江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

少林問道 その1

1~10集

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 今年の初夏ごろには公開されてた郭京飛、周一圍主演の武侠ドラマ。だけど、実際に見てる感じは武侠ドラマというより、歴史劇というか古装の心理劇という感じで、そんなに武侠的なものが前面に出てる感じはない。
 
 この夏、幻城を筆頭に青雲志、仙剣雲之凡等々、幻仙ものだったりトンデモ設定だったりのドラマが続きました。
 まあ、この夏だけじゃない最近の傾向ですけど・・・

 武侠ものにぶっ飛んだ設定や人間離れした武芸が出てくるのはお約束で、それが楽しみでもあるんですが、ふわふわした衣装の幻仙ものが続くと、たまにはこういうのも悪くないかという気になります。

 でも、暗い。重い。誰にでもお薦めできる感じじゃありません。

 第1集冒頭の10分ばかりを見て、この先の展開のあらかたが予想できてしまったわけなんですが、これは経過を楽しむドラマで、結末を楽しみに待つ類のドラマじゃないようだということでスルー。

 舞台は明の嘉靖帝の時代。厳崇厳世蕃父子が政治を私して権力をふるっていたころ。内政はぐちゃぐちゃ、外からは倭寇が暴れ回っている。主人公は、高剣雄、楊秀、程聞道、李蓁蓁の4人の幼馴染の男女。男三人は義兄弟の契りをかわしている。

 その大哥高剣雄は、父親と共に厳崇の一党の高官明徳の走狗となっている。
 
 明徳に率いられた兵が三弟程聞道の一家を皆殺しにする。明徳の命で程家を追いつめた剣雄はわざと矢を射ることで、聞道を崖下に落とす。その聞道は少林寺の僧敗火に助けられる。
 二哥楊秀は、この出来事を李王爺に伝え、報復の手助けを求めるが、李王爺そのものが反逆者として位を追われ、自死を遂げる。
 その娘の蓁蓁も連座し、郡主の地位を奪われ、官奴として青楼に送られることになる。

 なんとか、彼らを助けたいと思う剣雄だが、権力を握る明徳の手のうちで弄ばれているようなもので、することなすことがすべて裏目に出て、なおさら恨みを買うことになる。

 反逆罪で明日は死刑になる楊秀を覆面に顔を隠して、ようよう助け出したものの、武芸を見た明徳にはすべてお見通し。

 この明徳と剣雄の父、そして一家皆殺しになった程聞道の父親もまた義兄弟で、明徳は剣雄の父親の上官という立場で強圧的に迫ったり、時に「二哥・・・」と呼びかけてみたりと変幻自在に高父子を操って、思いのままに動かしている。高ぶらず、優し気な物言いで真綿で首を絞めてくる感じのとにかくいやらしい悪い権力者。

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 そんな明徳に反感を覚え、聞道や楊秀に同調する心を持ちながらも、父親のことを考えると逆らえない剣雄。
 その息子に対して、あれはかわいいやつだ、自分のように無駄な情に流されたりしない人間に育ててやるという明徳、複雑な表情の父親。言葉でなく表情やしぐさで現わす芝居が細かい。

 明徳や父親と蓁蓁たちの狭間に立って苦悩する剣雄と交互に少林寺に助けられた聞道の様子が描かれています。

 道教かぶれの嘉靖帝の時代ですから、少林寺の立場も微妙で、指名手配の反逆者を匿うことにははばかりがある。それでも、敗火の説得でどうにか方丈の許しを得て、矢傷と子どものころから患っていた寒毒の治療をしてもらった聞道だが、復讐の思いに駆られ、5年は治療しないと命は持たないと言われているのに、少林寺を抜け出す。

 出会った楊秀と共に、自爆テロでの明徳の爆殺を図るが失敗。追いつめられた聞道たちは、高剣雄の父親を人質にして明徳の首との交換だと剣雄に迫る。

 この窮地に立ってどうすることもできない剣雄。明徳は父親に息子は任せろ、高家の栄達は約束すると呼びかけ、それに答えた剣雄の父は自殺して果てる。

 父親を失った剣雄は、父の仇は聞道だと復讐を誓う。

 青楼に売られた蓁蓁は、剣雄がおかみを脅したので、娼妓ではなく芸を売るだけの歌妓ということになるが、早速ほかの女たちの恨みをかっています。前回六扇門で同じような経過で歌妓になった令嬢曹懿恩の割り切り振りとはうって変わって、深窓の郡主が男たちに囲まれて、怯えながらも郡主の矜持を失うまいとピリピリしているところも、緻密な描写で彼女の恐怖感をよく現わしてます。

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 倭寇に潜入していた明の兵に助けられ、少林寺に戻った聞道だが、勝手に出ていったので、縁はないと方丈に拒絶される。敗火のとりなしで、試験をパスしたら・・・ということになるが、その試験が口を利かない修行を長年続けている僧に口を開かせたら合格というもの。
 さて、この試験、どうやって・・・というエピソードが来て、初めての「笑える場面」が出てきました。

 ここまでの10集分、暗く、重く、辛い話がつるべ打ちで息つく暇もない感じです。次々と過酷な出来事が主人公たちを襲い、あわやというところで、何とか危地を脱してはいくのですが、だからと言ってよかった~~とはならない。
 でも、ただ運命に流されているのではなく、みながあがき続けています。その強さがうじうじしたドラマ運び大嫌いな人間にも、見続けさせているのかもしれないです。
 
 暗黒者でも、龍門鏢局でも、本人の個性丸出しで、イケイケ~~な芝居やっていた郭京飛がここでは、ひたすら我慢の高剣雄をしています。この後、陰険な先達にしこまれた剣雄がどう変わっていくのかが楽しみです。
 
 それはそうと、これもまた主人公闇落ちの話ですかね?これも今年の流行だねw

 それにしても、内容も悪くないし、ここまで陰々メツメツとした話を見せるだけの力をもったドラマだと思うんですが、なぜか放送がストップになっているらしい。そのせいで、画質のいい動画が上がっていないし、百度で情報捜しても俳優たちの出演作には上がってなかったりして、なんかあったの歴然。なんか詳しいことはわからないけど、導演がどっか消えたとかなんとか・・・
 郭京飛という人もほんと運の悪い・・・龍門鏢局じゃ寧財神の麻薬問題に巻き込まれて第2部どっかいっちゃったし、暗黒者も公開までになんやかやとあったし、今度はこれですからね~暗黒者3は大丈夫なんだろうか?

 琅琊榜之風起長林への出演決まったわけだけど、ほんと満足のいく仕事してほしいです。