江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

鐘漢良版天龍八部 その7

第46~だいたい51集

 西夏の婿選びから段正淳一家の結末、段譽が皇帝になって、虚竹・段譽パートはお休み、蕭峯パートに。ここまでが大体51集。
 目が治った阿紫が遼に戻るところから、南征に反対した蕭峯が囚われ、それを中原武林一同が虚竹、段譽らとともに救出に向かい、雁門関の悲劇的結末へと続きます。
 厳密にいうと、53集あたりの内容も含んでますので、「だいたい」です。

 というと、私が読んだ旧版の原作でも、張P版でも、記憶がすでに曖昧化している黄日華版でも同じですが、やはり改編版をもとに脚本ができてるんで、今回の視聴部分は大きく違っていました。
 で、ちょっと詳しめに行きますんで、差し支える方はここまででお願いします。まあ、基本的な構成は変わってません。

 西夏王はこの人でしたw

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 ここまで進んできて思うのは、確かに慕容復は4人目の主人公です。

 まず、西夏の婿選び。三つの質問の答えを西夏王から耳打ちされていた慕容復は「じゃあ、別室でお待ちください。姫様がお話を・・・」まで漕ぎつけ、得意の絶頂。

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 ところが、段譽が「それって、二哥のことなのに。」と口出ししたせいで、虚竹と銀川公主は無事めぐり合う。
 あと少しで、西夏の婿に収まって、燕国復興と喜んでた慕容復は、段譽に怒り心頭。うんと持ち上げといて、突き落とすんですな。
 しかも、自分一筋だったはずの王語嫣を段譽が「これからは僕が大事にする」とかばい、語嫣もあえて慕容復についていこうとしない。
 慕容復の人格崩壊し始めています。

 ともかくこんなふうに、慕容復の精神が壊れていく過程を相当丁寧に追っかけてます。

 段延慶ととりひきし、曼陀山荘で段正淳から大理の王位を得ようとする話。ここも段譽がその場にいないし、段延慶があまりしゃべりもしないんで、まるで慕容復と段正淳が主人公みたいです。

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 皆様ご承知の話を経て、段正淳とその愛した女たちはこの世を去り、両親も、自分自身もなくした段譽が残される。

 で、雲中鶴に王語嫣でなく、鍾霊がさらわれ、こっちは簡単に助けたものの、今度は慕容復が王語嫣を人質に大理の兵馬を要求する。

 木婉青をかばって、慕容復に剣で刺された段譽。
 あわやというとき、段譽を助けに現れたのは、段延慶。息子をかばって、慕容復に倒され、ここで「父親と認めてくれないのか」「父さん~」の愁嘆場。

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 段譽の中の人、泣きの演技はうまい、さすが韓流スター。

 でも、これが林志穎と計春華だったら、どうなってたかなあ~~と妄想しながら、見てたのは当然といや当然ですよね~~



 結局、「父親」を助けようとした段譽にまたしてもこてんぱてんにやられ、また壊れていく慕容復。

 慕容博の「墓」に向かって、荒れまくって恨み言を言ったり、雲中鶴に「皇上、万歳~」と言わせたり、挙句の果てに崖落ちして、生きていたものの燕国復興は成功したという妄想にとらわれてしまう。

 ここまでの間、完全に慕容復が話を引っ張ってます。

 これから、大理に戻った段譽が皇帝になり、木婉青と鍾霊、王語嫣の三人との関係がこじれるんですが、徹頭徹尾王語嫣は慕容復一筋。結局、彼の世話をしていくことを決心して、大理を去っていく。

 自分が燕国を復興したという妄想の中に生きている慕容復の生活も詳しく描かれ、それに怒る段譽、それだから共に生きていくという王語嫣のすれ違いもはっきりしてます。本当の皇帝となった段譽からすれば、自分の妄想の中で「好皇帝」として天下をおさめ、「愛してやまない」王語嫣を皇后にしようとする慕容復は許せないし、その慕容復の夢を壊さないようにしてやろうとする王語嫣も理解できない。納得しないまま、蕭峯囚われるの知らせを聞いて、燕子塢を去っていく。

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 なんか、王語嫣も段譽がいちゃいちゃしてないのって、落ち着かないんですが…私だけがそう思うんじゃない証拠にやたら「僕たちは生死之交の友」という言葉が出てくる。
 この展開にするなら、段譽があんなに王語嫣を追っかけちゃいけませんて。
 前半での段譽のストーカーぶりはどう見ても、気があるとしか思えない。いくらセリフで友達友達と言っても、これまでの話になじんでいる人間にゃ通用しませんよねえ。

 この物語では、蕭峯、慕容復、虚竹のそれぞれの親子関係、段譽は親子プラス関係者一同の関係が、物語の一端を占めていて、それぞれが親、それも父親が発端となった「出来事」のせいで、翻弄されています。結果オーライの虚竹、段譽はともかくとして、出自がわかったばかりに自死を選ぶことになる蕭峯、父親に従い燕国復興の夢をなんとかかなえようとあがき続けたのに、あっさり父親に捨てられ、壊れていく慕容復。西夏から曼陀山荘のあたりでは、完全に狂気をはらんだ慕容復が主人公です。人生の一大転換を迫られる段譽も、ここでは二の次になってます。

 この後は、一気に雁門関の悲劇になるわけですが、長くなるんでここまでで一区切り。