33~40集(大結局)
楽しく見終わりました。
このドラマ、ラブコメと見せかけて、相当に強いメッセージ性を持ってます。
以下、感想と共に中身にも触れていますので、立ち入りご用心ください。
そもそものドラマのスタートは、選秀、つまりは新川と他の川との和を保つために娘たちを新川の小主たちに嫁がせるという人身御供的な色彩の行事でした。
男尊女卑の新川で、否応なしに結婚することになった娘たちと少主たちの話がこのドラマの骨幹をなしているのは勿論です。
主人公カップルの李薇と尹崢のラブラブなのになかなか進展しない関係、新川の次期川主を目指す少主たちのせめぎあい、複雑な川主家の親子関係とか各少主家の話に、各地で発生する災害や外交問題、新川での政治問題が入って、バラエティも豊かで最後まで「次」への興味を減退させることなく見続けられました。
二、三、四、五、六、七と各少主と夫人たちの関係も一様でなく、それぞれに個性的な話が展開しました。
今回視聴分では、退場した二少主尹嵩に代わって、四少主尹俊が夫人に引っ張られて尹崢を追い落とそうと企みましたが、あまりの底の浅さにあっさり見抜かれています。
李薇と尹崢は互いに相手にべたぼれなのに、なかなか関係が進展しない。やっと結ばれたのはほとんど終幕、それでも李薇を正夫人にすることに成功して、尹崢幸せの絶頂という顔をしています。
ドラマは気持ちのよい大団円を迎えています。
主人公たちのうち、よい夫婦関係を築いた人たちだけでなく、シングルマザーとして自立し商売にも成功した郝葭、金川に戻って官僚として能力を発揮している元英が同じように人生の勝利者として扱われているのが印象的です。
少主の地位をなくした尹岐は、家族としては再び迎えられても地位を回復することはない。でも、上官婧と共に江湖を渡り歩くと幸せいっぱい。多様な幸せの在り方を見せています。
そして冒頭の選秀、これが三年ごとに行われるということで、再び選秀の時期がやってくる。父親から、元儲(普通に言えば太子?)に任じられた尹崢は、李薇の助言でこれを女性の官僚を選ぶ選賢に替える。
女性は商売もできなかった新川だが、李薇たちの活躍を見てどんどん女性が進出、それによって税収も増えというメリットもついています。
いやいや新川にやってきた李薇自身は幸せな結婚をしましたが、それにとどまらずに次の世代により良い世界を与えようとしています。
こういう多くのラブコメでは見られない広い視野があちこちに見られ、現実の社会で根強く続く女性差別への警鐘をならしているところがこのドラマを一味違うものにしていると感じます。
男女平等が徹底しているようでまだまだ因習にとらわれている部分が根強いという現実の反映なんでしょうか?ドラマでは女性を縛っている因習や制度を李薇や尹崢たちが改革していきます。それが男性上位の因習への問題提起だけではなく、「男が主、だからより権力のある男の妻になる」と尹嵩の側夫人になることを選んだ郝葭が最後には「主は私自身」と才能を発揮して成功するというような女性自身の意識改革も描かれています。
女性だから、生まれた家の後継から外されて見も知らぬ男の妻になることを強いられた元英や芳如が、兄弟たちと同じ権利を要求して故郷へ戻るのも、女性というだけで能力を発揮する場を与えないということの理不尽を糾弾しているように思います。
こんなふうに理屈っぽく深読みすること抜きに、つまるところ大悪人は誰もいなかったのに起伏がたっぷりあり、テンポよく展開するドラマと個性的なキャラ設定に答えた演員たちの演技を堪能するだけでも十分楽しいです。
田曦薇の李薇は表情が豊かで、白敬亭の尹崢は逆にあまり感情を顔に出さない。でも、朝廷場面でのキレのいいエリートぶりと李薇を相手にした時のやきもち、何も言えないけど言いたいこといっぱいというような表情の落差も見どころでした。そういうコメディタッチの場面と結構シリアスな場面が矛盾なく同居しているのもこのドラマのおもしろさでもありました。
演 員 角色
白敬亭 飾 尹峥
田曦薇 飾 李薇
陈小纭 飾 郝葭
刘冠麟 飾 尹岸
刘令姿 飾 元英
张晓晨 飾 尹嵩
昌 隆 飾 尹岐
刘美含 飾 宋舞
范帅琦 飾 上官婧
刘萌萌 飾 董海棠
魏子昕 飾 苏慎
陈紫函 飾 赵芳如
赵 柯 飾 和夫人
邱心志 飾 金川主
姬晓飞 飾 尹峻
汤梦佳 飾 阮思思
高曙光 飾 新川主
喻恩泰 飾 李文弼
胡 可 飾 诸葛小美
胡丹丹 飾 安曦元
出品人 龚宇、曹华益
制作人 刘闻洋、杨蓓
监 制 王晓晖、徐佳
原 著 《清穿日常》(多木木多)
导 演 赵启辰
编 剧 纪桑柔、丁璐、郑卓群、余言、刘丹
美术设计 单长斌
动作指导 张介石
造型设计 方思哲
服装设计 王文武
视觉特效 杨好刚