11~41集
さくっと見終わりました。
内容は、趙氏孤児案というタイトルだけあって41集のすべてが、どのようにして事件が起こったかというところから、趙氏一族抹殺事件当日、その後程嬰が自分の子どもを殺すことになった顛末、事件後の生き方、復讐をどう果たしたのか、そしてその後・・・と丁寧に20年間が描かれていました。
登場人物も、前半ではなぜ趙朔は殺されることになったのかが、主に程嬰の目線から描かれます。屠岸賈だけでなく、国王が彼に対して持っていた劣等感が強調されていました。このドラマでは、趙家と程家だけでなく、屠岸賈にも同じ時に男の子が生まれてきたことで、中盤以降の話に広がりも出ています
伝統的な物語の主人公たちに、その夫人たちや周りの人々、息子たちなどを含めて、彼らの心情にしっかりと切り込んでいるので、自分の息子を犠牲にして主君の息子を助け、敵討ちをさせたという話に、現代的な価値観がもたらされた感じですね。
後半では、屠岸賈を殺して「やった!」で終わるのではなく、それから趙武はどうしてか、程嬰はどうしたかという話が続きます。
程大業として育てられた趙武が自分こそが趙氏孤児だと知る場面では、結構盛り上がるようなBGMも登場しましたが、音楽の割にはここからワ~~ッと仇を討ちにかかるというわけでもなく、共に育ってきた屠無姜との友情との間で悩み、どっと盛り上がるというわけでもありません。
むしろ趙武の母親庄姫が、何度も程嬰を殺そうとした挙句に、実は・・・ということに気づいていくあたりの方がドラマチックだった気もします。
戦闘場面は何度か出てきたし、趙武と屠無姜の恋も描かれるし、何より権力闘争もテーマです。でも、このドラマがメインテーマとして描いているのは、人と人とのかかわり、夫婦の情であったり、仇敵同士の腹の探り合いだったり・・・だと思います。
それに、内にあっては子煩悩な人間が外では町中の嬰児を殺せと命じたり、温和な人物が心底にたぎるような復讐心を持ち続けていたり、という人間の二面性がテーマになってる。
程大業=趙武だけでなく、登場する人間のほとんどが何かの二面性を持っているというのもこのドラマの特徴なんだと思います。
俳優陣も、細かい心理描写にきっちり取り組んでいて好印象。張紀中版鹿鼎記以来あんまり芸達者でもないというイメージだった應采儿が結構好演してるんで見直しましたわ。
琅琊榜や武侠ドラマの復讐劇に比べると舞台劇のような(当たり前か)趣きで、蒙大哥のようなほのぼのキャラもいなければ、視聴者を一息つかせてくれる場面もないんで、誰にでもお薦めというわけにはいかないと思います。でも、これは確かにおもしろいドラマでした。
で、2015年の中華電視劇視聴締めくくりです。
といっても、今夜は他来了があるはずなんで、2016年トップはこれになる予定。
この調子じゃ、今年同様来年も中華電視劇に振り回されそうな予感がします。
ということで、来年もよろしく。
演職員表
角色 演員 配音
程 嬰 呉秀波
屠岸賈 孫淳
庄 姫 應采儿 李世栄
趙 武 王雨
晋景公 鄭昊
韓 厥 一真
公孫忤臼 張譯文
到 満 侯長栄
趙 朔 姫他
宋 香 練束梅
冉 白 李海兵
离 楼 徐衛
孟 姜 徐露
屠岸无姜 高旭陽
湘 霊 戦菁一
草 儿 郭暁婷
医 緩 周野芒
石 言 包海龍
制作人 鄧涛
監制 韓群、汪恒
導演 閻建鋼
編劇 陳文貴