私だって英語の映画も見る! ゼログラビティ
江湖でも、それ以外の世間でも評判がいいこの映画、車酔い体質なもんで行くか行くまいかとぐずぐずやってるうちに、3D吹き替え版しか選択肢がなくなってしまった。
今月いっぱいの前売り券を使ってしまわなければならないという別の事情もあって、ようやく今日出かけてきました。
結論、なるほど評判通りの見ごたえのある映画でした。脚本、特撮、俳優・・・どれをとっても良い出来の一言。
でも、それについては、もうさんざんいろんな人が話題にしてるはずなんでパスしときます。
91分の上映時間がとても充実してたことだけ、ふれておきます。
ただ、どうしてもこのことだけは言いたいのが邦題のこと。
この映画の邦題「ゼログラビティ」っての、とんでもなく映画の意図を矮小化してないでしょうか?
中華映画のとんでも邦題には、さんざん笑わされ、いや泣かされてきましたが、一見まともに見えるこの邦題、ズバリ間違ってると思います。
以下、ネタバレになってくるので、未見の方は出入り禁止でお願いします。といっても、きっともうたくさんの同じ感想がアップされてるはずですがw
この映画、原題は「GRAVITY」、日本語じゃ「重力」です。
邦題はカタカナにして「ゼログラビティ」、これだと「無重力」。
全編のほとんどが無重力下で描かれるこの映画、そのCGによる描写やどうやって撮影したのかわからないと評判も高い特撮のクオリティの高さから、「ゼログラビティ」という邦題に違和感ありませんでした。
でも、最後の場面まで来て、はたと気が付いた。
この映画、テーマはやはり「GRAVITY」なんです。
無重力、ゼログラビティは背景であり、素材であって、テーマじゃない。
ようやく地球に戻ることができたヒロインが、よろめきながら、両足でしっかりと大地を踏みしめて立ち上がる。
重力に逆らい、生まれたばかりの仔馬のように、しっかりと立つ・・・その姿を下からとらえるカメラワーク。
生命を育む地球、生命を拒む宇宙。重力と無重力。
その対比の中で描かれるのは、重力に負けずに自分の足と自分の意思で、この地球にすっくと立つ人間の生命賛歌なんじゃないでしょうか。
だからタイトルはGRAVITY「重力」、ゼログラビティ「無重力」じゃテーマが半分になってしまうと思った映画館帰りでした。
それにしても、原題の跡形もなければ、内容の跡形もない中華映画の邦題といい、この美国映画の「似て非なる」邦題といい、もう邦題なんかつけるのやめたらどうなんでしょう。