27~33集(大結局)
全3シリーズ129話、完走しました。
いろいろいいたいこともありますが、まずはタイトルの「大江大河」にふさわしい「大河ドラマ」だったと思います。宋雲輝、雷東宝、楊巡という貧しい村出身の3人の約30年に及ぶ人生を描いています。その背景にあるのが、中国社会の変容や経済成長、国際関係、そして何よりも政治の動きです。
今回視聴分では、1997年の鄧小平の死や東南アジアでの通貨危機が一つの転回点として扱われています。
特に、1973年のドラマ開始時点で反革命家庭の息子として差別的扱いを受けていた宋雲輝にとって、鄧小平政権による解放改革政策は彼が大学へと進学することを可能にしたものでした。
主役の3人はそれぞれこの政策を背景に人生を切り開いていきます。大学へ進学し、必死で学んだ宋雲輝は大企業に進み、そこで能力を発揮していきます。雷東宝は軍から戻ると自分の生まれた小雷村の中で村人たちの先頭に立って、改革を進め、事業を起こしていきます。楊巡は、徒手空拳、自分の身一つで商売をはじめ、紆余曲折を経て、デパートの経営者までになりました。
彼らの中で、一番大きく変容したのは結局楊巡だろうと思います。
宋雲輝はもともと優秀な人材で誠実に人や仕事と向き合い、周囲の信頼も厚い人物です。
雷東宝は良くも悪くも「ワンマン社長」で自分の直感第一に事業を大きくしていく。どちらにもいい顔をしたい、湯水のように小雷村に金をつぎ込み、次々と借金を重ねては事業を拡大していく・・・うまくいってるときはいいけど、いつかは破綻が来る・・・だいたい、会社の重役会でいつになっても「おじさん」「兄貴」とか言ってる組織がうまくいくはずがない。
その破綻が、一足先に訪れたのが楊巡です。しかし、彼には奈落の底から復活するだけの強さと商才があり、助けてくれる弟たちがいた。彼も自分の直感と経験から商売を進めてきて、何度も失敗をしていますが、そこから学んでいく柔軟さとしたたかさをもっています。
宋雲輝は村の中で高校進学も認められなかった少年が、大企業の工場長となるまでに成長していきます。彼も何度も挫折を経験していますが、彼の根本はずっと同じだったと思います。言ってしまえば、最初から完成された人格。しかし、彼も変化を恐れません。
ただ一人、変化を自分に許せなかったのが雷東宝ではないでしょうか?彼は、どんどんと重荷を風船のように膨らませ、村人たちの期待を裏切るまいと虚勢を張り続けた雷東宝が、自分一人の力の限界を知ったのは一番の後になります。
まさに「大江大河」の時の流れの中で、彼らの人生も流れてきました。そして、この第3季にだけ「歳月如歌」と続いているのは、彼らの人生を振り返ってのことばと響きました。
ラスト近く、緑の山の上を白い紙飛行機が飛んでいきます。それはまさに第1季で明るい未来への夢でいっぱいの宋雲輝の前に飛んで行ったあの紙飛行機でしょうか。ドラマの締めくくりの見事さ、そういう種類のドラマ展開でもないのになぜか爽快感を感じる視聴後となりました。
さて、今回視聴分もざっと・・・
楊巡は、ようやく任遐邇と結婚し、子どもにも恵まれました。この楊巡と任遐邇の結婚式は、伝統的なプロセスで進められますが、新嫁を迎えに来て「いれてやらないよ~」と友人たちから邪魔される楊巡の幸せいっぱいの表情が印象的です。ほんとにこの董子健という俳優さん、ごく自然体で感情を表してくるので、見てる方も彼の感情に同調してしまってまいりました。この結婚式、このドラマで一番なんのこだわりもなく喜べたシーンかもしれません。
楊巡と任遐邇は仕事の上でもよいパートナーとなっていくはずです。
宋雲輝たちは触媒の開発に成功し、ローダとの関係に暗雲が立ち込めてきます。それに企業トップとして立ち向かう彼にアドヴァイスを与えたのが、妻となった梁思申の祖父です。彼は身内の誰よりも梁思申と宋雲輝の理解者なのですが、アメリカと中国を舞台にした凄腕の事業家であるようです。彼は自分の跡継ぎに梁思申を指名します。この二人はそれぞれが独立した事業家なんでしょうね。
