江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

歓楽英雄之小侠外伝 その1

1~9集

 3月に見始めてまだクリアしていない古装劇で唯一幻玄劇ではないドラマなのですが・・・💦


 とにかくドラマ冒頭に原作者古龍へのリスペクトがバンと出されています。古龍とか金庸とか言われると、期待する気持ちとまた魔改造されてるんじゃないかという不安がないまぜになってしまうのですよ。大ファンですとかリスペクトしてますと言いながら、原作を見るも無残なドラマに仕立ててしまう例も少なくないわけで・・・

 この「歓楽英雄」ですけど、最初から古龍原作の魔改造で「武林外伝」の劣化版という現地の視聴者の声が聞こえてきていて、過大な期待はかけらもしてなかったのですが・・・ま、それで正解だったようです。

 

 原作者古龍が一番好きな作品と言った小説「歓楽英雄」は富貴山荘に集まった郭大路、燕七、王動、林太平という四人の武芸者の物語になります。金はないが、自分より仲間を大事にするような固い友情で結ばれた彼らが直面する事件を扱ってはいますが、全体としてどこかの国を救うとか、隠された財宝だの武芸書を探す大冒険というような話ではなく、友情や人間関係を主軸においた武侠喜劇。

 

 で、このドラマですが・・・そりゃ喜劇ではありますし、主人公たちの名前はそのまま。ところが、彼らの設定、というより冒頭からの話がもうオリジナル展開なのです。

 冒頭から9集までは、燕七、王動、林太平の父親達が主人公と言った方がいい展開で、いつまでこれやるんだ?と首ひねり続けました。

 王動の父王伏雷、燕七の父南宮丑、林太平の父陸上龍王の三人は百佬会の三長老で、子どもたちに百佬会を継承させて自分たちは引退しようと考えている。その引退までに起こる騒動を描いたのが、今回視聴分になります。
 林太平は父親たちが百佬会の地位を固めるために無理やり玉玲瓏と結婚させようとしていることに反発しています。相手はけたたましくわがまま放題の暴力的な娘で、彼はDVに苦しんでいます。

 王動には紅娘子という相思相愛の女性がいるが、富貴山荘の後継者となる息子にはふさわしくないと父親に反対され、駆け落ちを企んでいる。

 原作だと燕七が、実は女性だというのが彼女の抱える秘密のはずなんですが、ドラマの燕七はただの男装なのか、男性として見られているのかがどうもはっきりしない。

 そこに紛れ込んでくるのが江湖を渡り歩いてきた郭大路です。彼は今回視聴分の最後で、富貴山荘に腰を落ち着けることになります。

 元から一緒に育ってきたという設定の三人と郭大路が強い友情を育てるまでの話にしては、今一つなんですよね~それより父親達の結びつきの方が強固に見えます。

 

 そして、めでたく父親たちは子どもたちに富貴山荘を任せて、街を出て行きます。ところが、山荘にあった金を根こそぎにもっていってしまい、王動たちは明日からの食べ物にも困ることになりました。

 ということで、ようやく富貴山荘なのにろくに寝るところも食べ物もないという原作設定にたどり着いた感じです。

 

 が・・・喜劇というにはあまり笑えないんですよね。
 何より一番お笑いだったのは、キャスティングでしょうか?それぞれ20歳前後の主人公たちを演じているのがみんな30~40代の演員たち、父親役ともさほど年齢差がないと話題になってました。いや、別にそれでもキャラにふさわしく見えればいいんですけど、なんか無理してる感じがしてしまう。

 

 王動には「孤芳不自賞」や「秦時明月」の孫藝州、動かないのがウリなのに動きすぎという指摘もありますが、髭を生やした彼が恋人の紅娘子といちゃいちゃしているところなんか、もう風流な熟年の雰囲気までしてしまう。
 林太平には楊玏なんですが、彼は「清平楽(孤城閉)」の韓琦とかで見てきたせいで今回の林太平のキャラには違和感しかない。何より、おぼっちゃまな少年には見えないのがつらい。
 燕七には藍盈瑩ですが、こちらは「甄嬛伝」で女主の側に仕えていた浣碧で知られています。

 これまでこの人たちの喜劇を見た記憶がないのも、キャラに違和感を感じる理由には違いない。最後4人目の郭大路の白客はその点「三体」の女主を裏切ったインテリ男から喜劇「万万没想到」の主役まで見ていますから、こちらに違和感はない。どの作品で見ても存在感があって、目を引く俳優さんです。

 そして、百佬会の三長老が陸上龍王に「狂飆」にも出ていた賈冰、王伏雷に「夢華録」の袁屯田を演じた劉亜津、南宮丑が李暁強@「開封府」王朝という濃すぎるメンバーで、子ども世代が薄めで太刀打ちできない?というか両世代共に何か気張りすぎている感じでしんどい。

 予算が多くなさそうなドラマの宿命で衣装もセットもそこそこなので、そこを脚本で盛り返してほしいところですが、どうも無駄に長いとしか言えないような気がする。一つのエピソードを長々と9集も引きずるのは、このドラマには向いてないんじゃないでしょうか?テンポよく、場面を切り替えていった方がおもしろいと思うんですけどね~


 個人的には、ギャグとかおもしろく見てほしいんだろうな~という演出がまったくツボにはまらなくて、笑えないのもつらいところです。

 自由に顔を変えられる千面一殺ももっと話をかき回せるキャラだったと思うのですけど、なんか不発?玉玲瓏のDV娘設定も古臭い感じで、彼女のキャラそのものが笑えなかった。逃げ回る林太平をおもしろがらせたかったんでしょうけどね~

 導演の尚敬は「武林外伝」の導演でもあるんですけどね~姿を消した寧財神の存在の重さをひしひし感じてます。
 

 とはいえ、まあ幻玄劇に飽きたときとか、各種「三体」視聴に疲れたときの口直しには悪くないかと思ってはいます。ただ、あまりだらだら展開が続くとフェイドアウトしてしまう可能性は否定できないかもw