江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

山河令 その8 原作「天涯客」ちらっと見

「天涯客」も覗いてみました

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「山河令」の原作「天涯客」。これもちょろっと覗いてみました。
 ドラマ視聴済みの方、もしくは見る気ない方向きということで、とにかく「読書感想文」です。

 

 ほぼドラマと同じ流れで話が展開、「鎮魂」のように設定そのものが変えられているというようなことはありませんでした。

 主役二人や主だったキャラの背景や性格付けも大きな変更はなかったのですが、五湖盟や鬼谷、毒蝎あたりには変更というよりドラマの方が詳細に表現されています。安吉四賢なんかまったく出てきません。

 全体的にドラマの方が細かい描写がされている中、例外と言っていいのが温客行が鬼谷へ入っていく場面、それに連動して前谷主を討ち果たすところの描写ではないでしょうか?

 ドラマの中では、喜喪鬼が両親の復讐を果たす!と恨みに燃えている少年温客行にすべてを忘れて鬼谷の鬼になれと孟婆湯を飲ませる。それでもこの恨み、忘れてなるものかと抵抗し続けるという話になっています。
 原作では、少年はこのままでは自分も殺される、両親は顔も見分けられないほどに無残に殺された、復讐のためにこいつらの仲間になって生き延びる、そのためには鬼と認められなければならないと鬼谷の谷主たちも「こいつは!」と驚くような行動をとります。
 だから、前谷主を殺した時にもただ首をとっただけではない・・・十大悪鬼が温客行を「疯子」と呼ぶのも無理はない。

 とにかく子どもにさせていい演技ではないと思う常識人。

 

 顧湘と曹蔚寧は一番改編の影響を受けていないキャラですが、ほんといいカップルなのに・・・

 

 ドラマじゃあまり重要な役割をはたしていない七爺と大巫ですけど、原作では最終的に周子舒を助けるのは彼らの働きです。そこから雪山に籠るのは同じでも、こちらの二人も張成岭も一緒にいってます。

 

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 で、一番大きく変わったのが毒蝎の首領蝎王こと蝎子でしょうか。ドラマのような趙敬との義理の親子関係もなくて、どこやらけなげにも見えるキャラとは全く違っています。女遊びも男遊びもする、女性的な美少年は「せっかく男遊びするのに、女っぽいのはいらん」というような人物です。

 

 彼関係で一番笑ったのは、様子を探りに周子舒と温客行が行った時の話です。
 様子を見ると蝎王は情事の真っ最中。それを覗いてる方もちょっとその気になったりw
 蝎子は二人に情報が欲しければ賭けをしようと言い出す。蝎子が負ければ情報を渡す、勝ては楽しませろというわけで、一度は勝ったけど二度目は負けた二人。蝎子は服脱ぐか?風呂入るか?何かいるか?と畳みかけます。すでにそういう関係なのを見抜かれてます。この危機に周子舒は春画(しかもパラパラ漫画w)を描いて蝎子に渡し、二人を驚かせています。そういや絵は得意でしたっけw

 

 二人はイチャイチャやっていますが、そういう描写はあっさりしています。これから日本でも「魔道祖師」原作がでるそうですが、規制が入って削減された後のバージョンでも相当に濃厚な描写がされているのに比べりゃ水みたいなもんですw

 「魔道祖師」は相当なもんです。魏嬰が「俺が妊娠したら、どうするんだ?」とか藍湛をせめるくらいのものですから・・・と、削除された分だったかもしれない💦

 ただ最初から温客行が「阿絮~阿絮~」とせまっていくので、周子舒を「老婆」としているファンサイトみかけますが、どうなんでしょう?周子舒は温客行に「小娘子」「夫人」と呼びかけ、自分を「夫」と呼んでますし、温客行も周子舒を「相公」、自分を「妻」と言ってる。

 負けたら一晩一緒にと蝎子に言われた周子舒があっさり承知すると温客行が「一緒に寝るようになって随分になるが、そんなに簡単にうんと言ったことはなかった!」と嫉妬むき出してます。これが藍湛なら、もう蝎子は目で殺されてますなw
 
 原作とドラマの大きな違いはドラマの大物キャラがほとんど原作での扱いが小さいことにもあります。高崇もほぼナレ死、ドラマじゃ結構重い役になってる沈慎とかもさっさとナレ死してます。

 鬼谷のメンバーも結構詳細に描かれてるドラマに対して、原作ではほとんど「棒人間」程度の描写しかなくて、彼らなりのルールで谷主温客行を抹殺して取って代わろうとしています。

 ラスボスになる趙敬や蝎子に個人的なつながりはなくて、普通に反派。原作でもドラマでも一番腹の立つキャラは清風剣派の掌門。こういうところは変わりません。

 原作の方がドラマよりあっさりした感じを受けるのは量的なものもあると思うのですが、ドラマの画面作りのせいもあると思います。例えば原作では花咲き乱れる四季山荘には行っていません。楽しい年越しをするのは殺風景な龍淵閣こと傀儡山荘です。それだけでもずいぶん感じが違います。

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 もっとも温客行と付き合うようになって人格変わったと七爺と大巫カップルに言わせた周子舒と温客行の危ないやりとりは原作の方がたっぷりなのは当然でしょうか?

 そもそも原作の二人には師兄と師弟という関係はない。この関係があるから、龍雀の話を聞いて初めて温客行とは何者だったかわかった周子舒が彼を抱き寄せたりする場面が審査を通ったんでしょうね。なるほど、制作陣よく工夫してます。

 同時に、一応「兄弟」なのでこの後の二人がいくらべたべたしていても、同性恋イメージが和らげられている。

 

 温客行の身バレからの死の偽装とか二度めの鬼谷攻撃とかは原作にはなくて、一気に話が進んでいます。ドラマは長さを保証するためにも話が膨らませてあるし、派手になってるのは仕方ないところ。と言って恋話の方に力点が行ってしまって、疎かにされてるという感じは受けませんでした。

 ドラマの大結局のその後というのが彩蛋という形で出ていますが、こちらまで含めると終わり方に大差はないように思います。でも、周子舒の命を助けるのは大巫なので、六合神功がらみの話も白髪の温客行もありません。
 三か月間昏迷していた周子舒が意識を取り戻すところで本編は終わってます。

 この後に、番外が長明山での日々の話、顧湘と曹蔚寧の死後の世界での話、葉白衣の話の三編。

 

 とりいそぎ、ざっとした「天涯客」紹介ですが、何度も書いてるように私の中文理解は未学習者が都合よく妄想してるだけなので、間違いだらけ確実です。話半分、いや十分の一くらいでお願いします。

 今回お世話になったのはこちらです。https://www.zhenhunxiaoshuo.com/tianyake/

 物は試し、覗いて見られてはいかががでしょう?