無事に結婚できたのはめでたいですが、どうにも宋雲輝に「駙馬ですかね?」と突っ込みたくなってしまうのですよ。
しかし、ダンディな美爺ですね~
前回から、引っかかっている雷東宝と韋春紅の関係ですが、結局韋春紅は彼が連れてきた赤ん坊を受け入れ、また夫婦関係が復活しています。雷東宝に都合のいい話ですけどね~なんかむかつく。
その一方で、彼の事業は破綻をしてきます。これまで村の教育費や老人たちへの保険金、結婚祝いまですべて負担してきたのも今では無理になってきます。さんざん彼と彼の会社のおかげだと持ち上げてきた村人たちですが、一旦金が途絶えるとたちまち態度を一変、彼の母をつるし上げたり、集団で会社に押しかけたりします。
この小雷村の村人たちというは最初から、そういうところがあるんですね。そうさせてきたのは、すでに資金繰りが難しくなってもいい顔を見せ続けていた雷東宝自身です。
楊巡の母が彼のために借金をしていた隣人たちも同じですが、こういう民衆の見せる恐ろしさもきっちり描かれていました。
第2季では宋雲輝は企業の中での不条理と戦っていましたが、その時の幹部たちは今回ほとんど姿を見せません。すでに引退したのでしょうか?トップの椅子に座った宋雲輝の前に立ちふさがることはなくて、ちょっと拍子抜けしました。
女性キャラの中で、梁思申だけが主役扱いになっているのは、彼女が最初から登場しているというだけでなく、企業家としての立ち位置を持っているからだと思います。
時代背景もあるわけですが、やっぱり女性キャラについては「どうなの?」と思うところもあります。それでも、多くのキャラが自分たちの仕事に誇りを持ち、自らのキャリアを築いています。
性別や立ち位置に関わらず、他人に依存していたり、自分の力で生き抜こうとしないキャラには冷たいストーリ展開なのはしかたないです。雷正明や史紅偉たちがカリスマ的な雷東宝の呪縛から逃れて経営者として自立していく兆しを見せてきます。ようやく小雷村も独り立ちでしょうか?
なんにしても2019年1月に最初のドラマを見始めてから、5年間、次はどんな展開になるのかとワクワクしながらドラマを楽しむことができました。
これだけ長期間だと俳優陣が入れ替わったり、失礼ながら年齢的な変化もあったりするのですが、そこに違和感はありませんでした。むしろ、大げさなメイクをすることなく、確実に年齢を重ねている登場人物たちを見せてくれたのに感心しました。変わってないようで、変わっているのですよね。
やっぱり正午陽光の作品は楽しみに待ってる値打ちがありました。
演 員 角色
王 凯 飾 宋运辉
杨 烁 飾 雷东宝
董子健 飾 杨巡
杨采钰 飾 梁思申
张佳宁 飾 任遐迩
练 练 飾 韦春红
林栋甫 飾 梁外公
房子斌 飾 宫新鸣
王 宏 飾 雷士根
田 雷 飾 史红伟
宋家腾 飾 四宝
鞠帛展 飾 四眼
卜宇鑫 飾 老五
胡耘豪 飾 雷正明
赵 达 飾 寻建祥
霍 青 飾 马保平
吴其江 飾 陈平原
齐 奎 飾 韩则刚
郝 光 飾 周司长
焦 刚 飾 高祥荣
梁 超 飾 申宝田
刘 伟 飾 姚宝林
张昊唯 飾 李今
刘 同 飾 杜斌
左凌峰 飾 王鹏
郝鹏飞 飾 钱伟星
李 倩 飾 许淑秀
李 超 飾 梁凡
师悦玲 飾 梁母
钱 洁 飾 宋母
李克伟 飾 雷忠富
陈小妹 飾 雷忠富媳妇
李宝安 飾 宋季山
马凡丁 飾 杨逦
石云鹏 飾 杨速
王艺荻 飾 冯欣欣
出品人 薛继军、侯鸿亮、龚宇
制作人 马骏、杨蓓、侯鸿亮
监 制 梁红、夏晓辉、李化冰、王晓晖
原 著 阿耐
导 演 孔笙、孙墨龙 、刘洪源
编 剧 唐尧、马骋怡、子君、黄凯文、巩向东
配 乐 董颖达
美术设计 邵昌勇 、朱寒冰
造型设计 刘宁、梁海漫
服装设计 张瑶
视觉特效 孔歌子