江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

法医秦明之読心者 その1

1~14集


 
 法医秦明シリーズの5作目。作るたびに配役も違えば、キャラクターもころころ変わる、ドラマの雰囲気もコロッと変わる「法医秦明」ですが、今回もまた💦

 原作読まずにドラマだけ見てるから、もう頭の中大混乱。それでも毎回ドラマ化楽しみにしてるんですけどね~


 今回は褒めたいところと罵倒したいところが一つのドラマに同居している感じ。原作の読者からさんざん言われているという話、そうだろうなと思う。

 

 今回のバージョンは原作で言うと第1作目の「屍語者」がベース。どこまで原作を反映しているのかわかりませんが、学校出たての秦明が母の故郷龍番市へとやってきて、いきなり事件に巻き込まれるところから始まります。

 法医だけどまだ就職してない秦明が書いた報告書を見た市警察の幹部は、小さな市なので法医は安然という女性一人、手が足りないから手伝えと引っ張り込みます。

 こうして秦明は同じく新人の警察官林涛や安然たちと事件に挑み、正式に龍番市警察の法医になることになります。



 私はミステリが見たい、秦明が異様な殺人事件を暴いていくところが見たい。

 今回のシリーズ14集までで大きく分けて三つの事件を解明しています。初めが殺害された後放置されて膨れ上がってしまった死体の身元を探るところから始まる代理出産にまつわる事件、二つ目が自殺するところを直播した若い女性、彼女は助かるが父親が殺害され・・・という事件、三つ目が客室乗務員の女性の屍蠟化した死体が廃車の中から発見された事件とそれぞれかなり猟奇的な発端で解決するまでに犯人像が二転三転していきます。

 

 でも、ミステリなんだからミステリ部分が充実しているのは当然。

 

 ところが、このドラマ、やたらにラブコメ要素が多い。まずは今回のヒロインらしい安然。龍番市ただ一人の法医だったという位置づけですが、こんな人の話もちゃんと聞かず、自分勝手に突き進む人間が法医としてやっていけるものかというのがまず疑問。

 秦明のコミュ障なところとか潔癖症なところを頭から無視してかかるとかあまりのデリカシーのなさにラブコメキャラとしてもあんまりじゃないかとむかついてしまいました。

 

 遅ればせながらお試しした「余生 請多指教」の女主も同じような自己中で人の話を聞かないキャラですが、ラブコメのキャラだからな~まあ仕方ないか~とあきらめもつく。けど、なんでミステリでこんなキャラが跋扈するのを見なきゃいかんのか・・・

 秦明も相手しなきゃいいのに、だんだん彼女のペースに巻き込まれていくとか・・・典型的なラブコメ展開。
 

 そこへもって、これまで安然一人で切り盛りしてた法医部署にベテラン法医彪哥が若い女性の師弟环环を連れてやってきて、いきなり4人体制。わけがわからん。たまたま事件に出くわした秦明を捜査に加わらせるとか、この警察組織緩すぎないか?とかラブコメのついでにこっちも突っ込む。

 

 この不愛想なベテランが刑事課の李隊の元夫、林涛の11番目の従姉が安然で9番めが李隊、安然が秦明を無理やり引っ張り込んだ彼女の家族が経営する民宿には家族がわんさか・・・と家庭劇の匂いももりこんでいます。林涛が环环に夢中になってしまってという別CPのラブコメ展開もおまけ。

 

 個別の事件にも何かまだ引っかかるところが残ってるし、秦明が失った母との暮らしの記憶をたどる中で見えてくる過去の事件というのもこれからありそうだし、そっちの方にエネルギーを割いてくれればいいのにと嘆くしかない。

 私がラブコメ苦手というのはもちろんあるんですが、ドラマとして何を見せたいのかという大事なポイントがぼけてしまっている感じ。

 最初の張若昀版法医秦明ではこのへんの距離感が一番うまく取れていた。こちらのシリーズにユーモアがあふれていたのは決してラブコメ要素を取り込んだためではないし、彼と仲間たちの間に強い絆はあっても恋愛要素をとりこんでもいない。

 

 秦明には子ども時代の事件が影を落とし、その謎が覆いかぶさってきているというのはどのシリーズにも共通していて、今回もそういう流れのようです。
 そこから各シリーズが個性的な展開を工夫するのは歓迎ですがね~

 なにかこの一連の法医秦明ドラマを見ていると、金庸武侠の映像化のあれこれを思い出してしまうのです。まあ何事も玉石混淆は普通のこと。
 
 配役ですが・・・


 秦明には張耀、「少年游之一寸相思」の主役左卿辞がよかった。林涛に彭楚粤、彼は肖戦や谷嘉誠のいるx玖のリーダーですが、ドラマで見るのは「哦!我的皇帝陛下」や「闘破蒼穹」以来です。安然に湯敏、「人間烟火花小厨」の花小麦の人、けど半分行かないうちに放置したままだわ。
 彪哥の劉冠成は「九州縹渺録」の拓跋山月とかでよく見ます。
 三つ目の話の事件関係者に「暗黒者」シリーズの甘露が出てきました。相変わらずハイヒールで回りを振り回してるw

 若手中心でアイドルドラマ路線ではありますが、脇の配役はけっこう実績のある人が出てるような感じ。

 

 余計な部分は早送りにして、ミステリ部分だけをじっくり楽しむとしますか。そこだけ抜き取ればけっこう出来は悪くないと思うのです。