心のところを王軾の罪を軽くした件だけにしちゃったんで、なんか衛鞅が哀れにみえてくるんですが、それもこれも本人のはかりごとのうちなんですねえ、

 一夜にして白髪になり、生死の境をさまよう荧玉を景監と車英は牢の衛鞅のもとに連れていく。衛鞅は、彼女の手足をさすり、思い出の碁石をとりだす。彼女を玄奇に託すよう二人に頼む。
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 景監は、衛鞅には秘密で20年以上彼の言行や業績を書きとめていた。それを告げられた衛鞅はこれで思い残すことはないと二人に礼を言い、秦国のために後3年は辞職しないよう命じる。
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 陰謀をめぐらす甘龍、趙良らを、黒衣の刺客が襲う。彼の要求は、衛鞅を酷刑ではなく善刑に処す、遺体を引き取らせる、刑場で祭奠を行うことの三つ。言うことを聞かないと一族皆殺しだと脅され、買収資金までもらってただの一振りで三人の頬に傷をつけた刺客を恐れて、へこへこと引き受ける甘龍ら。だから、刑場でえらそうにしている3人の顔に傷があるんですね。

 贏虔は、屋敷に現れた白雪と語り合う。贏虔は自分こそが孝公の考えも衛鞅の考えも一番よくわかっている、贏駟が一人前の君主となるには、神のように立派な商君ではなく、ただの叔父の方がいいと話す。
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 で、君主不在で贏鞅を裁く朝議が開かれる。

 そこでの車裂の刑という決定を持って、贏駟が牢の贏鞅を訪ねた後、墨家のリーダー秬子と玄奇が贏駟を訪ねる。衛鞅の助命を求める彼らに、新旧の君主が変わるときに、過去の怨恨をぬぐい去るのは常識、衛鞅への恨みは彼の死をもってしかぬぐえない、そのことは衛鞅も承知と告げる。

 衛鞅処刑の場面、商於の住民らが駆け付け、商君万歳と声を上げる。怯える貴族らを、贏虔は小馬鹿にする。
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 衛鞅への別れを告げる祭事が行われ、商於の住民たちが生贄や酒をささげ、景監・車英が商君を称える詩を吟ずる。そして、白雪が現れ、すべて手はずを整えました、と告げる。
 その間に、玄奇のもとに到着した荧玉の姿や、白雪とのあれこれの回想がカットバックで入る。

 二人が飲んだのは毒酒で、まず白雪が、そして衛鞅が死を迎える。その後に、「行刑」の声がかかり、また孝公との回想シーンなんかがあって、エンディング。
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 日本版では、衛鞅が車裂きの刑に会って云々というナレーションが入ってますが、よく見るとドラマでは毒で自害しています。

 これが、白雪のいった手はず。先に、配下の侯贏が甘龍ら3人を脅した成果ですね。

 白雪はやる気なら、侯贏に命じて、衛鞅の命を助けることもできたはずですが、ただその死を楽なものにしただけ、一度も彼の命を救おうとはしていない。また、衛鞅も一緒に死のうとする彼女を制止せず、二人で死んでいく。
 長く離れていても、お互いを知りつくしていた二人なんでしょう。

 このラスト、歴史劇としては後の秦帝国の基礎を自分の死と引き換えに確かなものにした衛鞅ということなんでしょうが、恋愛劇としては長く結ばれることのなかった恋人たちが死によってようやく結ばれるというお話。

 中文版全51集と日本版5話を見ての印象ですが、やっぱり衛鞅の人間像が違って見えます。
 中文版にたっぷり描かれていた「愛らしい」恋に狂う衛鞅の姿とか、子どもと転げまわって遊ぶ姿、景監と令孤の結婚を仕組むお茶目な姿なんかがないと、薄っぺらくなってしまった感じはぬぐえない。
 それに彼らの死が政争に敗れた哀れな末路ではなく、英雄として自ら死を選んだというところがはっきりしてるところでしょう。ほんとはどうだか知らないが、少なくともそうドラマでは作って、第2部に続けるんでしょうか?

 カットになってもしょうがないや、と思ったのは、しつこいほどあまりにおばかな魏国朝廷のあれこれ。いくらなんでも・・・あれじゃドロンボ一味かロケット団なみだわ。
 なにしろ51集もあるから、むやみには薦められないけど、けっこうおもしろかったです。

 でも、一ヶ月という期限付きでテレビ放送と並行してみるってのは、やっぱりちょっときつかった。次は、だれとも競争しないで「侠影仙踪」にかかるつもりです。王羲之が出てくるなんて珍しい!!