江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

歌舞伎「新・水滸伝」

歌舞伎「新・水滸伝」 見てきました

 久しぶりの歌舞伎観劇でした。
 歌舞伎は嫌いじゃなくて、むしろ好きな方なんだけど、あんまり生の舞台を見る機会がないもので、2年ぶりくらいになります。私が思うに、歌舞伎というのは、江戸時代になんでも貪欲に取り込んで作り上げてきた民衆の娯楽そのもの。市川猿之助が初めたスーパー歌舞伎はそのころのエネルギーを彷彿とさせるものがあります。
 
 新・水滸伝といっても、一部の名前と梁山泊という背景を借りただけで、まったくのオリジナルと言ったほうが話にはいりやすいかもしれません。
 何しろ、冒頭でいきなり捉えられた林冲を救いに梁山泊大親晁蓋たちが大活躍。そのうち梁山泊においでと言われた林冲は、梁山泊を尋ねる。晁蓋たちは留守で、そこを仕切っているのは女親分姫虎にお夜叉という女二人。どうもこのふたり、顧大嫂と孫二娘らしいのですが・・・
 そこへ隣の祝家荘の祝彪が攻めてくる。その中にいた祝彪の婚約者扈三娘に王英が一目惚れって話はそのままです。
 ただ、扈三娘も青華という名前で呼ばれています。
 
 108人の梁山泊メンバーのうち、10人くらいしか出てきてないんですが、キャラが立ってるのは、彼らの他に李逵、戴宗、花栄ぐらい。宋江楊志も一応名乗りはあるんですが、キャラはたってない。宋江なんか出てきて、衣装がかわったら、公孫勝と見分けがつかなくなってしまった。私はなんもできませんと、尻込みばかりして、始終そろばんを弾いているという小役人キャラ。きっと脚本書いた人は宋江が好みじゃなかったんだろうw
 
 最後は、梁山泊に攻めてきた高俅率いる朝廷の軍と祝家荘の軍を、林冲が指揮する梁山泊軍がさんざんに打ち破って、これからもみんなでがんばるぞ~で、幕。
 
 水滸伝を元ネタに現代的価値観やら大掛かりな舞台装置やらで、スピーディーなわかりやすいエンターテインメントにしあがってました。歌舞伎だからと身構えるような必要なしのとにかく楽しめる舞台。
 後ろの方の席だったんですが、花道すぐ横の通路沿いだったので、役者さんたちが風のように走り抜けたり、真横で立ち回りしたりって、生の舞台ならではの楽しみがありました。
 
 主役の林冲市川右近。台詞回しがすっきりしていて、英雄らしさ全開。その代わりといっちゃなんですが、元ネタ水滸伝林冲が引きずっていた暗い部分が最後まで来るとすっかり払拭されて、歌舞伎的イイ男の英雄そのものが完成。
 
 もうひと組の主役は王英と青華で、こちらは婚約者の祝彪から纏足をしていないことを理由にねちねちいびられる青華を、あなたはそのままで美しいとベタ惚れの王英の言葉が因習から解放し、自立した人間として梁山泊に加わるというお話。市川笑也の青華はとてもかわいくて、健気でりりしい。
 
 芝居を見た後て、せっかく都会に出てきたんだからと映画館にも行って「画皮2」も見てきました。やっぱり大画面でみるといいよね。けど、この芝居も映画も、元ネタとははるかにかけ離れてところに行っちゃってるって点では変わりはなかったというオチがついた日曜日でした。
 
 ところで
 お芝居のラスト、役者さんたちがずらっと舞台にならんで、包拳の礼~ってのは楽しかったんですが・・・左手をグーにして、右手で包むんでしたよね。(女性は反対とかも聞いたことあるような?)いや、その左手、手首を伸ばして水平にしてたんで、あれっと思った。中華ドラマじゃ手首を曲げて、グーを立てて、パーの手を重ねてません?まあ、中華ドラマじゃないんでどうでもいいことですが、なんかつまらないことほど気になる性格なんです。