平原上的火焔
2023年に見たドラマ「平原上的摩西」と同じ原作から映画化された作品です。こちら、実は2021年にはできていたのに、今まで公開されていませんでした。なんでも「4年待ち、17回やり直し」したんだとかw
ドラマを見たときに、この映画の存在も知っていたので見たいとは思っていたんですけど、まさか今頃公開されるとか想定外でした。
最近、日本で「光・淵」が公開されたし、張若昀の「霍去病伝奇」が90集から75集に削減し、タイトルも「風起大漠」と変えて、配信されることが決まったというニュースもあって、お蔵入りしていた作品の解禁が続いてうれしいです。他のドラマとか映画にもワンチャンあると思っていいかな?いや、思いたいw
私はこの原作である双雪涛の「平原上的摩西」を読んでいないので、あくまでもドラマとの比較の上の話なんですが・・・この映画「うすい!」
23年に予想したように劉昊然の庄樹と周冬雨の李斐の二人を中心に話が進みます。短くされたのは10分程度ということなので、元からそういう構成なんだと思いますが、この二人のドラマの根幹となる庄樹の両親のドラマがまるっきりないんです。李斐の父李守廉の中の人だった王学兵の吸毒事件のために今まで公開できなかったという話を聞きましたが、映画でもドラマでもこのキャラはあまり強い印象を残していません。
ドラマで強烈な印象を残したのは、芸術を生きがいに「私はこんなところで、こんな人生を送ってるのは悪夢に違いない」というようなオーラを巻き散らかしていた庄樹の母傅東心と金儲けこそ大切で芸術なんかさっぱりわからないけどそんな妻を愛し続けた父庄徳増なのです。傅東心が不本意な人生を送らざるを得なかった背景にある文革期という時代が描かれていないことでこの二人の人生が曖昧模糊としたものになってしまった気がします。「三体」の葉文潔にも通じるところがあるんですけどね~
この二人の在り方が庄樹の人格形成に大きな影響を与え、李斐にもそれは及んでいると思うのです。
それなのに彼らの部分がすっぽ抜けてる。
その結果、やっぱり庄樹と李斐の甘酸っぱい幼馴染の再会、8年前の事件の真相が見えてくるにつれて揺れ動く庄樹の気持ち・・・なんかが中心になっています。
なんですけどね~とにかく原作を知らないのに、ドラマも見てなかったとしたら、多分なんのこっちゃとなってしまったと思うエピソードがいっぱい。例えば、庄樹の両親が夫婦になった過程、なぜ庄樹は警官になったのか?彼の母はいつも遠い目をしているのか?8年前の連続殺人の真相は?とか・・・
そういや、劉昊然と言えばあんなに警官になりたがってた秦風くん@唐人街探案、やっと警官になれてよかったね~とかw
ともかく、映画全体に「説明不足」の四文字が付きまとうのですよ。で、なんか薄い。
なんといってもラストのまとめ方。ドラマで庄樹を演じたボートの上での董子健の狂気すれすれの迫力は、甘やかなまとめをしてしまった映画の劉昊然の庄樹からは哀しみと李斐への思いしかないんです。ドラマと同じような展開だったら、彼がどんな演技を見せてくれただろうと思わずにはいられないです。
傅東心の梅婷はここにいてもいないという感じを出してはいましたが、ドラマの海清が見せてくれた静かな狂気まではどうだったか?庄徳増の陳明昊は、多少の不正を働いても金を稼いで妻子にいい暮らしをさせたいという無教養な人物の雰囲気をよく出していましたが、やはり彼らの関係性が薄くしか見えなくてもったいない。
話はずれますけど・・・最近後ろ姿で出てきても「あ!陳明昊出てきた!」と分かるようになってしまったw
周冬雨の李斐、8年前に不運に巻き込まれ投げやりになっている若い女性です。庄樹との関係は始終彼女によって左右されているのですが、さらに粘っこいキャラになってませんかね?
ドラマ版もそう長いわけでもないので、どちらか一つ見るならやっぱりドラマ版を進めたいです。「平原上的摩西」と「平原上的火焔」よく似たタイトルでも、モーゼと焔ではえらい違いですから。
演 員 角色
周冬雨 飾 李斐
刘昊然 飾 庄树
梅 婷 飾 傅东心
袁 弘 飾 蒋不凡
唐 曾 飾 李守廉
吕聿来 飾 孙天博
陈明昊 飾 庄德增
侯岩松 飾 赵晓东
出品人 郑志昊、顾思斌、朱玮杰、谷良、尹露
制作人 顿河
监 制 刁亦男
原 著 双雪涛
导 演 张骥
编 剧 曹柳、张骥、李白杨