江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

一念関山 その4

19~26集

 

 今週はここで配信お休み。安国入りした礼王一行は、安帝やその臣下たちを相手に厳しい交渉に入りました。というか交渉に及ぶまでがまた大変でした。安国の亡き昭節皇后を恩人とも師とも慕う任如意は、彼女の死の裏に何があったか、誰がいたのかを追って、朱衣衛の現在の左使、右使と対決。寧遠舟たちは、梧帝救出という公の任務だけでも厳しい中、楽し気に如意のフォローまでしています。

 

 主人公は任如意と寧遠舟なのはもちろんですが、私にはやっぱり礼王楊盈が気になって仕方ないのです。武侠ドラマの一ジャンルとして、「射鵰英雄伝」などのような若者の成長を描くというものがあるのですが、このドラマでは楊盈の成長をずっと描いている武侠ドラマのようにも見えます。彼女自身は武芸ができるわけではないのですが、ついに安帝と対峙することになった彼女が強面安帝相手に一歩も引かず、逆に脅しまでかける様子に「少侠」の風情を感じてしまいました。

 そして、身内だけになったとたんに素の顔を剥きだして泣きじゃくる楊盈と何気に彼女の側に姿を現す元禄もよい組み合わせなんです。二人して、寧遠舟と任如意の様子をのぞき見したりとよいコンビでかわいい。でも、元禄が駙馬になることはないような・・・

 

 コンスタントに入ってくる大掛かりな戦闘シーン、山あり谷ありの不器用な主役二人のロマンスも見ごたえあるのですが、今回視聴分では安国朝廷の闇の部分が抉り出されそちらも見ごたえ十分。
 そちらのピリピリするようなストーリ展開と対照的な彼らの「素」の部分がほとんど軽妙な軽喜劇のノリで描かれるのも絶妙です。
 そういう展開を支えているのが効果音とBGM。このドラマの音楽は「鎮魂」とか「三体」でも音楽担当をしていた陳雪燃が担当していますが、場面場面で全く違うニュアンスを見せるドラマにふさわしいBGMも聞きごたえ十分です。

 

 任如意が梧国迎帝使に同行してきたのには、安国に潜入して昭節皇后の死の背景を探り、仇を討つという理由があります。安国の朱衣衛の左使だった彼女には、安国内にかつての配下や教え子がいて、彼女を見知っていて危険です。そこで、彼女は今度は梧国の郡主と身分を偽ります。

 ところが、そこに現れたのがかつての教え子鷲儿こと李同光、彼はずっと師父任辛を恋い慕っている。この弟子、ひたすらに師父を慕うところは可愛げがあるのかもしれないんだけど、とにかく粘着質で如意といちゃつきっぱなしの寧遠舟への嫉妬の炎を燃やしておりますな。
 
 朱衣衛内での仇は片付けた如意ですが、さらにその後ろに大きな権力を持った人物の姿が見えてきます。安国も梧国も壁のこちら側の中原の国、壁の向こうの北磐は共通の敵ということになります。その北磐と手を結んだ権力者こそ、昭節皇后の仇でもあります。任如意がその正体に思い至ったところです。

 

 今回視聴分では、梧帝も安帝もろくなもんじゃないということが確認でき、主役グループのみなさんのご苦労が予想されるところです。

 張天陽演じる梧帝は、疑い深く小心者のくせに残忍で臣下や民衆の犠牲など歯牙にもかけない暗君、尹鋳勝演じる安帝は、征服欲が強くそのためには手段を択ばない暴君という正体があらわになってきたのは予想通りですが、主役グループのみなさんの今後のご苦労が思いやられます。


 梧帝が自分を連れ戻すというが、皇帝としてか?上皇としてか?と楊盈に迫る場面、やっぱりこいつは明の英宗朱祁鎮もどきだったw

 

 そうなんです。六道堂のみなさんの和気あいあいとしたやりとりや、やっとラブラブモード全開になった任如意と寧遠舟のイチャコラを眺めているとつい忘れてしまいますが、このドラマの本質はシビアに身勝手で根性の悪い権力者たちとそんな権力者に仕えてしまった人間たちの姿を描いているんです。

 

 これで全40集の半分を越しました。第3勢力として登場した北磐の動向も気になるし、この先、どこまで彼らの楽し気な姿を見ることができるんでしょうね。

 

 そういや、任如意が慕う昭節皇后の中の人、王艶ですね~「還珠格格」の晴儿を思い出すか、「流星胡蝶剣」の高老大を思い出すかはあなた次第w