37~47集
前回ブログ更新のところから引き続いて、10集以上かけてまるっと嫪毐の乱を取り上げている今回視聴分。主人公が嫪毐だと言われても納得しそうな質量でした。
これまでいくつか秦の始皇帝ドラマとかは見てるんですが、ここまで詳細に嫪毐の乱を描いてるのってなかったと思う。短いのだと、嬴政が趙姫と嫪毐の子どもを切り捨てて終わり、みたいなものあったような・・・
そりゃ78集もあるから、じっくり描けるんだとも言えますけど、それだけじゃないと思う。
そもそも嫪毐を趙姫の元に送り込んだ呂不韋の思惑から始まって、趙姫が彼にのめり込んでいく過程、嫪毐が徐々に大きな野望を抱くようになっていく過程が丁寧に描かれています。
そして、いつ嬴政がそれを知るのかというスリル。
結構早い時点でその情報を得ていた李斯が自分で嬴政に告げることなく、嬴虞を利用して嬴政をたきつけ、自分を安全地帯に置くいやらしさとか、嬴政のためと政権を渡さない呂不韋が時流から外れていく様子、表向き母と仲父に逆らわずに嫪毐の横暴も見て見ぬふりをしている嬴政の深慮遠謀とか、実際に嫪毐が蘭を起こすまでの経過がこれでもかというほどに詳細に描かれています。
この嫪毐の乱に関わる大勢の姿が活写され、それぞれを主役にしたドラマができそうです。
大枠のドラマの組み立ての巧みさはもちろんなんですが、同時に細かい描写が丁寧なのもよいです。
例えば髭。13歳の嬴政が20になると薄い髭が生え、冠礼のころには立派な髭を蓄えている。嫪毐も登場した青年期には髭はまだなく、再登場したときには髭があったが、髭を抜かれて偽大監となって趙姫の愛人になり、やがて謀反を起こす時にはまた髭を蓄えているとか、とにかく髭一つでも彼のおかれた状況が見て取れるんです。
嫪毐が趙姫の権限を自らのものとして、朝廷を跋扈し始める裏では、嬴政が李斯や王綰、蒙恬らと着々と親政を始めるための地歩を固めている。
そのクライマックスが雍城で行われる嬴政の冠礼、秦王や宗室、重臣たちの多くが咸陽を留守にするのを好機到来と嫪毐が謀反。病気を理由に咸陽の自宅に籠っている呂不韋、嬴政の子扶蘇らを抹殺し、咸陽を掌中に収めようとします。
咸陽などでの反乱軍と嬴政軍の戦いがたっぷりと描かれ、並行して雍城で強行されている嬴政の冠礼の儀式が描かれています。
でも、それ以上にどういう経過でこの軍を動かしたのかとかいう部分、そこに至るまでの計略や人々の動きがたっぷりと描写されているのに満足。
いや、それより思いあがった嫪毐が謀反を起こしたという図式にもっていくまでの嬴政サイドの蜘蛛の巣のようにはりめぐらした策略から目が離せない。嫪毐、自分の能力で長信侯にまでの仕上がり、派手に人脈を築いて、自分の子を秦王にしようとまで思ってたんでしょうが・・・
ある意味板挟みになってる呂不韋の懊悩も見ごたえありました。
李斯に嫪毐の元に送り込まれ、どんどん泥沼に落ちていく嬴虞の姿も際立っていました。
華陽大后と嬴政が接近したり、最初の方で咸陽を追放された陽泉君が許され戻ってきて、今度は嬴政のために命げけで兵を率いるとか一筋縄でいかない人間関係にも注目。
嬴政の人物描写も人質時代から続く孤独感とか人恋しい面があって深みを持たせてます。食えない李斯との利用し利用されという関係もまたスリリングです。
配信開始当初に比べて中華サイトの評価が下がってるのは、定番通りのキャラでないからという話も見かけますが、私はだからこそ面白く見ています。
将軍樊於期が秦を去ることになる理由が唐突に見えないのも、これまで彼の人物像をしっかり描いてきたからだし、それは他のキャラにしても同じ。
いよいよ政権を掌中にした嬴政がこれから六国を平定して、天下統一に乗り出すのが後半のメインなのは当然でしょうね。
中華サイトの評価はともかくとして、現時点まで全くテンション下がらずに見続けられるのは貴重です。いやもう、イケメンも美少女もいらない、こってりした大人のドラマが楽しくてたまらない。
しかし王翦の尤勇改め尤勇智@欧陽峰@射鵰英雄伝がしぶくて、かっこよくて、たまらんかったw