江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

覚醒年代 その1

1~15集

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 中華古装劇に見たいのが来ない~と嘆いていたら、こちらを薦められました。

 私、古装劇迷なんですけどね~武侠迷が本業で、最近の新作に多い甘やかなラブコメとか、ねっとりした愛憎劇とかがどうにも苦手で、たまに見るとおもしろいものが全くないわけではないんですが、連続してみる根気と勇気と元気がない。

 それよりはずっしりした歴史劇とか政治闘争劇なんかの方がまだ敷居が低いんですよね~とはいえ、辛亥革命後の民初の時代にはほとんどなじみがないんで、ついていけるか不安。

 けど、まずは3分の1くらい見たわけですが、今のところ視聴意欲も途切れないし、十分続きを楽しみにして見ています。


 20世紀の初めに中国で起こった新文化運動、「新青年」、魯迅とか胡適の名前は知っていたし、学生時代に魯迅の「狂人日記」とか「阿Q正伝」くらいは読んだ記憶もあります。

 けど、今回のドラマの主人公陳独秀とか李大釗、蔡元培になると、今回初めて名前を覚えたという程度の知識レベル。

 

 もっとも今回「阿Q正伝」再読していたら、陳独秀の名前も出てきて、本というものは何度読んでも新しい発見のあるものです。

 ドラマは、陳独秀と李大釗が早稲田大学で出会うところから始まります。そこから舞台は上海、北京へと移っていきます。

 

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 登場してくる人々は実在の人物がほとんどと思われますが、とにかくキャラが立っている。

 陳独秀袁世凱と相いれずに日本へ亡命していたのですが、家族は置き去りにされてしまう。激しく憤る長男と次男は父親の思想には敬意を払うが「父」としては認めない。

 李大釗は家族の生活を顧みることなく給料をすべて施してしまう。

 こういう「革命家」とその家族の話がドラマの中で浮くことも、バランスよく取り込まれています。

 1917年、蔡元培に招かれた陳独秀新青年ごと移っていった北京大学、北大は、また多士済々。

 陳独秀や李大釗らの改革派とあくまでも大清帝国に忠誠を尽くす、中国の伝統文化を守るという保皇派が対立しています。

 この蔡元培が学長となって北大改革を進めている中、無能なイギリス人教授を解雇しようとしてイギリス政府から難癖付けられると、対立する教授たちが共に交渉に臨むとか話が対外ということになると協力し合うわけです。

 保皇派の老教授辜鸿铭は、すでに学生たちの嘲笑の対象になってる辮髪を誇り、どこへ行くにも従者二人を従えている。この頑固一徹な老教授、実はイギリスやドイツ、フランスにも留学し、外国語にも堪能、決してただ頑迷なわけではない。こういう人物の描写は絶妙です。
 なかなか込み入った人物で、今のところ一番の注目キャラ。とか言うと、怒られそうですw

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 ドラマは周樹人が魯迅の筆名で口語文による「狂人日記」を発表、注目を浴びるところまで進みました。

 この「狂人日記」も読み返しましたが、日本語で読むと当時の中国に衝撃を与えた口語体による小説ということが今一実感できなかったのが、ドラマに出てきた中国語だと迫るものがありました。仕方のないこととはいえ、翻訳の限界でしょうか?

 新青年、北大を中心とした新文化運動のドラマを見るのも興味深い。これまでこのあたりをメインに展開するドラマも映画も見たことがないので、新鮮でもあります。あくまでもドラマと映画なのが、中華ドラマ迷w

 

 特に興味深く見ていたのは、北大の教授会でも講義の場面、新青年の会議なんかでも、まず立って深く礼をして発言するというあたり。こういうのは新文化運動が批判した儒教から由来する士大夫の礼なんじゃないですかね~などと生半可な知識で突っ込んでました。真偽のほどは全く知らない💦

 そして、蔡元培たち新文化運動を進める人物たちが決して保皇派の辜鴻銘たちを排除しようとはしない、議論をしようという、そして彼らの発言権を否定せず、大いに議論する。「私は君の意見には反対だが、君が主張する権利は命がけで保証する」と言ったのはヴォルテールでしたか?そういう精神がこの時代には生きていたんだな~とあちらを見てもこちらを見ても思わずにはいられなかった今日この頃。

 

 演員的には、陳独秀に「軍師聯盟」の曹操他でおなじみの于和偉、胡適の朱剛日尭は「孔子春秋」の孔子、辜鴻銘の畢彦君は「琅琊榜之風起長林」の荀白水、毛沢東の侯京健は毛沢東をたくさん演じてますが張紀中制作の「鹿鼎記」の楊溢之が記憶に残っています。どのキャラも一癖ある感じで、なかなか興味深い顔ぶれになっています。

 ということで、現在このドラマ中心に、あちこちで見つかるネット映画、TwitterのTLにつられて「慶余年」やら「陳情令」なんかをつまみ見しているところです。

 なんか私向きのドラマこないかな~