江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

三国機密之潜龍在渕 その7

43~54集

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 終わりました。前回の記事から2週間分12集、大結局までを取り上げています。
 推理ドラマと違って、一定の「歴史的事実」には則ってはいるんですが、それでもタイトルでもある「三国機密」とはなんだったかについて私なりに書いているので、どうしても「ネタバレ」を避けられません。というわけで、下の画像の向こうは立ち入りご用心です。
 
 それにしてもこの画像視聴開始当時にはまさに献帝@馬天宇があっちこっちから寄ってたかって操られているってイメージそのままだったんですが、クリアした今・・・というようなことは画像の向こうにしますw
 
 長文ご容赦。
 
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 さてと~曹節が持っていた郭嘉の残した錦嚢の存在を知った曹丕曹植曹操の子ども3人でその内容を確かめる。動揺する曹節、劉平を支持する曹植、そしてこれを利用しようとする曹丕
 
 ここから一気に今の皇帝が劉協の双子の弟劉平というのは公然の事実となってきます。
 
 一方で司馬懿は自分を救出するために唐瑛が命を投げ出したことを知って、彼女を死に追いやった曹仁や曹家はもとよりそれを止められなかった劉平への恨み、怒りを募らせている。司馬懿闇落ち?で、いよいよ曹丕の軍師となる。
 
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 皇帝が入れ替わっていることを曹操に知られ、対策に焦る伏寿の父伏完たちは曹操の暗殺を計画、その失敗によって世を去っていく。これまでの劉平の言動から彼を名君と考え、このまま劉家と曹家が共に中原を治めていけばいいと考える荀彧たちもそれに続く。
 
 そして、謀反人の娘を皇后にはしておけないと伏寿が曹操によって毒酒を与えられる。その使者にたったのが曹丕司馬懿
 
 いよいよ劉平と司馬懿の対決・・・かと思ったのですがw
 
 曹操は魏王となり、娘曹節を新たに皇后とすることで、この二家による中原統治体制が一応定まる。曹節はこの一連の悲劇に責任を感じていて、曹操の疑念を避けるために自ら名前だけの皇后になることを決意。
 
 そして、数年。曹操の病状が悪化し、曹節を伴って洛陽にやってきた劉平。司馬懿と表向きはそっけなくあいさつしても、裏では熱い兄弟の再会。そして、彼は曹丕との戦いに備えて劉平に従うであろう大軍の名簿を渡す。何のことはない、結局二人は切れてなかったw
 
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 曹操の死によって魏王の地位を得た曹丕とそれを支える司馬懿、許都を治め人心を掌握している劉平。曹丕曹操のように漢室との二極体制を維持せず、自らが皇帝になって史書に名を残そうとしている。
 
 許都に大軍を率いて迫る曹丕たち。
 
 そこで劉平は曹丕にあっさりと譲位してしまう。彼にとっては中原の安寧が一番の関心事で、漢室が統治者であるかどうかは問題ではない。
 
 これによって、「皇帝」から自由になった劉平は司馬懿の計らいでずっと身を隠していた伏寿のもとへ。結局、司馬懿は劉平の頼みで彼女に偽の毒薬を与えていたのです。
 
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 さらに数年、曹丕が病没。曹丕の葬列を見る劉平、そこには幼い曹叡を抱えた司馬懿の姿が・・・互いに相手に気づいたが、そのまますれ違っていく。
 
 劉平は傷ついた子ヤギの手当てをしていて、子ヤギの死で始まり、子ヤギを助ける場面で終わったとも言えます。この間30年近い年月が流れているはず・・・
 
 歴史の渦の中心にいた人物たちがその表舞台からひっそりと姿を消していくという終わり方、結構好みなんですよね。
 
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 さて・・・最終的に三国「機密」とは何だったんでしょうね。
 
 ドラマの開始当時、必死に隠し続けた劉協と劉平の交代、皇帝の正体そしてドラマが進むにつれて、これは多くの人間の知るところとなって行く。
 
 終幕近く、史書には曹操司馬懿、私の名前も残るかもしれないがあなたの名前はそこにはないと伏寿が劉平にいう場面がありますが、この劉平の存在そのものが「三国機密」であったというまとめのようです。
 
 でも、それ以外にも機密があふれていたドラマでした。郭嘉の愛人任紅昌や前皇后唐瑛、暗殺者徐福の正体とか実は~という人もいっぱい。
 
 「兄弟」として育った劉平と司馬懿。二人の関係も「機密」でしょうが、どんな意味での関係だったのかは見る人次第でしょう。でも、初めは皇帝になった弟楊平をバックアップし、彼のために策略をめぐらしていた司馬懿。が、結局は彼は劉平の描いた絵の中にはまっていたようにしか思えません。
 
 彼は劉平の「仁慈」こそが唐瑛を初め、周りの人間に害を及ぼし、事態を悪化させていると非難しますが、結局は劉平の考えに沿って動くことになっています。
 
 「今までは兄さんの言うことを聞いてきたが、今度はこっちの言うことを聞け」という劉平に、「いつお前が俺の言うことを聞いた?」とぼやく司馬懿という場面がありましたが、全編まさにそういう感じ。
 
