1~6集
何となく重苦しそうだな~と後回しにしていた路陽導演、黄軒主演のドラマです。
その上、天啓というので、九州シリーズの何か?と思ってたら、明の天啓年間のことでした。う~天啓年間~これだけで、重苦しそうと思ってしまうのでした。
ところが、実際に見てみるとこれが突っ込みどころ満載でうれしくなってしまいました。いや、重苦しいドラマ展開には間違いないし、出演者一同ここまでで笑顔の場面とか全く見えなかったような種類の怪奇もの?そりゃもう「風起隴西」や「綉春刀」系列の導演路陽の作品と言えば、雰囲気がわかっていただけるでしょうか?
例えが古くて申し訳ないんですけど、なんというか円谷プロの「怪奇大作戦」とかヒッチコックの「鳥」なんかを思い出しました。
ドラマは、黄軒の演じる錦衣衛褚思鏡が、寧遠城に発生した妖魔のたたりで起こったと言われる疫病の調査にやってくるところから始まります。地元の役人たちはただの風邪だという中、彼は地元の明軍韃官の伯顔と共に、疫病の発生地と見た烏暮島に無理やり上陸します。そこは外部の人間を歓迎しない閉された村で、人々は彼らを役人だとそれなりに礼を尽くして迎える一方で、警戒しています。
以下、この村で起こる怪異な事件が「貞子」的な描写、つい最近も「鬼吹灯之南海帰墟」に出てきたような巨大な海龍が襲ってくる描写やら、謎の病気で変わり果てた姿になった人間たちの描写とか、これでもかというほどいろんな「怖いぞ」描写が出てきます。そこに、怪しげな黒衣の集団「黒烏」だのもっと怪しげな宗教集団「横公」だのが出てきて、緊張感を盛り上げています。
他にも怪物たちや謎の人物たちがわらわらと襲ってくるとか村民が暴動を起こして襲ってくるとか、武術を駆使してのアクションシーンとか、こちらも満載。
もちろん、伯顔と褚思鏡の間に理解が生まれてくる過程とか島で出会った沈譲、沈淙父子、村の長老たちとのエピソードとかこちらもしっかり描かれてはいます。でも、やっぱり見せ場はそこじゃないはず・・・
ドラマの多くの場面が夜の暗さや閉鎖空間の暗闇、でなければ降り積もった雪で白く変わった森と、色彩に乏しく、怪奇ドラマの雰囲気を盛り上げています。しかし、この森とか枯れた草むらや海岸や村の風景は、何もないスタジオで撮影したCGの合成に加えてロケとセットもあるようなんですが、どうにも作りもの感が見え見え、というかわざとやってるんでしょうか。なんか無機質に見えるんです。
村の秘密に迫ろうとする褚思鏡たちの前に現れたのが、ポルトガル船黒色海竜号の艦長安杰麗卡(アンジェリカ)。こちらはまるで海賊船のしつらえなんですがね~登場シーンはまるで「パイレール・オブ・カリビアン」で、アンジェリカのしつらえ見たとたんに思い出したのが、「刑名師爺」の霍建華のこの格好・・・
で、その安杰麗卡が「私の名前は安杰麗卡。中国風にいうなら安大人と呼べ」というのですけど、いつからアン・ジェリカと姓名になったw
と、かくのごとく突っ込み続けてると、恐怖劇、怪奇劇が全くおそろしくなくて💦
「絶対、なんか来るぞ!」とか「こいつ、裏切り者」とか「あ!どっかで聞いた、見た!」とかやってるともう忙しくて怖がってる暇がないんですよw
怪奇な疫病に感染すると・・・という話に、孤島での事件を掛け合わせると「マタンゴ」を思い出してしまったところ。そこに、島に住む娘の指示には従う怪物とか、海龍をやっつけて父と兄の仇を討つというアンジェリカとか、なんとなくどの設定にも、1960年代前後の日本の特撮映画のあれこれを思い出してたまらないのですよ。
演員的にも突っ込みどころが多い。
「妖猫伝」の白楽天の黄軒が褚思鏡と双子の弟思鈺、楊貴妃の張榕容が安杰麗卡。
島の娘沈淙に王聖迪、その父沈譲に蘆芳生という「隠秘的角落」での共演者。王聖迪、今13歳なのでそうで・・・すごい。ところで片尾の演員表で蘆芳生に(日本)ってなってたんだけど、彼は長く日本に留学してたけど、国籍いつ変えた?
それに明軍韃官、つまり明軍に位置付けられた蒙古人たちの兵伯顔が呉越、もちろんアクションしっかりです。他にも淳于珊珊とか劉恩佳らも出ていますし、演員の顔ぶれもなかなか癖が強いかもしれない💦
ということで、残り6集が楽しみ。
もちろん「あんた、なんちゅう見方してるんだ」と言われそうなのは覚悟しております。