江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

風起洛陽 その1

1~6集

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 初日配信分です。なんというかさすが馬伯庸原作。一筋縄ではいかないドラマ展開とこれも一筋縄ではいかないキャラが勢ぞろいで、なかなかずしんとくるドラマです。つまり、私の好みw
 

 ダークな雰囲気とエキセントリックなキャラが跋扈する中、なぞ解きとアクションにロマンスも楽しめるドラマだと思います。というか、そうなるといいな~何しろまだ6集見ただけw

 話はなんとなく「唐代」というのは「長安十二時辰」と同じ。聖人と呼ばれる皇帝は女性ですから、武周の時期とみていいですよね。

 ドラマの紹介では王一博演じる百里弘毅は父の死の真相を探るため、黄軒演じる高秉烛は自分の無実を証明するために、手を組んで調査を始める。そこに高秉烛を捕らえようと宋茜演じる内衛の武思月が関わってくる、という流れのようです。ただ、ここまでの内容、展開の速いドラマだと第1集が終わらないうちに、3人が義兄弟にまでなっていたりするのですが、そう簡単に進んでいくはずもない馬伯庸原作。でも、スピード感はあるのです。

 

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 まず今回もしっかり作り込まれた洛陽の街が目を引きます。百里弘毅は名の通ったグルメ評論家だし、博識、頭脳明晰、興味のあることにはまっしぐらだけど、全く周りの事情や他人の気持ちなんかを忖度できないし、一般常識も怪しいオレ様天才児。父親の百里延が工部尚書で聖人の命を受けて巨大建造物を建設中。

 父親は息子の将来をも保証できるよう結婚相手に名家の娘柳然を選ぶが、百里弘毅は政略結婚なんかいやだと拒絶。それでも、どうにか結婚式までこぎつけたその夜に父親が殺されてしまう。

 そこにいたのが高秉烛。彼は事件を追う中で百里延にたどり着いたのですが、すでに彼は殺されていて、犯人にされてしまいます。

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 百里延殺害犯高秉烛を追うのが大理寺と武思月たち内衛。彼らが角突き合わせながら、高秉烛に迫る。洛陽の街を逃げ回る高秉烛、テンポもよく、スリリングな逃走劇です。「長安十二時辰」の張小敬を思い出させますが、あれほど超人的ではない感じ。

 高秉烛が父親殺害の犯人ではないと推理した百里弘毅は彼に接近。あくまで自分の推理を元にまっしぐらに真相解明に挑みます。

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 武思月も高秉烛を追ううちに疑問を持つようになる。こちらは高い武功を発揮するだけでなく、聖人からもらった玉牌、内衛の立場と持てるものを遠慮なく利用しています。

 

 「長安十二時辰」でも様々な階層、民族、職業の人物たちが登場してきましたが、今回のドラマでも最下層の不良井の住民である高秉烛、皇帝と直接交流のある世家の娘武思月や高級官僚たち、工部尚書とは言っても基盤がぜい弱な百里延と様々。

 次々登場する人物たちの思惑や背景も十分に説明されないままに、ドラマは相当なスピード感をもって進んでいきます。6集まで来て高秉烛が5年前の事件の仇を追っていることくらいはわかりましたが、洛陽に来て殺された告密者の父娘は百里弘毅に何を伝えたかったのかとか、そもそもすべての黒幕らしい仮面の人物は誰なのかとか謎は山のようです。

 

 私の注目点は何と言っても「三国機密」や「長安十二時辰」と同じ馬伯庸の原作という点にあります。一癖ありそうなキャラがたくさん登場するのですが、それを演じる演員の顔ぶれもまた楽しみです。

 

 黄軒の古装も久しぶりですが、その上アクション系というのは個人的には初めてかもしれません。
 このドラマ、王一博が出ているというのが前面に出てしまっていますが、彼にしてみれば力量の高い演員に囲まれてここががんばりどころでしょうか?空気の読めない天才児、興味のないことには全く無関心というのはどこか「エレメンタリー」のシャーロック・ホームズを思い出すキャラです。
 宋茜はちょっと力み過ぎかと思わないでもないですが、武打シーンはよく頑張っていて迫力十分。
 柳然の宋軼の方は百里弘毅を夫にすると決め、自分に目もくれない彼についていこうとするけなげキャラとも言えますが、なよなよしたキャラではなく「百里弘毅を夫にする」という自分の意志を貫く凛としたキャラです。

 

 どことなく平安朝の十二単風な造形の咏梅の聖人、シンプルなスタイルにかえって強大な権力をイメージさせるのは「慶余年」の皇帝と同じです。

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 百里延の高曙光は「慶余年」の范閑父范建。百里弘毅の妻柳然の宋軼は范閑の妹若若。彼女どうも微妙な結婚をする役に縁があるようでw
 武思月の兄で内衛の上官武攸决の張鐸、高秉烛に協力する白浪の蒋龍、大理寺卿高升の馮暉とかが登場していますが、この後も続々お馴染みの顔ぶれが出てくるらしいのが楽しみです。