1~24集(大結局)
「九義人」の後、少し軽い目の武侠ドラマをと思って見始めたんですが、そんなに軽くもなかったw
導演、主役陣をはじめ、記憶に残っている名前がないというドラマなので、俳優目当てに見るということも、導演や主演が嫌いで見たくないということもなくて、テーマと評判で視聴開始。ちょっと微妙かなと思ったところもないではないんですが、キャラ設定のおもしろさと新鮮味のある展開で最後までクリアしました。
このドラマも最後には「第1季 完」ということになりました。長短はあるものの35分前後の24集にしては、結構大勢な登場人物に込み入った設定なので、きっとそんなことだろうと思ってました。
主人公グループは4人。そのうちの三人はそれぞれ追手から逃れるために飛び降りた崖の途中にぶら下がっているというシチュエーションで出会います。
男主1の夢三息は、師門を追い出されて以後、終生の友人となった北嘯海を目の前で殺され、その仇が使った武功を手掛かりに仇を探しています。南嘯天と名乗っていた彼は悪事を働いた指名手配犯をまとめて衙門に突き出して賞金を得たり、まっとうな門派相手には道場破りを続けた結果、どちらからも敵視されて追いまわされています。その上、彼は毒薬でも飲まされたのか一夜のうちに武功をすべて失い、ちょっと走っただけで動けなくなる、五招は戦えるけどその後は昏倒してしまい五時間も目覚めないという事態に陥ってしまい解毒の手段をも求めている。
彼は、木雲城には北嘯海の死について情報が得られると聞いて、木雲城を目指していました。
同じく木雲城を目指していたのが、女主1の莫如是と男主2の拓跋令孤。二人はそれぞれ、葉五枝、岩四方と偽名を名乗っています。
葉五枝は元々は清瀞宗の内門弟子で師門が皆殺しにされた背後の組織を探ろうとしています。彼女は二刀流を使う達人ですが、修業の結果嘘がつけないというどこかでもあったような設定になっています。そして、とんでもない酒豪だし、博打場に入り浸っては夢三息たちに連れ戻されています。この嘘がつけないという設定、最初の方のエピソードで出てきただけで後は忘れられたかと思ってましたが、後半でもちゃんと出てきてそれだけで脚本しっかりしてるじゃないのと思ってしまうのでした。
岩四方の本名拓跋令孤を聞いて吹き出さないではいられませんでした。なんというか復姓が二つ?日本でいうと例えば「山田田中」で姓名になってる感じ?だいたい令孤って名前あるわけ?
それはともかく、幼い時にすぐ帰ってくるからと両親に置き去りにされ、そのまま帰ってこない両親の代わりに拓跋村の村長や村人たちに養われて育ちました。その後、彼は村を出て武器を作り、薬を作り、暗器やからくりを作る名人として江湖に名を轟かせる。しかし、ある日村に帰ってみたら全員が虐殺されていて、その真相を探るために木雲城へとやってきます。
崖の途中で出会ったこの三人、敵討ちはともかくとして生きていくためには金が必要と店を買って商売をしようと思いつく。しかし、商売はうまくいかない。そこに現れたのが女主2の紀明昭です。彼女は木雲城の四大名家の一つ紀家の娘ですが、姉に対抗心を燃やし、木雲城で一番つぶれそうな店を買って木雲城一番の店にしてみせるという賭けをして、店に乗り込んできました。
この紀明昭を店長に夢三息、葉五枝、岩四方の三人が店員となって、無名百貨を舞台にした商売ドラマもスタート。
最初の三人の復讐劇だけなら、完全に武侠劇展開なんですが、無名百貨を開店したあたりから商売ドラマ系のコメディの色彩が強くなりました。木雲城では商売が盛んで梁、柳、紀、戴の四大名家のうち、梁家と柳家が力を持っています。江湖で罪を犯した人物を殺しつくそうとしている三七道という組織もこの木雲城で密かにネットワークを持っているらしい。
紀明昭を除いた3人はそれぞれ江湖では名を知られている人物、その上それぞれが追われる身。そこで三人は無名百貨を隠れ蓑に調査を進めていきます。そして、夢三息の朋友北嘯海を殺したのも、拓跋村や清瀞宗を皆殺しにしたのもこの三七道だとわかってきます。彼ら三人の間にあった想定外の関わりとかも明らかになりますが、だと言って特別今までの付き合いに変わりがないのがこのドラマらしい。
