江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

天下長河 その6

36~40集(大結局)

 

 見終わりました。
 満足して、のどをごろごろ鳴らしているにゃんこ状態です。

 

 恋愛要素皆無、ピンク色皆無のがっつりした史劇を見るのはいつぶりかと、ブログをたどってみました。ここ二年では「大秦賦」くらいですが、それでも恋愛要素がなかったわけではないし、ちょっと見当たりません。

 今日本でも出ている「風起隴西」とか「大宋宮詞」は史実背景にしていても、諜報劇や恋愛劇家庭劇だし・・・見終わったドラマでいうと「山海情」とかの方に近いものを感じます。

 

 康煕時代を舞台に、彼と重臣たちのドラマ、ただひたすらに荒ぶる黄河を治めようとする靳輔や陳潢たちのドラマが進みました。
 史実ですから、最後に行きつくところはわかってはいるんです。それをどうドラマに落とし込み、消化させるかは本当に脚本家の腕次第だと痛感しています。

 

 今回視聴分開始時点で、康煕治下の政局を握るのは索額图、明珠、高子奇の三人。彼らが権力を握り、得意の絶頂にいます。

 そして、始まる明珠50歳の誕生パーティ。誕生パーティでろくなことは起こらない、というのは「崖から落ちたら、無事」というのと同じくらい鉄板の中華ドラマお約束になってますね😢

 明珠の誕生パーティの席で、彼の悪事が暴かれ、皇帝からの譴責の詔勅が届きます。黄河の堤防ができたことで生まれた肥沃な農地を官僚が入手することを禁じたにもかかわらず、それを明珠や官僚たちが自分のものにしているというのがその一つですが、それに靳輔も関係しているとされてしまいます。

 ここから朝廷の力関係は急激に変化し、明珠凋落。高士奇も次いでやり玉に挙げられます。

 

 北京に移送されてきた靳輔と陳潢、そういうところと無縁だと思っていたという康煕は激しく怒ってます。信じ抜くことができないんですよね。それでも、家族と暮らせるように配慮しているのが揺れる康煕の心情の現れでしょうか?

 一人離されて、獄に入れられた陳潢は、黄河治水の要諦を部屋中の壁に書き続ける。

 裁判では、ブチ切れた明珠が索額图と太子の悪行を告発。康煕がいる前で、大混乱となります。これから索額图が排除されるまでにまだ10年以上、その間康煕は腹の中に黒いものを抱え続けるわけですね・・・

 

 明珠と高子奇は権力の座から追放され、靳輔も免職されます。

 獄中の陳潢は自分の著作を靳輔に届けるよう獄卒に頼み、悲憤の中で死を迎える。刑死じゃなくて、獄死だったんですね。刑死を見るのはつらいと思っていたので、ちょっと緊張が解けた視聴者。

 河道総督を任された于振甲はこれで思い通りにできると河道総督府に乗り込みますが、待っていたのは下官の反発。そして彼のやった工事が原因で、またしても大災害が発生する。今度も靳輔たちが正しかったわけですが、彼がそれを理解するには二度も大規模な災害と多くの犠牲者が必要だったというのはなんともすさまじい。これも、史実なんですかね。

 

 黄河治水が終了。船の上で立派に完成した堤防を満足げに見る康煕と于振甲ですが、船室には老いた靳輔の姿もある。彼を連れてきたのは康煕ですが、于振甲にも彼にも靳輔や亡き陳潢への悔いがあるはずです。

 康煕は陳潢の残した著作に「河防述要」という題をつけ、初めのころの約束を果たしました。

 

 康煕15年の大水害に始まり、陳潢の死んだ27年を経て靳輔が死んだ31年まで康煕の治世の歴史劇としてはもちろん、陳潢と靳輔の生涯を描いたドラマとしてもきれいに結末が付けられました。

 

 康煕の羅晋は、これからの治世に意気込む若い君主が成長し、良くも悪くもしたたかで老練な政治家に変わっていく姿を見せてくれました。鶴唳華亭のように泣くシーンというのが多くはなかったんですが、泣いてはならない皇帝、泣くのをこらえてるというような場面はやはり見せてくれました。

 逆に陳潢の尹昉は変わらない。ずっとキラキラした目で黄河の治水だけを考えていて、死の床までそれは変わらない。若い彼に恋人ができたり、貧しい母がいたりとか言うような余計な枝葉がついてこなかったのは何よりです。

 黄志忠の靳輔は、治水のためにこの世に生まれてきたような陳潢を支え続けます。彼には陳潢の長所も欠点も見えているし、重臣たちの思惑も見えている。けど、それを回避する力はないんですよね・・・こちらも家族をも巻き添えにして、自分のすべてを黄河に注いだ一徹な人を好演。


 蘇可の于振甲、梁冠華の索額图、公磊の明珠ら主角第2グループもそれぞれ個性的でドラマを重厚でおもしろいものにしてくれました。

 こういうドラマこそ日本に持ってきてほしいものです。恋愛要素もなければピンクのパッケージにも向かないけど、見ごたえ十分なのは保証できます。

 
演 員     角色

罗 晋  飾  康熙
尹 昉  飾  陈潢
黄志忠  飾  靳辅
梁冠华  飾  索额图
苏 可  飾  于振甲
陆思宇  飾  高士奇
公 磊  飾  明珠
奚美娟  飾  孝庄太皇太后
赵 麒  飾  徐乾学
李昕哲  飾  靳治豫
王洪涛  飾  郭河叔
刘天尧  飾  梁九功
周熙若  飾  小福
郭之廷  飾  伊桑阿
付 磊  飾  金文祥
宁小花  飾  王光裕
刘一含  飾  靳夫人
董李无忧 飾  小虎
刘一莹  飾  孝惠皇太后
师悦玲  飾  于振甲母亲

出品人     张华立、龚政文、姚昱竹
制作人     姚昱竹、任旭
监 制     郑华平、方菲
导 演     张挺
编 剧     张挺
美术设计     韩忠
动作指导     王利兴
造型设计     宋韬
服装设计     王海波