江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

卿卿日常 その3

15~22集

 

 半分を過ぎました。このドラマの印象を聞かれたら、やたらに大勢が集まってなんか食べてるシーンがあったな~と言うこともでてきそうです。それほどこういうシーンが多いのは、主人公の二人だけが物語を動かしているのではなく、二人がそれぞれに周囲の人々と話し合って共に動いていくからだと思います。主人公周辺の人々にもしっかり造形がされていて、ドラマの骨格を作っています。

 スタート時点では角を突き合わせていたような女たちも今では仲良し、二少主の正室趙芳如と郝葭の間にも共に尹嵩の「被害者」という意識が生まれてきています。
 全く目立たない存在だった尹崢がめきめきと頭角を現し、与えられた仕事に三少主や五少主を同行、成功をおさめ続けて兄二人がよき協力者となってきています。
 
 こういうところは群像劇のような感じもしています。

 

 今回視聴分では川主から閉府を命じられて、屋敷の外に出られなくなった尹崢たち六少主府の一同から始まり、宋舞の縁談、大少主やっと登場、尹崢たちの墨川出張、尹崢の九州事務司任官、三少主と妻たちの決裂、李薇たちの酒楼開店と次々話が展開。

 墨川から慣例に則って和親のために郡主を嫁がせろと要求された、でもうちの娘を遠くへ嫁がせるのはいやとたらいまわしにした挙句に宋舞を郡主にして嫁がせようということになる。六少主府をあげて仮病だのなんだのと破談にしようとした挙句に、そういう女性を犠牲にしている慣例そのものを廃止しなければと、尹崢が乗り出す。
 この墨川のモデルは草原の少数民族、話としては漢代の王昭君をはじめいやというほど。
 それに真っ向から「NO!」を突き付けるのが、尹崢たち。

 

 墨川まで行ったものの大酒を飲まされて慣例を廃止する交渉がうまくいかない、ならば茶を飲ませてしまえ!と茶責めをする一同。シビアな場面にコミカルな演出を持ってくるのがこのドラマの持ち味ですね。

 

 墨川との縁談はなしになったものの宋舞にはもう結婚していい年ごろと次々縁談が持ち込まれる。でも、十少主を含めてろくな求婚者がいない。そんな時に知り合った宋武という一介の書生。郡主の地位も何もかも放棄して、彼との結婚を選ぶ宋舞。主役カップルをかき回すだけのキャラにも見えた宋舞ですが、立派に成長して六少主府を去って行きました。

 

 「紙幣」の導入と墨川との交渉の成功で皇帝から、いうならば国際いや川際関係担当の九川事務司を任されることになった尹崢は、ますます嫡長主尹嵩から目の敵にされる。

 女たちが結束して尹岩に対抗していた三少主府では、彼女たちがずっと避妊をしていたことがとうとう気づかれてしまう。混乱激怒する尹岩を尻目にさっさと三少主府を出てきた女たちは、元英や李薇たちとともに商売を始めることにする。

 

 このあたりで「女には店を売れない」とか「女が商売するなんてありえない」という邪魔が入るのは「夢華録」を思い出させます。ま、こちらではすぐに店を開店させていますが、ブチ切れ三少主や尹崢憎しの嫡長主からの妨害が入ってきます。

 

 ストーリ展開は軽快で、ネバネバしそうなところもわりにあっさりとクリアしていきます。そんな中、嫡長主の側夫人となった郝葭一人が泥沼落ちしています。最初から正室とのトラブルは覚悟していたものの好人物に見えた夫尹嵩がとんでもなく嫉妬深く、権力欲を満たすためには手段を問わない人物で、日々虐待に耐えている。

 そんなところに妊娠が発覚。川主には11人もの男子がいるのに、息子たちには嫡子が一人もいない。ここで側夫人とはいえ、正式な妻である郝葭が男子を産めば、次代の川主は確実に自分のものと一人盛り上がる尹嵩。彼のところから逃げ出す気になっている郝葭は困惑しています。

 

 尹嵩と尹岩の妨害から商売をどう守るかあたりと尹嵩との対立が次の話になるはずですが、どうにも尹崢が最終的に目指しているところがまだ見えない。李薇と二人で幸せに暮らしたいのが一番なのか、尹嵩を追い落として、川主の地位を得ようとしている実は尹嵩以上の権力欲の持ち主なのか・・・半分を過ぎてもまだそこらが読めないです。尹崢の本音が見えにくいから、おもしろいのかもしれないです。

 九川事務司を担当することになったお披露目の宴席を上官婧から任されて一生懸命に計画を立て、準備をした李薇が、当日になって入れるのは正夫人だけと式場にも入れてもらえないというようなきつい話と、腹を立てた李薇が投げ捨てた靴が心配してやってきた尹崢に命中、見事にひっくり返るというようなステロタイプなギャグシーンが混在。それなのに、つぎはぎした感じはしません。

 ドラマの舞台は架空の中華世界九川ですが、モデルにしてるのは清朝らしいということです。「九州」でなく「九川」、「国」ではなく「川」という呼び方にすることで、リアルを感じさせないようにしているのでしょう。
 清朝というと、「還珠格格」とかで見たエピソードが形を変えて出てきます。でも、それだけでなくいろんなところから「ネタ」を持ってきてるようです。ところが、それぞれに切り口を変えてあるので新鮮味まで感じてしまっています。

 物語世界が架空な場合、世界観が曖昧だと話のおもしろさを削いでしまう危険があります。ここではそこら辺はもう開き直って、世界は単純化してそれぞれの「川」と登場人物のキャラと「ネタ」で補強してる感じでしょうか?これも悪くないです。

 さて、九川のうち舞台は新川で丹川、金川、墨川と出てきて、残るは黛川、霽川、蒼川、胭川、瑩川ですが、順番に回っていくんでしょうか?

 

 私としては、何事にもスローペースで人づきあいは苦手という七少主と思思のかわいいカップルの出番がもうちょっとほしいところ。九少主も、宋舞とくっつくという外れましたが、こちらの出番ももうちょっと増えると嬉しい。ええ、私は脇役好みですw