特徴的なのは、この二つのドラマの流れがどちらも同じくらいのウエートで進められているところでしょうか?その合間にちらっと互いを思いやる男女の情感も入れつつ、四人の昔にもちゃんと触れ、その上に主役陣以外のキャラがわんさか登場してくるのにとっ散らかった感じはあまりしない。「武林外伝」みたいに客が厄介ごとを持ち込んだり、商売上のトラブルが次々起こったりもします。
中でも一番のトラブルは「金がない!」夢三息たちはもともと無一文同然、紀明昭も家からの援助もなく、とにかく一円でも多く稼いで店を繁盛させようと次々奇策に打って出ます。
トラブル転じて福となるみたいな展開は「那年花開月正圓」なんかでもありましたが、こちらもそういうタイプのエピソードを取り入れています。
武侠迷的に一番注目したのは男主1の夢三息のキャラです。江湖に名をはせた「南嘯天」が突然すべての武功も内力も失い、しかも次から次へと命を狙うものが襲ってくる・・・そんな状況なのに全く悲壮感を見せない。難局にぶち当たっても、今できることを精いっぱい利用して、仲間と共に切り抜けていきます。それに酷侠として有名なのに、そう言われてうれしがっても偉ぶることはなく、韋小宝的な軽妙さと狡さ、厚顔無恥で局面を切り抜けるのです。
このドラマ、今までの定型を壊すような仕掛けがされているように感じます。武侠ドラマとかで「あんたその金どこから出てきた?」とよく突っ込みますが、ここではとにかく金儲けをしようとしています。夢三息が、仇を打つのは当然、でも生活していくことも大事だから、それをおろそかにしてはならないと言ってますが、それはこのドラマのテーマの一つにも思えます。
24集で一応結末はついた?とてもそうは思えません。商売の方では目標としていた木雲城の店ナンバー1の地位をゲットできました。でも、木雲城にやってきた新しい城主とその護衛を見た夢三息と葉五枝は固まっています。
正直、こういう終わり方するのかと新鮮な気持ちで見終わりました。
そもそも三七道という組織を彼らは仇としています。その三七道は江湖から悪人たちを一掃するというのが目的としていますが、ミスもやらかしてしまって無関係な門人まで殺してしまったとか相当にいい加減。その三七道の長老たちから、夢三息を見張れ、でも殺すな、いちいち報告しろとかいう命を受けて、彼に密着しているのが魏東陽ですが、彼なんかは無名百貨を舞台にする話だとコメディのキャラなんですよね~
それにしても、夢三息と三七道にはまだ見えてない関わりもありそうです。何しろ、三七道の長老たち、無三息はお前の隠し子じゃないのかと押し付けあっているくらいです。
キャラ設定を武侠ドラマ方面から見るか、普通の商売ものとして見るかで全く違った風に見えてしまうのです。
最初にも書いたように導演も演員陣にも全くなじみがなく、けっこうたくさん出てくるベテラン枠の人にも顔なじみがないというドラマですが、最後まで視聴意欲を削がれることがなく見終わりました。もちろん低予算ドラマなんですが、演員陣もちゃんと演技のできる人達ですし、二本のドラマを同時に進行しているような込み入った脚本も「あれはどうしたんだ?」という疑問は残していますが、まあ破綻なくまとまっていたように思います。
キャラの性格設定とか立ち位置、ドラマ展開と話のまとめ方に新鮮味があって、楽しいドラマでした。
ということで、さあ次は何を見ますかね?
見ただけで、ブログさぼってる映画もけっこうあるんで、そっちも片付けないといけないんですけどね~最近は日本で放送される中華ドラマで見たいのがたくさんあるんですよね~そっちに結構時間とられてブログにかける時間が減ってしまうというのもあるんです。痛しかゆしというかなんというか💦
演 員 角 色
谢兴阳 飾 梦三息
苏梦迪 飾 叶五枝
王翰闻 飾 岩四方
潘玥同 飾 纪明昭
赵子麒 飾 应百尺
童家豪 飾 戴梦回
吴 飞 飾 柳云归
方品淇 飾 秋月白
邵如一 飾 魏东阳
黄思瑞 飾 顾廿久
武雨泽 飾 北啸海
侯桐江 飾 拓跋村村长
马维福 飾 赵天朔
刘威龙 飾 柳云骁
陈木易 飾 面馆老王
李 斌 飾 老丁
出品人 张华立、龚政文
制作人 唐藩、戴玲
监 制 周海、方菲
导 演 毕鑫业
编 剧 毕鑫业
美术设计 盛帅
动作指导 李波
造型设计 张婷
服装设计 张玉平
视觉特效 傅恺华、兰海朋、李成龙