江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

琅琊榜之風起長林 その9

49~50集(大結局)

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 もう終わってしまった・・・速い。そして、来月にはもう日本版が・・・速い!!
 
 日本版が出たら、また大勢でワーワーと楽しめると思うと楽しみです。
 ともかく大陸でのファーストランを見終わった段階での私なりの感想文。
 
 真っ白で日本版を楽しみたい方はこの先はスルーしていただいた方がいいと思います。
 
 
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 とらわれた皇帝蕭元時を救出に城内に潜入した蕭平旌と荀飛盞。この二人の動きはもう「歴史劇」(ただし架空)というより、武侠劇の動き。軽々城壁を乗り越え、屋根を走り・・・撮影場所が場所なんで、神鵰侠侶の幻が見えたわ。
 
 安如が自害したために騒動となっていたのも彼らにはチャンスとなって、皇帝を救出には成功。だが、すぐに気づかれて追われることに。宮城からは脱出できたものの、金陵からの脱出は困難と、とりあえず長林王府へ。そんなことは誰でも思いつくので、元啓があらかじめ仕込んでおいた伏兵と追手にたちまち囲まれてしまう。
 
 平旌が探すのは子どもの時に見つけたあの「密道」。埋めたんじゃなかったのか!というツッコミであふれかえってた。当然だねw
 
 入り口を守るために残った荀飛盞は元啓と一騎打ち。墨淄侯仕込みの武芸で元啓が荀飛盞を倒す。
 
 密道を通って出たものの、すでに皇帝と平旌の姿はない・・・
 
 この出た先が旧蘇宅なのですが、それを配下から聞かされた元啓が「梅長蘇・・・」とつぶやく場面があって、50年後にもまだ梅長蘇の名が知られていたことがわかります。
 
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 それに、旧靖王府がロケ地としてでなく、「実際」としても長林王府になっていたことがわかりました。
 
 外からは岳将軍率いる大部隊が金陵城内に侵攻。ほとんど戦うこともなくあっという間に城内を掌握。
 
 追い詰められた元啓と対峙する平旌たち。「100年後には自分の方があんな小僧よりいい皇帝だと評価されたかもしれない」という元啓。自分のことばかりで民衆のことを考えないお前に皇帝の資格はないという皇帝。
 
 平旌と元啓の決闘場面。ほぼ武侠ドラマのノリだし、画面的には幻仙劇っぽさもある。若い二人の切れがあるアクション場面に好感。
 
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 最後は蕭元時が皇帝としての自覚と自信をもって一歩踏み出し、平旌は梁の兵制の立て直しも国防も荀飛盞や岳銀川達に任せ、長林王府を再び開くこともせずに金陵を去っていく。なるほどこのためにも岳銀川が必要だったのかと納得。
 
 武侠ドラマ的主人公の身の納め方ですね。
 
 金陵城外で、林奚と再会して二人で旅立つのは、琅琊榜大結局の梅長蘇と霓凰郡主の別れとバランスをとっているように思えてなりません。
 
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 全50集見終わって、どうしても琅琊榜との比較でモノが言いたくなるところもたくさん、制作サイドがそこを意識しているところもあります。
 
 最後になっての旧蘇宅が廃墟となりつつある描写とかそこを元啓の兵たちが跋扈する様子とかを出すことで、時の流れを強く打ち出してきました。あれから50年。それだけの時間があれば、変わってしまうものが多いのはもちろん。
 
 ただ、ドラマの中でははっきり語られなかった部分にそれが多く埋もれていたように思います。例えば、元啓の父。かれは蕭景琰の息子で先代の梁帝の同腹の弟。不始末をしでかして、父景琰の逆鱗に触れ、兄や長林軍によって死に追いやられた・・・そのことが元啓母子の恨みと謀叛のモチベーションになったわけです。けど、このことは武靖帝蕭景琰の晩年に暗い影を投げかけたことは確かです。
 
 元啓や庭生の口からこの事件が語られることはあっても、そこまでの話は出てこない。母の皇后柳氏のことも出てこない。
 
 時間の経過とともに多くの出来事や人の思いも忘れられていく・・・そのことを藺晨は死んだものにとっては悪いことではないと肯定しているし、平旌もまた父や兄の残したことを果たそうとする人生から自分の人生を歩みだそうとするエンディングになっています。
 
 風起長林はスタート時点から忠臣とか国を守るとかということが前面に押し出されていて、林殊の復讐劇の後ろにそういうものがあった琅琊榜に比べると重苦しさが付きまとっていたことは否定できません。
 
 ぐるっと回って、そういうことから解き放たれて江湖に姿を消していく平旌と林奚というのは私的にはとっても好ましいドラマの結末でした。
 
 ただ、この元啓の謀反劇を仕込んだ黒幕東海の墨淄侯にしてみれば計画は失敗、配下や傀儡を失ったものの、梁を狙う気が失せたわけではない。
 
 平旌に敗れた元啓を殺せと即決した蕭元時。一気に成長した感じですが、こうなると逆に心配。
 
 そして、長林軍はこの後誰が率いても永遠に長林軍だという皇帝の言葉が、平旌に伝えられています。
 
 まだまだというか永遠にトラブルの絶えることはなさそうです。
 
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 ただ、罪人の息子だけど本来は善良な若様だった元啓、同じくその一味であった者の息子だったけど庭生に引き取られ長林王家の世子として人望の高かった平章。彼らを筆頭にいろんなポイントで、氏より育ち、生まれや血筋より本人次第ということが強調されてきたのも今回のドラマで目立ちます。そして、兄や父の死によってがんじがらめになっていた平旌の自立。とはいえ、平旌の身分は本人がどこに行こうと「長林王」「王爺」・・・
 
 最後には琅琊榜で林殊と景琰の物語の結実として創設された長林軍がそこからも解き放たれて昇華しちゃった感じですが、ここに至って、ようやく琅琊榜の物語が幕を閉じたのかもわかりません。
 
 よりにもよって蕭元啓の口から「梅長蘇」の名前が出たことに違和感を覚えた人もいるようです。でも、復讐者としての立ち位置が同じでも最終的に求めるものが違った元啓から名前が出たことで、50年前の琅琊榜の物語をくるんと裏返したような風起長林の物語のイメージが強められたと感じました。
 
 長くなってきたんで、演員表とかは次回に・・・