 中盤以後は、手を切って闇落ちしたと見られた司馬懿が密かに伏寿を助け、劉平のために兵力を温存し、曹家の内部に潜む獅子身中の虫になっていたことも機密であることは当然でしょう。 
 
 また、曹家の時代を経て、司馬炎が晋を立てたことを踏まえ、この時代の最終的な勝利者とされる司馬懿ですが、ほんとうにそうなのかなあと疑問。その道筋を作ったのは劉平で、結局は彼「献帝」が時代を回したとも見えます。
 
 劉平はドラマ冒頭から国家観、統治者意識というものの理想像を持っていて、漢室の復興とか曹操との対立も平安な世を実現するための手段と見なしている。ところが司馬懿は、充分な能力があるのは当然ですが、世に出たいという思いもあり弟を助けてやろうという思いもあって、政治の舞台に出てきたが、彼を動かしている原動力は情なんですよね、弟大事、家族大事、愛する女性大事・・・それを奪ったものへの恨み、怒り・・・自分でも劉平のような理想は持ってないが、策謀には自信があるというようなことを言ってます。
 
 ラストシーンは曹丕の葬列ですが、呉秀波の大軍師司馬懿シリーズで行くと軍師聯盟から虎嘯龍吟に移って、これから司馬懿曹叡を支えつつ曹爽と激しく対立していくところ。
 やがて成立する晋がこの時代の戦乱の時代の幕を引いてもなお戦乱が続くのも歴史的事実。果たして劉平の理想はそこに受け継がれていたのでしょうか?
 
 それにしても、仁慈を持って郭嘉や荀彧を自らの理解者とすると宣言した劉平、彼が武力を用いず、対立するものを抹殺することもなくどん底だった漢室の声望を高め、最後には曹操までもが「もう10年若かったら、共に平安な国づくりをしたかった」と言わせてしまいます。結局、ドラマスタート時に思っていた操られる献帝=劉平が実はすべてを操っていたということではなかったのか?というのが、私の思う最終的な三国機密。
 
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 演員的には、馬天宇の劉平の所作がとても美しくて好感。皇帝を演じているときと、仮面を外した素の劉平のときの表情の落差の激しさがこの人らしくてなるほどここを狙った配役かともw
 
 韓東君の司馬懿は、本人が呉秀波と競う気はないが、比べられてしまうだろうなあと言ってましたが、正直なところエピソードを比べることはあっても、人物像や演技を比べようとは思いませんでした。まったく違う司馬懿なので、そんな気にはなれない。
 
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 むしろ軍師聯盟で司馬昭、今度は曹丕を演じた檀健次の方をつい比べてしまいました。同じようにファザコンで権力欲も強いけど、司馬昭よりずっと繊細で神経質な曹丕の線の細さ、彼が一番周囲に振り回され不幸だったようにも見えます。
 
 このドラマ、思ったよりはずっとまともに三国志ドラマだった感じ。日本でも人気の三国志ものだし、あの武神趙子龍でさえ日本で公開されたことを思えば、きっと日本にも登場すると思っています。
 そう言えば隆慶一郎の「影武者徳川家康」とかの雰囲気があります。
 
 でも、最後まで、劉備やら孫権やらもめっちゃ評価が低い上に名前だけしか登場せず、荀彧に空の箱は届かず、楊修は鶏肋の話を聞きもしなかった、そういう三国志ドラマではありました。
 
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演員      角色    配音
馬天宇  飾  劉平    姜広涛
馬天宇  飾  劉協    姜広涛
韓東君  飾  司馬懿   辺江
万 茜  飾  伏寿    原音
董 洁  飾  唐瑛    原音
王陽明  飾  郭嘉    田波
董 璇  飾  任紅昌   阎萌萌
謝君豪  飾  曹操    張遥函
檀健次  飾  曹丕    原音
王玉雯  飾  曹節    李詩萌
李建義  飾  張宇    原音
舒耀瑄  飾  賈诩    原音
王仁君  飾  荀彧    林強
屠 楠  飾  満寵    原音
王 萌  飾  楊修    斉斯伽
常 铖  飾  楊俊    宝木中陽
李燕生  飾  孔融    湯水雨
汪小敏  飾  甄宓    徐佳琦
張 琪  飾  楊彪    谷峰
鲁玉杰  飾  伏完    白馬
張 雷  飾  崔琰
何果軒  飾  曹仁    王冠南
劉昱晗  飾  曹植
史文翔  飾  冷寿光
鄧 英  飾  卞夫人   劉芊含
王艺諾  飾  董妃    陳希
王艺霖  飾  趙彦    太康
鄧 尚  飾  徐福
喬晟一  飾  王越
賈本初  飾  司馬朗   凌振赫
夏志卿  飾  司馬防
 
 
職員
出品人 王一;孫忠懐
制作人 蔡芸儂;方芳;賈文鳳
監 制 王娟;徐奕明
原 著 馬伯庸
導 演 游達志;鄭偉文
編 劇 常江;徐奕明(编审);李玙(助理编剧)
撮 影 宋文彬;張志偉;劉東亮;劉建偉;毛建新
配音導演 田波;林強;武向彤
芸術指導 李国立
美術設計 星漢
動作指導 李映輝;馬艶輝;王宾
服装設計 顧鳳仙
視覚特効 謝嘉栄;十星影業;白宇