江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

鏢行天下前伝 その1

1~5集

 鏢行天下で出来の悪い息子のために、自分の店ほっぽり出して右往左往していた親父さん王兆興の若い頃を主人公にしたドラマです。
 
 話は前作の30年くらい前ということになりますが、制作されたのはこちらが後で、前作の「失敗」「不足分」をうまく補って、面白いドラマに仕上がってます。
 息子バージョン放送中に何度も寝落ちしかけたのが、嘘みたいですわ。
 
 中華ワールドではこういう1時間半~2時間ぐらいのミニドラマは映画枠に入るみたいなんですが、ともかく長編ドラマ10本です。その前半1~5集。
 若干ネタ割ってるかもしれません。
 
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1、《鏢行天下前伝之四百里加急》
 ペーペーの錦衣衛王兆興がエリート集団飛魚営への昇格試験をうけているシーンからスタート。
 非情になりきれなくて試験に落っこちた王兆興だったが、大事な地図を届けるという新たな任務を与えられる。
 途中、賊に襲われて崖から落ちた王兆興、お約束通り通りかかった平安鏢局の一行に助けられる。
 平安鏢局を率いるのは谷平安という娘で、彼女がヒロイン。
 息子バージョンのヒロイン沈飛燕がキーキーやかましいだけで、ほとんど何の役にも立たなかったのに対して、こちらは鏢局をしっかりと切り盛りしている自立したヒロイン。ツンデレってのはこうじゃなくちゃいけません。実力もないのに、キーキー騒いで、周りに迷惑をかけているだけの厄介者はツンデレとは言えませんよねえ。
 
 小悪党かと思ってたのが、けっこうなラスボスだったりして、アクションシーンも結構充実。かつての台湾四小天王のうちでは、呉奇隆が一番武侠系アクションがうまいなあ。
 
 で、王兆興とその大師兄、師妹との感情のもつれ、大師兄の死なんかも描かれる。錦衣衛クビになるのを覚悟していた王兆興だったのに、特別に飛魚営に昇格できたものの、身分を隠して平安鏢局の鏢師になるよう指令を受ける、というのが第1集の話。
 
2、《鏢行天下前伝之至尊国宝》
 平安鏢局は、宝物を守る仕事を引き受けるが、王兆興は同時にこの仕事を錦衣衛からも指示される。
 30年後に息子が作っていた宝物を守るための仕掛けと大泥棒九尾狐が登場。
 あんなロープ張っただけの仕掛け、抜けられなくても壊しちゃえばおしまいだと誰もが思ってたのをそのまま「外せなくても、壊せる」と九尾狐が言ってたのは(笑)でしたねえ。

3、《鏢行天下前伝之庫丁之謎》
 今度はどけちな依頼人とその妻子を護衛する話。

 話の中で、王兆興はその依頼人の前で二度自分の身分を明らかにしていますが、そんな必要があったのでしょうかねえ?言わずもがなだった気もします。

 このどけちな依頼人とのやりとりとか、無口で苦虫噛み潰してるような表情の役が続いていた呉奇隆が軽快な役を演じてるのも楽しかったです。
 
4、《鏢行天下前伝之虎口奪鏢》
 谷平安は一人旅の娘を護衛して旅に、王兆興も表向きは鏢局の仕事、裏では飛魚営の指示で偉いさんの護衛の旅に出発。
 途中で平安たちが誘拐され、それは大変と偉いさんの護衛を師妹に押し付けて救出に向かう王兆興。
 そこにはかつて義父の下で共に修行した師兄游四が役人をしていた。
 何をやっても優秀だった自分がなぜ錦衣衛になれず、義父の下を追われたのかというトラウマを抱えた游四を修革がやってますが、この人と呉奇隆が同輩ってのは・・・いいのか?呉奇隆が若く見えるだけか?
 平安との距離はどんどん縮まってます、というか彼女はもうベタ惚れ・・・
 
5、《鏢行天下前伝之漠上風雲》
 月牙鎮という砂漠の街に商隊を護衛してやってきた平安鏢局一行。
 王兆興はここにいるはずの錦衣衛時代の友人高翔を探すが、誰もがそんな人間は知らないと言うところから話がスタート。高翔を探し、商隊襲撃犯を探す間に、軍の不正に気づく・・というお話。

 王兆興は、なんで俺だけが鏢局に潜ってなきゃいけないんだとぼやきながらもどんどん鏢局の仕事に入れ込み、平安との仲は深まり、反対に男なら国家朝廷のために働くんだと言っていたはずがそちらへの幻滅を強めていってます。

 それにしても、あっちこっちで錦衣衛の友人やら師兄やらが現れ、錦衣衛時代の話とか出てる。崖落ちして助けられた時の身の上話がでっちあげだとばれてもおかしくないんですがねw
 
 主人公は息子なのかオヤジなのかよくわからなかった前作に比べ、主人公が王兆興@呉奇隆一人に絞られてるんで、話がすっきり整理されて見やすくなりました。ヒロインもきっちりとしたツンデレぶりが痛快です。
 全体を通して、朝廷の役人錦衣衛こそ男の生きる道!と思い込んでいた主人公が、いかにそれに絶望し、鏢局の人間となりきっていくかというのがテーマなんでしょうから、その流れもはっきりしています。 

 最近、不必要なまでに入り組んだドラマやら、ねちねちした嫌がらせの大奥ドラマ、出来の悪いヒロインがのさばるドラマに食傷してたんで、こういうわかりやすいすっきり系ドラマは歓迎です。