１～２４集（大結局）

　この６月に前後して始まったメイドインチャイナのクライムドラマ３本のうちの一本。

　最初に出てきた法医秦明第２季は毎週４集が２集ずつの更新になってしまってまだ半分しかみられませんが、後の２作、このS.C.I.謎案集と骨語は大結局まで一気に公開されたためにマイペースで見られるのがうれしい。

　３作ともそんなに長くないので、見るにも楽です。

　で、三作を並べてみるとこれが一番ＳＦ的な展開で気楽に見られる。骨語は本格推理ドラマという感じで、法医は前作と比較するとぐんと重苦しさを増したサスペンスタッチなドラマ展開って雰囲気でしょうか。どれがおもしろいかはお好み次第。

　このS.C.I.謎案集は原作のネット小説があって、それは三侠五義をベースにしたミステリだそうです。そのままではドラマ化はできなかったようで、キャラの設定に相当の改編がされています。

　まずはキャラの名前。三侠五義をベースにしたというだけあって、小説では主な登場人物がおなじみの名前になっています。主人公は白玉堂に展昭、公孫策・・・これがドラマでは白羽瞳、展耀、公孫哲・・・と替わり、すべて男性だったキャラの何人かが女性に変更されています。

　何より小説では白玉堂と展昭、白玉堂の兄白錦堂と公孫策、白玉堂のいとこ白馳と魔術師趙禎という三組の同性カップルがあるのですが、これでは出せない・・・のでしょう。公孫哲の相手は白羽瞳の姉白磬堂に替わっています。馬漢と張龍も女性キャラにかわっています。

　これは歴史をいじるなとか古典をいじるな、同性愛はだめだとかいう当局の方針に抵触しないための工夫でしょうね。一度に全部出したのもそのためとも推測してます。なにしろ小説の紹介だと趙禎（白馳の配偶）とかはっきりかかれているんで、そのままじゃまず審査通らなかったんじゃないでしょうか？

　ただ、そういう原作だと分かってドラマを見てると、やっぱりそう見えるという作りになっています。やたらに近い白羽瞳と展耀の顔とかならんでシャワーとか絵的にもそうですし、展耀の洋服を羽瞳が洗濯してしまったので展耀が羽瞳の服を着て出かけるとか上手にそれっぽい場面を入れてきてます。仕事で対立しても痴話げんかにしか見えないとかいろいろ・・・キャラの改変に怒り心頭の原作ファンもそれなり楽しんではいたようです。

　ドラマの舞台は香港、香港警察の中に新設された特別捜査チームがＳＣＩ。これを設置したのが「包局長」。ＳＣＩの組長が白羽瞳で副組長が天才心理学者の展耀。それに法医の公孫哲は親世代からの関わりがあって、展耀は白家で育ったらしい。白家は富豪らしく羽瞳が乗り回してるのは白のランボルギーニ、自家用ジェットもあるらしい。白羽瞳の姉白磬堂は弟「二人」が太刀打ちできない存在だが、公孫哲には愛している～と迫りまくっているツンデレ美女。公孫哲の反応が鈍くていらいらしてる。

　さらにチームには情報処理の専門家蒋翎、射撃手で大型バイクを乗り回す馬韓の女性刑事二人とベテランの王韶と趙冨。さらに白羽瞳のいとこで小心者だがＩＱ１７０以上の天才白馳が参加、奇怪な事件解決に乗り出していく。

　けれど、このストーリには全体を通して白羽瞳たちの親世代から続く謎が根底に流れています。

　その親世代の一人で闇落ちしている心理学者趙爵という謎の人物が事件や彼らにかかわってきます。彼は展耀の実の父ではないか？という謎も。

　最後の事件では、人間を薬剤や物理的手段を利用して改造するという話が出てきて、飛流くんですか～と突っ込んだ。

　香港警察が舞台と言っても、一部遠景が出てくるだけで撮影はほとんど深圳でしたようで香港らしさは感じられません。科白は普通語だし、警察官たちのやりとりに「Yes Sir!」とか「白Sir 」「Let's Move!」などとそれらしいのが出てくるだけで、香港見たい向きにはお薦めできません。