江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

最近見た映画たち 晴雅集・侍神令

陰陽師」映画二作

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 陰陽師つながりの話題作二本を取り上げてみました。

 この二つとも日本の「安倍晴明」伝説をベースにそれぞれコンピュータを駆使、人気俳優を配役したアクションたっぷり映画で、それがまたほぼ同時期に公開されるという時点でもう話題になってました。


 その上、「晴雅集」が劇場公開10日で突然上映停止になるというおまけもついて、ますます話題になってました。日本には、結局劇場公開はなしでネットのみということになりました。その点は「侍神令」も同じで、これからの映画やドラマの公開にはネットのみでというパタンが増えてくるんでしょうかねえ。

 

 どちらも主役は「晴明」なのですが、「晴雅集」の方は夢枕獏原作の「陰陽師」をベースにし、「侍神令」の方はゲームがベースになっています。晴明は人と妖の間に生まれた子どもという点は共通、共に妖と戦い都を守るという展開も共通してます。でも、できた映画の雰囲気は相当に違います。

 どちらの作品も美術設計やCGは悪くない、演員もそれぞれ納得できるキャスティング、加えて音楽を担当してるのは日本人作曲家と、そういう意味では甲乙つけがたい。中華サイトの評価をみても、「侍神令」の方が少し高評価ですが、まあいい勝負。


 見た順に行きます。

 両方ともすでに日本でも見られるので、ストーリ紹介はスルーしてます。

 

「晴雅集」

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 こちらは「陰陽師」を原作に、もう一つ「瀧夜曲」という作品との二部作・・・のはずですが、「瀧夜曲」まだ出てないですよね。

 陰陽師というと安倍晴明源博雅のコンビが、持ち込まれる怪異な事件の解決に乗り出すというパタンがお馴染み。この映画でも晴明と博雅の二人が手を組んで、妖異に対抗していくところだけは原作に則ってるんですが・・・なんか違う。

 趙又廷の晴明のキャラもかなり原作からは離れているんですが、鄧倫の博雅が違い過ぎる。音楽にたけた心優しい男、惚れっぽくて純粋、でも正義感は強いという愛すべきキャラですが、映画の博雅は彼自身が法術を使うし、人を疑うところから始まるし、威丈高だし、博雅のキャラではない。この映画の「晴明」の相棒としての「博雅」はありかと思えます。

 版権を認められたとは言っても、原作のおもむきがほとんど見当たらない。それならいっそすっぱりと名前だけを借りたオリジナルにしてしまった方が気分良かった気がする。

 と思うので、原作に目をつぶって、この映画だけの話。

 

 晴明の師父賀茂忠行と不老不死の女性芳月との愛がすべての引き金となって、都を蛇妖が襲う。話の根幹はこの二人の関係ということになります。蛇妖をなんとかして防ぎ、都を守ろうとする晴明と博雅。博雅は自分の体を朱雀神に譲り渡し晴明の式神となって、妖異との死闘を繰り広げます。いや、格好はいいんですが、こんなの博雅じゃない・・・と思う原作迷。くどいw

 

 蛇妖の王鐸と博雅の鄧倫が二人とも上半身むき出しで筋肉美見せつけています。延々と続くこの戦いに裸の男二人がずっと取っ組み合いしてたのがだめだったんじゃないかと勘ぐる向きもあるようで。とはいえ、作品そのものより導演のこれまでの所業が上映中止になった原因ではないかという見方がまあ大勢のようです。七日間も裸でワイヤにつられて怪我までした挙句に上映中止の原因と言われたら鄧倫も王鐸もたまらんよな~と同情に耐えない。

 

 この巨大な蛇の造形とか都を守るバリアとかコンピュータで作られた部分はきれいにできているとは思うのですが、その「どこでもドア」だけは何とかしてくれと思ったw

 

 演員的には早いタイミングで退場した法師瀧夜に春夏。この人が次の作品の主人公なんでしょうね、でればいいのですが。

 長平公主に王子文。登場時点の手の込んだ誰かわからないようなメイクは一場面だけでした。王鐸は最初に晴明の師父賀茂忠行の老けメイクで登場、法師鶴守月とのほぼ二役。この二人が長年にわたっていろいろな人間として巡り合うとか・・・「琉璃」で見たな、さすが郭敬明とか思ってしまうのは演員にとっては迷惑極まりないとはわかってるw

