江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

大江大河 その2

11~20集

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 小雷家の書記になって村を豊かにしようとして権益と権力争いに巻き込まれた雷東宝に、社会人となったとたん早速権力争いに巻き込まれた宋運輝を描いている今回視聴分。
 
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 宋運萍と結婚した雷東宝、小雷家の書記として村を豊かにしようと張り切っています。
 統一価格より高額で仕入れをしたり、休暇も返上して生産を続けたりして生産を挙げている小雷家に対して、物資を不正に流用しているのではないかと県の調査が入ることになる。
 
 この裏にいるのは老猢狲という人物。彼は宋運輝達の進学を邪魔した典型的弱い者いじめの小役人だったのですが、雷東宝が書記になって以来、大きな顔ができなくなり、鬱屈している。この彼が甥を使って、雷東宝が不正をしていない証拠の帳簿を持ち出させて焼き棄てたりして、雷東宝を追い落とそうとします。
 
 県の招待所に収監された雷東宝は罪を認めるように迫られますが、徹底して拒否。ちょうど休暇で戻ってきた宋運輝も一緒になって姐夫の無実を証明しようとします。
 雷東宝の処置をどうするかは自分たちの権益を守りたい地方幹部と、さらに上部との間で思惑の違いがあったが、結局は上の指示通り雷東宝は解放される。
 このあたりのやり取りが、長いものには巻かれろ的にあっさり描かれて力関係のいやらしさが浮かび上がっています。
 
 その後も県のレンガ工場との競争とか兎の毛が買い取ってもらえなかったり、建築に必要な鉄筋をまわしてもらえなかったり県との間での軋轢が続きますが、小雷家では直接上海に兎の毛を売るなどして生産を維持、ついには県のレンガ工場を生産停止に追い込む。
 
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 一方大学の卒業を迎えた宋運輝はトップの成績を収め、金州化工への推薦が確実と思われていたが、それを同室だった虞山卿にとられてしまう。しかし、これに憤った雷東宝が徐県長に働きかけたことで、徐県長が金州化工トップの水書記に宋運輝を依頼、別枠で就職が決まります。
 金州化工のトップ水書記のお声がかりでやってきたと宋運輝は注目の的。しかし、そのせいで体制の改造によって水書記の立場が弱体化すると宋運輝は同時に入社した大卒者の中でただ一人現場作業に配置される。
 
 そこで工場の中を調べ、小さな故障も徹底して修理をさせることで目覚ましい成果を上げますが、現場の仲間たちは喜んでも幹部たちはおもしろくない。さらにそれが上の目に留まったとなるとなおさらおもしろくなく、さらに新しい技術を持ち込もうと働きかける宋運輝に嫌がらせを仕掛けてきます。
 
 この金州化工の場面を見てると「大学」卒ということがすごい重みをもってるし、その中でも親がOBとかだとひいきされて当然という見方。さらにいろんな形で情実が働く。
 この時代になっても古装劇の科挙合格とか官僚の家系とかと同じような響きですが、それよりさらに40年たってもOBの子どもをひいきしてたり、女性差別入試をやってる国もあるわけですから、病の根は深いです。
 
 ここで新しく登場した工場の人達、すべてを仕切ってきたが引退を目前にした水書記、一工員なのだが工場内に顔が利くわがまま「番長」的工人尋建祥とかも皆一癖あっておもしろいキャラでした。大学以来の付き合いで「友人」ではありながら、宋運輝の能力に嫉妬する虞山卿もおもしろいキャラです。中の人趙陽は少年包青天Ⅲで演じた包拯に嫉妬する公孫策を彷彿とさせますが、この後どっちに転がるんでしょうかね。
 
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 雷東宝の小雷家は貧しい村がこれまで商売を一手に握ってた県関係の嫌がらせに遭いながらも、それを迂回することで次々と商売を成功させ順風満帆。しかし、相変わらずひねくれた老猢狲の動きが怪しげだが、これも村のために役立てようとする雷東宝
 それを危ぶんでいる宋運萍。
 彼女の妊娠を知って雷東宝大喜び。息子か娘かという話に一人っ子政策の話題も登場しました。
 
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 現時点で二人の対照的な主人公のうち、雷東宝は貧しい村に生まれ、教育も十分受けていないがとにかくアイデアマンで人を引き付ける行動力と誠実さのある兄貴分的リーダー。宋運輝は同じように貧しい反革命家庭の出身だが、持ち前の聡明さに加え、大学で学んだことで一流の知識を身に着け、それを実際に生かしていくことで周囲の信頼を得てきている。
 しかし、彼らがこうやって伸びてくると、嫉妬や反発も招くことになる。雷東宝汚職を疑われたのも、宋運輝が冷遇されたのもそのあらわれですが、まだまだこれから山あり谷ありでしょうね。
 
 このドラマ見る前、改革開放40周年ということでいいことばっかり描くのかと思ってましたが、もちろんそういう側面もありますが、決してそれだけではないですね。中央と地方さらにそのまた下の組織間の力関係、意識の違い、相反する利益、対立、そこから生まれる対立、弱者へのしわ寄せ、そこで権力をふるおうとする人間たちの姿がちゃんと描写されています。
 
 いいことばかりではない現実を皆が見てきた時代が舞台。それをどう描いているのかが楽しみでもあり、不安でもあったんですが、主人公たち個人の成長や生活と社会や政治の動きがリンクしながら見ごたえのあるドラマになっています。
 
 ということで、20/47見終わってしまいました。
 
追記:ご指摘をいただいたので、宋運輝の就職に関わる部分を修正しました。ありがとうございました。