江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

大明風華 その2

16~37集

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 孫若微と胡善祥が姉妹としての再会を果たし、胡善祥は養母の止めるのも聞かず太孫妃に立候補というところから視聴再開。うっとうしい話になったらいやだな~で足踏みしてました。頭の中には、二人目の后が押しかけてきて最初の后が難儀する「秀麗江山之長歌行」とかが脳内に浮かんできてました。
 幸い?このドラマはそんな風な展開はしなかったし、思っていた以上に皇帝の座をめぐる頭脳戦が展開され、たっぷりと楽しく見ることができています。

 結局、歴史もののドラマをどういう風に楽しむかって話なんです。例えば、日本で「太閤記」とか「義経記」なんかを題材にドラマを作れば、視聴者はほぼ確実に登場人物たちの行く末を知ってる。それを知ったうえで、どう話を組み立て、キャラを掘り下げ、ドラマを深め、そして視聴者に見る楽しみを与えられるかと工夫がされていると思うのです。
 「大明風華」は、明朝初期の歴史がテーマ。この王朝の歴史には詳しくない人間ですが、ちょっと手持ちの本をめくれば、胡善祥は宣徳帝朱瞻基の廃された皇后で孫若微はその後の皇后であるとか、宣徳帝の父朱高熾は帝位について一年も経たないうちに崩御したとか、永楽帝の次男と三男である漢王と趙王が甥の朱瞻基即位に反乱を起こしたとか、すぐに出てきます。

 すると、孫若微と胡善祥は太孫妃の地位をどう折り合い付けたのか?姉妹である以上仲良くやってたのか、姉妹にもかかわらずドロネバ宮廷ドラマを繰り広げたのかと気になります。こういう「あの時どうだったのか」とか「裏では何があったんだろう」と想像をたくましくできるところを上手に取り上げてドラマ化しているのがうれしい。歴史を改ざんするなという指導が出てる中なので、例えば漢王が天下をとっちゃうというような話にはならないのですが、史実の隙間をうまく埋めていってる感じが職人だな~と感心してます。
 登場するキャラも誰が善とか悪とか、有能か無能かという一面的な解釈ではなく、多様な側面を持つ人々がそれぞれの価値観や思いに従って動き、能力を発揮してます。相当暗く陰惨な歴史背景のドラマなのに、永楽帝一家の人となりとか台詞、画面にユーモアが含まれ、決して視聴者に重苦しさを感じさせないところにも好感がもてます。例えば、こんなアングルw

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 何より、心配したような後宮いじめドラマにならなかったのがうれしい私w

 

 このドラマでは、孫若微と朱瞻基がもともと恋仲、そこに割り込む胡善祥ということになります。漢王に凌辱された代償として太孫妃の候補となるための推薦状を手に入れた胡善祥、不本意ながら兵権も金も持っている漢王をスルーするわけにもいかず、胡善祥が太孫妃、孫若微が太孫嬪ということになります。
 だからといって、姉妹の仲は変わらず良好。

 太子朱高熾の体調が優れない中、孫若微は太子の傍らで代筆をしたり、政治を学んでいく。

 永楽帝朱棣は軍を率いて、北方に遠征。その途中で戦没。

 この時、永楽帝には漢王、趙王、太孫が同行。南京から遷都した北京には太子がいるわけですが、永楽帝の死期も遠くない、戦いは泥沼化、その上太子も死期が迫っている。という状況で、永楽帝が死んだら誰が皇帝になるのかと、皆の思惑が一斉に活性化。

 ここらへんからの駆け引きがとっても見ごたえがありました。漢王と戦っては勝てないと漢王を皇帝に指名し、太子一家を守るという永楽帝の考えを知って、そうはさせぬと朱瞻基が楊士奇や于謙と計らって、徹底的に永楽帝の死を隠す。
 
 朱高熾の即位、永楽帝の葬儀から漢王の反乱と戦闘シーンだけではない暗闘、頭脳戦が展開。この手のドラマ大好き人間には、堪えられませんね~でも、簡単にまとめたりできないので細かい説明は省くのです。

 殺される前に殺してしまえと畳みかけるように手を打っていく朱瞻基ですが、漢王サイドの動きも早いし、父がそれを許さず失敗。戦争状態に突入しますが、とにかく戦闘においては朱瞻基は叔父たちにかなわないのです。

 一年も経たぬうちに洪熙帝朱高熾がなくなり、朱瞻基が皇帝になります。でも、このあたりテロップで処理。

 何しろ、帝位をめぐる戦いは真っ最中。

 ところが・・・すべてを見通して手を打っていた父洪熙帝朱高熾の策が功を奏して、朱瞻基は漢王たちを下し、帝位を確実なものにすることに成功します。ほとんど病床に付したままだった父は皇帝になりたい息子のために何をしたのか・・・お人好しで真面目な平和主義者で弟たちにも息子にも軽んじられていた朱高熾の本領が死後にあらわになります。ここで中の人が梁冠華だったのがじわりと来ました。

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 そして、朱瞻基の子を懐妊していた胡善祥が流産・・・さあ、どうするというところまで来ました。

 仲の良い姉妹なのになぜ胡善祥が皇后の地位を追われることになるのかとか、永楽帝の死前後の関係者一同の思惑とか「歴史」ではなく「ドラマ」としてのストーリ展開が楽しかったです。史実は史実として、物語はおもしろいほど歓迎です。

 ドラマの30集くらいで朱瞻基即位かな?と思ってましたが、結構話数がかかりました。明朝は名君は早死に、暗君ほど延々と・・・と言われます。朱瞻基も即位後10年で崩御してますから、名君になる?

 で、この後、孫若微が無双するのでしょうか?

 

 ところで、このドラマ、結構戦争シーンが多いのです。それも馬も人もかなりたくさん動員してます。
 これは馬や乗馬に詳しい方からは否定されるかもしれないのですが、私の眼には俳優さんたちがきちんと馬に乗ってるし、扱いもうまいと見える。それに、変な言い方ですが、馬の写し方がうまいように思うのです。戦馬の迫力とか草原を駆けていくスピード感とか、最近見たどのドラマよりも厚みがあって目が離せませんでした。これから土木の変も控えてるので、また迫力のある馬の姿が見られそうで楽しみだったりします。

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