 

演 員     角色
赵又廷  飾  晴明
邓 伦  飾  博雅/朱雀神
王子文  飾  长平公主
春 夏  飾  泷夜
汪 铎  飾  鹤守月/贺茂忠行
孙晨竣  飾  杀生石
徐开骋  飾  狂画师
欧米德  飾  雪天狗
雎晓雯  飾  百目妖
芦展翔  飾  金灵子
王 倾  飾  发妖
職員
制作人   杨巍、刘博
原 著   梦枕貘
導 演   郭敬明
編 劇   郭敬明
撮 影   车亮逸
配 楽   川井宪次
芸術指導  屠楠
動作指導  孙诺
造型設計  黄薇
服装設計  侍慧
視覚特效  宋威


侍神令

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 こちらは陳坤、周迅が何度目かの共演。それに陳偉霆、若手の屈楚蕭、沈月らが加わって、豪華な画面となっています。直接に夢枕獏作品が原作とはなってないんですが、どうやら屈楚蕭の袁柏雅が源博雅、周迅の百旎が八百比丘尼、陳偉霆の慈沐が茨木童子と「原型」にはなってるようです。


 演員的にはこちらの方がキャラも多くて華やかでしょうか。加えて、CGキャラもたくさん登場して、人間のキャラと対等に活躍しています。初めに画像で見たときには子ども向きかと思ったんですが、そんなことはなかった。どこかスターウォーズの異星人たちであふれる酒場とかを思い出させるCGメインの場面と人間中心の場面が素直につながり、違和感もなく両者が共存してるのが技術の発達を実感させます。

 
 陳坤と周迅はこれまでにも「画皮」や「龍門飛甲」なんかで共演してますが、今回は、同じように陰陽師の修業をしていたが、晴明が師兄慈沐を殺したと追放され、立場を別にした。その慈沐が陳偉霆で、今回意欲満々な反派。

 こちらも途中で変身した慈沐が片肌脱ぐので、おいおい~と思いましたが、しっかり特殊メイクきめてました。


 彼の率いる妖異の群れが都に襲い掛かるのを防ごうとする袁柏雅や晴明の侍神たちが決死の戦いを繰り広げるところに、晴明が現れ妖と化した慈沐と戦う・・・

 「晴雅集」で郭守月が一体化してのっかってたのが蛇妖なら、こちらは蜘蛛妖のように見える巨大妖怪の上に慈沐がのってましたが、これ蜘蛛ではなかったwそこは茨木童子ということで、察しですか?

 

 こちらは晴明と百旎のつながりとか袁柏雅と枕月の神楽に恋愛要素のかけらくらいが見えるだけで、そちらは全くメインには置かれてません。

 ゲームはしたことがないですが、ゲームキャラの晴明は白髪なので、そこに至るまでの物語だったようです。 全体としては晴明が妖異たちのボスになっていくまでの話を描いているということでしょうか。

 

演 員     角 色  配 音
陈 坤  飾  晴 明  陈 坤
屈楚萧  飾  袁柏雅  屈楚萧
沈 月  飾  神 乐  沈 月
周 迅  飾  百旎音  周 迅
陈伟霆  飾  慈 沐  王敏纳
王丽坤  飾  桃 花  王丽坤
王紫璇  飾  雪 女  王紫璇
张双利  飾  西 残  刘 琮
CGキャラ   海坊主  孙红雷
王悦伊  飾  八彩
刘若谷  飾  少年晴明
艾 米  飾  少年百旎

職員
出品人   陶昆、刘国男、王中军、焦宏奋
制作人   王中磊、陶昆、刘国男
監 制   陈国富、张家鲁
導 演   李蔚然
編 劇   张家鲁
撮 影   王博学
配 楽   梅林茂(作曲)
芸術総監  赤冢佳仁
動作指導  李志忠
造型設計  易小雅
視覚特效  李治勇 、贾斯汀·琼斯、华特·琼斯、Andreas Jablonka