風雲戦国之列国
見るものいっぱい!とか言っていたのに、全くのダークホースにはまってしまいました。よくあることではありますw
ドラマというより再現ドラマで構成したドキュメンタリという作りでしょうか? 戦国七雄の勃興を描いた全7集のシリーズ。一つの国に1時間数分ずつで合計7本、約7時間というコンパクトさで、あっという間に見終わりました。
この時代を取り上げたシリーズというと「東周列国」を中華ドラマにはまった当時に見ました。それに比べると、もっとドラマ性が少なくて、どの国も平等に一時間にまとめられ、情緒的な描写はほぼ省かれています。羋八子や趙姫も登場しますが、歴史の一コマ、こんなことがありまして~程度で実にあっさり。
そりゃまあ、それぞれの国が興るところから秦に滅ぼされるまでを一時間で描くんですから、いちいちネバネバ恋愛ドラマだの不倫ドラマだのやってられないです。
というようなシリーズなのに、実におもしろかったんですよね~
全7集の内訳はこうなってます。サブタイトルがけっこう核心ついてるのです。
第1集 燕国篇:燕过无痕
第2集 赵国篇:烈乱之国
第3集 楚国篇:贵族之殇
第4集 韩国篇:权术的代价
第5集 魏国篇:士人的魔咒
第6集 齐国篇:绥靖之谜
第7集 秦国篇:为什么是秦
この7つの国の歴史の中でポイントとなる事績や人物を抑えてるのは当然ですが、このサブタイトルでもわかるように各国の特徴をよく捉え、なぜ栄え、滅びていったのかがよくわかるように作られています。
特に原作はないようで、「戦国策」や「呂氏春秋」、司馬遷の「史記」等を下敷きにしたオリジナル脚本。当時の各国の関係を示す地図が始終出てくるので助かりました。ドキュメンタリ風ではあるんですが、現地を訪ねたり、当時の文物を紹介することはなくて、短いドラマ仕立てのエピソードを重ねていくスタイルです。そこから、各国の気風の違い、権力構造の違いが浮き彫りにされていきます。コンパクトにまとめられているので、かえって相違点が目立つというか比較しやすいのです。
登場する俳優陣は名前を聞いた覚えがない人ばかりなんですが、演技はしっかりしてる。ポイントになる人物だけは著名な俳優を配置、于栄光や王勁松も登場しました。彼らがまた濃い演技をするんですよ。喻恩泰は「武林外伝」の呂秀才イメージがあって、「大秦帝国」でも何かかわいげのある張儀を演じてたんですが、ここでは厳格な変法者としての商鞅を演じています。于栄光も李立群も悲惨な最期を迎えた国王を演じてるのですが、これでもかと迫ってきました。登場時間がそれぞれごく短いので腕の見せどころ的な感覚もあるんでしょうか? 各エピソードは独立しているようで、統一感があります。例えば魏と秦のエピソードに出てくる商鞅は共に喻恩泰が演じていて不必要に俳優を変えないこともそう感じる一つです。
タイトルの映像や全体の雰囲気は何かのドラマというより、「国家宝蔵」とか「舌尖上的中国」のようなナレーションで進めていくドキュメンタリに相通じるものを感じます。
そして、とにかくおもしろいんですよね。ちょっとお試ししたら、私の嗜好にドはまり!「将夜」だの「絶代双驕」だの見なきゃと思ってたの、すべて放り出して一気に見てしまいました。
余談ですが、この撮影、主に象山影視城と横店影視城で行われたようでもう見慣れた風景が続出。エピソードが変わると舞台になる国も交代。でも、どの国の宮殿も「靖王府」だったり、あの「飛流が出てきたまっすぐな道」だったりするのです。「刺客列伝」程の低予算ドラマではないと見たんですが、これもけっこう低予算かもしれないw 「靖王府」の風景を楽しみたい人にもおすすめかもしれないw
靖王府に言侯がいる~とかで理由なく盛り上がってた琅琊榜迷もここに。
もう一つ、余談中の余談。最後の秦国のエピソードは始皇帝が各国を平定するまでが描かれてます。(その後はなしです)
で、この始皇帝嬴政の造形・・・色黒で目をぎょろっとする演技とか下の「尋秦記」の林峯版そっくりで吹き出してしまった。気のせい?
歴史に詳しい人たちからはいろいろミスも指摘されているようですが、私のような素人には「入門編」として十分役に立つし、何よりドラマがおもしろくてあれこれ考える暇もなくクリア。
今年は、早々から「慶余年」「唐人街探案」と二つ佳作に出会ったと喜んでたんですが、2月もまだ初旬というのにもう三つ目と出会えました。
演員
海一天 飾 申不害
于荣光 飾 赵武灵王
郑则仕 飾 魏文侯
林永健 飾 楚怀王
王劲松 飾 燕昭王
李立群 飾 齐缗王
喻恩泰 飾 商鞅
職員
編劇・導演 金铁木