江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

夢華録 その1

1~8集

 劉亦菲、15年ぶりのドラマ出演というのが話題だったこのドラマ、画面もきれいだし、ストーリも期待以上におもしろいし、メッセージ性も高くてもう大満足。週前半は「説英雄誰是英雄」でとにかくめんどくさいことは抜きで武侠ドラマを楽しみ、後半はこちらを楽しむという理想的な状況がやってきました。夢のようですw

 

 ドラマは元雑劇をベースにしているそうですが、現代的なテーマをうまく宋代という時代に持ち込んでいます。科白から判断するにどうやら仁宗期のようです。

 主人公グループは劉亦菲の趙盼儿、柳岩の孫三娘、林充の宋引章の女性三人組に趙盼儿と出会い協力関係になる陳暁の顧千帆でいいのかな?

 海報とか見てると趙盼儿と顧千帆のラブストーリ的な印象を受けます。実際に初回配信分の8集を見た限りではそんな感じは受けないし、決してそこがメインじゃないように見えます。

 

 何よりまず注目したのは彼らの人物設定です。趙盼儿はもともとは役人の娘で、父が罪に落とされ連座して官奴となり妓楼にいたのを県令に解放され良民に戻って、茶楼を経営。私には恥じるところはないといいながらも、賤籍にあった過去が付いて回ることに怒りを覚えています。彼女には都に科挙のために行っている欧陽旭という婚約者がいる。しかし探花になった彼は高官の娘との縁談を受け、趙盼儿を妾にすると言い出す。

 孫三娘は貧しかった夫のためにさんざん働き、ようやく財産もでき、一人息子を厳しく育てていた。それなのに夫は彼女を追い出し、息子を別の女に渡してしまう。

 一番年若い宋引章は楽妓で琵琶の名手。彼女の金を狙った結婚詐欺に遭い、虐待されている。

 それぞれつらい過去と現在を背負っているが、それに負けずに事態を好転させるために力を尽くしていきます。

 

 まずは、金を渡すのを拒否したために、食事も与えられずに夫に監禁されている宋引章を助けるために、趙盼儿は知恵を絞ります。

 

 彼女たちを陰ひなたに援助しているのが陳暁の顧千帆。彼は皇城司で「活閻羅」と呼ばれる凄腕の副使。皇后の醜聞が流出している事件の対応に銭塘に派遣されてきた。敵の罠にかかって、指名手配犯にされてしまい、趙盼儿と助けたり助けられたりしている。

 

 この彼、実は朝廷の高官蕭欽言の実の息子。昔夫が浮気をしたと怒り心頭の母親が千帆を連れて、実家の顧家に戻ってしまい、息子は父親に反感を植え付けられて成長してきた。それで進士には合格しているし、父が高官だから官位官職は思うままのはずなのに、顧家の後を継ぐと命を的の皇城司に入った・・・「琅琊榜」の夏江一家を思い出すw

 

 宋引章や趙盼儿は妓楼にいたことで人から貶められてしまう。ですが、宋引章を狙った周舎のようなのは別にすると、このドラマの登場人物たち、みな身分、出自が原因で苦しんでいる。政府の高官である顧千帆の父蕭欽言も、寒門の出であることを武門の名門であった妻の一族に軽んじられ、ついには息子まで取られたと憤っている。
 
 趙盼儿を捨てて、権臣の娘高慧に目を付けられて婚約をするしかなかった欧陽旭は今度は彼女との格の違いに圧迫されている。加えて、趙盼儿と縁を切らそうとする周囲の「善意」にも苦しんでます。

 

 ずいぶん重いテーマを持っている感じなのに、ドラマ全体の雰囲気は決して暗くなく、むしろ明るく元気です。

 

 配役は襲い掛かる災難を決して運命とあきらめない主人公の女性三人が劉亦菲、柳岩、林充というまったくタイプの違う三人。

 柳岩というとあちこちのドラマや映画でお風呂場面だけが見どころキャラ、でなきゃ衣装の面積の少ない反派みたいな配役ばかりで使われていた気がしますが、今回は気持ちの良い肝っ玉姐さんを好演。

 林充は、「美人魚」や「闘破蒼穹」で見てますが、こちらも今までとはちょっと違う役どころでしょうか。

 劉亦菲の出演に「仙剣奇侠伝」「天龍八部」「神雕侠侶」が頭に焼き付いてる現地の皆さんから「神仙姐姐下凡了!」みたいなコメントが出てるのをたくさん見かけましたが、陳暁が別バージョンで楊過していたことにふれたのは見かけないぞ。まあ、ふれなくてもなんも問題ないですがw

 

 趙盼儿がようやく見つけた欧陽旭に徐海喬、彼の友人杜長風に張暁謙@琅琊榜の穆青、池衙内に代旭となかなかな顔ぶれ。



 イケオジ枠の方はまだ出そろってないようですが、とりあえず蕭欽言は王洛勇@神雕侠侶郭靖でしたw
 
 現時点で厄介な状況におちこんでいる彼女たちが現状をどう打破し、将来を切り開いていくのかが楽しみです。宋という時代の中で、登場人物たちが絡みとられている差別をどう扱っていくのかも大いに気になるところです。
 時代背景を考えれば、限界は当然あります。けれど、皇帝やその一族、高官たちを扱ったドラマだけでなく、こうやって身分や性別、職業による差別を正面から取り上げてくるドラマが多いのは、最近の中国古装劇の特色の一つではないでしょうか。そこにまた一つ佳作が登場?と視聴意欲が湧きあがっています。