江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

繁花 その1

1~10集

 

 ウォン・カーウェイ王家衛監督の初のテレビドラマ、最近ドラマから遠ざかっている胡歌主演ということで、ここ数年完成、公開が待たれていました。2020年の撮影開始から撮影終了までに2年、それ以前からこのドラマの話はいろいろ出ていたので、5年前後は待っていた気がします。

 

 何しろ、この王家衛監督というと撮影に時間がかかることで有名。「東邪西毒」(邦題:楽園の瑕)の時には、あまりに時間がかかるというか暇を持て余した名優たちが暇つぶし的に作ってしまった「東成西就」(邦題:大英雄)という大傑作がありまして・・・そっちも期待してたw
 というか、香港料理の名シェフでケニー・ビー鐘鎮涛が出てきたりしたら、思い出したw靴の刺さった王重陽・・・👢
 話ずれるけど、この映画大傑作なので、未見の方にはぜひ一度とお薦めしたいところ。

 さて、本題に戻って~
 

 「繁花」は1990年代の上海を舞台にしたドラマ。予告編を見たときから、いかにも王家衛と思わせる華麗な映像美とかっこいいとしか言えない胡歌の造形に目を奪われてしまいました。正直言って、ストーリは二の次になっていました。

 ドラマは普通語と上海語の2バージョンが公開されています。上海語バージョンで見ても、胡歌の独白部分とかナレーションなどは普通語ですが、メインキャラたちが早口の上海語でやりとりしていると字幕があってもついていけない中国語素人💦
 で、普通語バージョンに換えても、上海語で会話していた主役陣の台詞が普通語になるだけで、そのほかの香港から来たシェフは広東語を話すなど地方出身のキャラの台詞や訛りはそのまま。

 この二つを行ったり来たりしながらドラマを見てたので、リアタイ視聴するつもりがすっかり脱落してしまいました。もうしんどくなってきたので、この先は普通語で見ていきます。

 

 1990年代の中国では改革開放政策の結果、目を見張るような経済発展を遂げました。新たなビジネスを立ち上げたり、株を手に入れて一夜のうちに大富豪になるものもいれば、すべてを失うものもいる。チャンスをつかめるか否かがすべて。この時代の上海は時代の流れの最先端、チャンスがごろごろ転がっているそんな街でした。

 その上海で「宝総」と呼ばれ、人々の注目を集めているのが胡歌演じる主人公の阿宝。

 彼や一獲千金を狙う人間たちが夜毎に集まってくるのが、黄河路という盛り場。1993年を中心に過去のエピソードも入れながら、阿宝や彼に関わってくる男女の姿が王家衛調で描かれています。

 1987年、阿宝は爺叔の指導で商取引の道に乗り出します。まあ、まっとうな、というより多分にハッタリで儲けていく方法でしょうか。

 そして1992年当時になると彼は同じように一獲千金を狙う人間たちからはあこがれの目で見られ、商機をうかがう人間たちからはある時はぜひとも手を組みたい取引相手、あるいは許しがたい敵、商売敵と見られています。

 その合間で、あちこちの人脈を利用し、ハッタリを効かせて取引を成功させていきます。が、華やかな姿の裏では、金策や商品の調達、人間関係に綱渡りのような毎日が続いています。

 

 夜の上海をネオンの光で華麗に輝かせているのがグルメ街という感じの黄河路に密集している「飯店」「酒楼」です。
 飯店、酒楼というとホテル、レストランの意味だと思ってたのですが、ここでは機能的には日本の「料亭」に近い感覚でしょうか?そこに集まってくるのは、大物たちが楽しみたい、その大物たちに自分を売り込みたい、取り引きの話をしたいという人物たち。日本の料亭よりもっとおおっぴらにやってる感じもしますが、宿泊施設の機能を持ってるようには見えません。

 

 阿宝には爺叔の他に、夜東京というレストランの主玲子、貿易を仕切っている外灘27号の外貿公司に努める汪小姐、昔からの仲間陶陶らが協力者というか仲間がいます。

 危なっかしいとはいえ、それなりに納まっていた黄河路のバランスを一挙に崩すことになったのがよそからやってきた李李。彼女は一人で黄河路に現れ、閉鎖された店を買い取って「至真園」と名付けた豪華なレストランをオープンさせます。たちまち、大人気の店となりますが、古株の老板娘たちからは敵視されます。

 

 様子見していた阿宝と李李が、それぞれの利益のために協力するようになってきますが、李李の過去にはまだ触れていられず、彼女が何を狙って黄河路にやってきたのかは現時点では不明です。

 ここまでで阿宝たちは中国独自のブランドを立ち上げ、成功させるという計画を実現させ、至真園への嫌がらせを回避と順風満帆な感じです。でも、なんかほんとに大丈夫か?と泥の船にしか見えないのは、この時代のバブリーさを知っているからでしょうか。

 

 

 とにかく、阿宝を演じる胡歌がかっこいいんです。スーツの着こなしが抜群で、美しい。久しぶりにスーツを決めた胡歌のドラマを見る感じです。同じ経済界をテーマにした「猟場」以来?それとも「偽装者」?とか首ひねるほど、見てなかったんでそれだけで感涙w
 ただ、彼の演じる阿宝は最新のファッションで身を包んだ華やかな時代の寵児、街の兄貴分と見えても、一皮めくると薄っぺらなバブルの申し子のように見ています。

 爺叔の游本昌は、去年の「少年歌行」で惚れました。美爺です。阿宝の凄腕の師父です。

 陶陶は、陳龍です。阿宝の身内ですが「少年楊家将」や「琅琊榜」とは逆に今回は弟分的な位置。しかしこの二人、共演作が続きますね。

 玲子には馬伊琍、汪小姐には唐嫣、阿宝と新ブランドを巡って争う魏総には鄭愷、汪小姐の上司金課長に呉越、阿宝の取り巻きの一人葛老師に陳国慶等々、ずらりと上海出身の俳優が並んでいます。

 

 対して、「よそ者」の李李には黒竜江出身の辛芷蕾が起用されています。この俳優さん、ほんとに目力が半端ないんで、彼女の場面が楽しみです。

 阿宝たちに翻弄される范総の董勇はキャラと同じく杭州の出身。杭州のことばでしゃべり続けています。よ~わからんけどw

 

 まあ、ここまで阿宝を中心にするグループの活躍?が描かれてきましたが、いつまで続くことやら・・・自分の利益を第一にしている、いつでも裏切るというか勝ち馬に乗り換える、自分がその勝ち馬になろうという下剋上上等!な人間たちの集団でしょうからね~ということで続きが楽しみ。

 

 たまたまなんですが、王凱主演の「大江大河3」が配信開始になりました。こちらは1978年から始まって、今回のスタートが1993年。同じ時代を舞台に、一方はバブリーで華麗に、一方は堅実に時代を描き出していくわけで、胡歌と王凱の競演とか勝手に盛り上がってる視聴者としては楽しみ倍増といってもいいですよね~