無証之罪 １～１２集（大結局）
また、古装劇でも武侠劇でも、ＳＦですらない普通の現代劇。
中国でなく、キャストや舞台がそのまま日本や欧米でも何の違和感も感じない。このドラマに土着的なものが感じられなくて、そう言う意味では全く無国籍と言ってもいいサスペンスタッチのミステリ。この原作者紫金陳は中国の東野圭吾と呼ばれているそうですが、ドラマを見ただけの感覚では、雰囲気的には東野圭吾や宮部みゆきと似たものもある気がします。
ドラマの舞台は冬の哈爾浜。「捕まえてみろ」という紙を貼りつけた雪だるま「雪人」を置いた殺人事件が起こる。この事件は７年前の事件と一連のものではないか？と捜査が始まり、そこに不祥事を起こして刑事から移動になっていた厳良も加わることになる。
一方、兄の手術代のために裏社会のボスの愛人になっていた朱慧如は高校時代の同級生で弁護士見習いの郭羽と再会。愛人の死に始まるトラブルに巻き込まれた朱慧如がチンピラの黄毛から身を守ろうとして殺してしまう。
うろたえる郭羽と朱慧如の前に、言うとおりにするならこの状況から助けてやると謎の老人が現れる。
この謎の老人駱聞というのが、実は７年前に厳良と共に捜査をしていた監察医で、失踪した妻と娘を探している。
証拠隠滅のための手段をコーチした駱聞の指示を無視して、郭羽が黄毛の持っていた裏社会の金を入れた大量の銀行カードをこっそり持ち出し、多額の現金を引き出したところから、彼の人生が大きく変わっていく・・・
人間関係はさほど複雑でもないんですが、警官から連続殺人の真犯人までが表には出ない暗い過去や家族に絡んだトラブルを抱えていて、それがドラマの進行に連れて明らかになり、事件に絡んでくる。
最初から最後まで雪の哈爾浜で緊張感のある画面がストーリに似合っていました。夜の場面とか暗い場面が多くて、今犯人に殺されたのは誰だった？と戻って確かめないといけないことも何回かありました。ネット配信のドラマなんで、問題はないですがｗ
彼らがなぜ犯罪人になっていったかが話のポイントの一つでもあるわけですが、最初は仕方なく犯罪に手を染め、それこそ雪だるまが転がるように重罪を重ねていく犯罪者たち。
手掛かりになる証拠も見つからない中、無茶な捜査を進める厳良。そんな彼が暗黒面に落ちることを心配する捜査責任者林奇。
優秀な監察医であった駱聞は、病気のために残された時間に追われ、妻や子を殺したのではないかと疑っている「雪人」をなんとしても見つけ、復讐しようとしている。
狂気を感じさせる天才肌の刑事厳良は秦昊。鋭さと甘さ、思いやりと厳しさとか極端に同居しているキャラを見ていて素直に受け止められたのはなかなかいい感じでした。
駱聞は、姚橹。大秦帝国とかで見かけました。こちらも妻子を追い求め、暗黒面に落ちてしまった元正義の人の狂気を好演。
後半だけ見てると、なんか気の毒なヒロインに見える朱慧茹は警察の取り調べでも平然としていて、初恋のあいて郭羽が怯えているのと好対照。反対に免許が取れるまでブラックな弁護士事務所でパシリをするしかない純朴な郭羽は、次々ととんでもない事態に巻き込まれ、闇落ちしていく。この郭羽の闇落ちと入れ替わるように闇から抜け出していくような朱慧茹の描き方もおもしろい。どっちが彼らの本性なのか？
まあ主役陣だけでなく、ほんと一部を除いて、犯罪者もそのほかもほとんどの登場人物が狂気をはらんでいるというドラマ展開でした。
派手な銃撃戦とかＣＧアクションとか、顔だけ小鮮肉とかはいなくて地味と言えば地味なんですが、その分精神的に追いつめられていく登場人物たちの演技に注目でした。
多分、このままＷＯＷＯＷのオリジナルドラマとかアメリカのＨＢＯあたりのミニシリーズに持ってきても違和感ない感じ。
煙草が重要なアイテムになってるあたりは違うかなｗ
ミステリなんで詳しいレビューはあえて省きますが、おもしろかったです。他のドラマの間に見てたんですが、最後は一気に３集見てしまいました。ま、１２集だし、まだまだ５０集も残ってる那年花開月正圓一休みしても問題はないです。
演員表
秦 昊 飾 厳良
鄧家佳 飾 朱慧茹
姚 橹 飾 骆闻
代 旭 飾 郭羽
王真儿 飾 林奇
寧 理 飾 李豊田
荆 浩 飾 朱福来
林 鵬 飾 金主任
職員
出品人 龚宇
監 制 韓三平 王暁喗
原 著 紫金陳
導 演 呂行
編 劇 馬偽八
