江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

白日焔火

白日焔火

 

 「漫長的季節」とか「平原的摩西」とかを続けてみているころに、これもいい映画だよとお薦めしてもらった作品です。
 2014年の映画なんで、少し前ということになります。チェックしてみたら日本でも「薄氷の殺人」という邦題で出されてました。

 

 けど、視聴後感としては「薄氷」というよりは、私はもっとガチガチに凍り付いた氷を思い起こしました。

 

 ベルリン国際映画祭金熊賞、男主の廖凡が主演男優賞の銀熊賞受賞と聞くと視聴前から期待が高まります。
 視聴後感の感想としては、なるほど金熊賞だ~オスカーじゃないわと納得。

 

 石炭の山の中からバラバラ死体の一部が次々と見つかるという凄惨な事件から映画が始まります。この事件の捜査に当たった張自力は身分証から被害者を呉志貞の夫梁志軍と断定、容疑者を割り出します。ところが容疑者を逮捕に赴いた張自力と刑事たちは反撃にあい、二人の刑事が射殺され、張自力本人も重傷を負ってしまいます。

 

 そして、5年後。刑事から保安部に異動させられて、妻には去られ、自暴自棄になっていた張自力は、かつての刑事仲間と再会したことから、再び起こった連続殺人事件に関わっていくことになります。
 その核心にいるのがかつての梁志軍の妻呉志貞、張自力は見るからに不幸を背負っているように見える彼女の魅力にとらわれていきます。

 

 ストーリは確かに刑事ドラマではあるんですが、映画のメインはこのファムファタル的な存在呉志貞と彼女に関わった男たちのドラマだと思います。

 男たちを翻弄している呉志貞を演じているのは桂綸鎂。淡々とした表情で毎日を過ごしている平凡な女性という見かけに底知れぬ性的な魅力を潜め、周囲の男たちを引き付け、翻弄していく謎めいた女性を演じています。

 その彼女に惹かれていく元刑事張自力に廖凡。起伏の多い人生を送っている彼が呉志貞に惹かれ、それでも5年前と今の事件の真相に迫っていきます。

 

 この二人が揃ってると胡歌の「南方車站的聚会」(邦題:鵞鳥湖の夜)を思い出すわけですが、なんのことはない導演は同じ刁亦男でした。そういや海報もなんか雰囲気が似てますなw

 

 

 他に呉志貞の夫梁志軍に王学兵、彼女が働く洗濯屋の主栄栄に王景春、張自力の後輩刑事王江に余皑磊と演技派が揃っています。

 無残にも思える若作りをして、しつこいセクハラを繰り返す王景春の店主には、無表情で愛想もない彼女が発する性的魅力を可視化している感じを受けました。

 彼女のためにすべてを投げ出した夫梁志軍の王学兵、現在は封殺状態の彼の姿を久しぶりに見ました。いい俳優なんですけどね・・・

 

 確かに10年前の映画だと思わされたのは、男主たちがやたらにタバコを吸う場面の多さとマスクしているだけで怪しく見えるという演出に懐かしさを覚えてしまいました。

 この映画も舞台は真冬の哈爾濱で、一面凍り付いたこの街自体が一つの生き物のようにも思われます。それにしても、北方の真冬を舞台にした作品には何か独特な魅力があるように思えてなりません。


演 員     角色
廖 凡  飾  张自力
桂纶镁  飾  吴志贞
王学兵  飾  梁志军
余皑磊  飾  小王
王景春  飾  荣荣
倪景阳  飾  苏丽娟
常凯宁  飾  赵建平
李彩霞  飾  三姐
李克伟  飾  刘队长
洛 成  飾  柳发银
裴功勇  飾  刘发行
彭 龙  飾  便衣
于雪冬  飾  学义
蒋延良  飾  强军

 

出品人     卜宇、丹尼尔·维克托、韩三平
制作人     万娟、文晏
监 制     沈暘
导 演     刁亦男
编 剧     刁亦男
美术设计    刘强
动作指导    洛成
造型设计    杨虹
服装设计    杨峻益
视觉特效    阿冬林