江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

雲襄伝 その2

10~19集

 

 2021年版「天龍八部」の日本での放送が始まって、武侠ドラマへの注目が増えればいいな~と思う今日この頃。

 こちらも「江湖奇謀武侠劇」ということで「武侠ドラマ」の範囲でしょうか?主人公が武芸ができないとかちょっと「王道」を外しているようで、けっこう「王道」をのし歩いている気もします。

 

 今回視聴分は前回に続いて、戚天風と蘇家の生糸を巡る争いがまず描かれます。

 王勁松の戚天風は圧はすごいけど、ドラマの位置づけでは中ボスの「下」といったところでしょうか?ゼロからスタートして漕帮の帮主となった彼はさらに力を伸ばしたいと地元のボス唐笑の力を借りて、蘇家の商売を妨害するのですが・・・

 

 最近中華サイトでは陳暁の演じる主人公雲襄を「琅琊榜」の梅長蘇と並べて比較している書き込みも見かけます。確かに一族の仇を討とうとしている、武芸ができない、策謀と陰謀をめぐらし、周囲の人間を動かして事態を動かしていくあたりは同じ。側にいるのが武芸の達人の女侠舒亜男と武芸の達人だけど人のいい金彪というのも、霓鳳郡主と蒙大哥を思い出させます。でも、全体から受けるイメージはずいぶん違います。何しろ彼には未来がある・・・

 

 雲襄が戦いの舞台としたのは戚天風との闘いは生糸商売、さらに戚天風の背後にいた唐笑との闘いは賭坊で展開します。武芸者たちの闘いも十分に見せてくれますが、それがメインというわけではない。武林の秘伝書とかではなく、明確に金銭を巡って戦い、敗者は莫大な損失を出し、一敗地に塗れることになります。

 雲襄が死地の中に生きる道を見出すという戦いを繰り広げる一方で、売り飛ばされた孤児たちを探す話とか賤籍からの解放を切望する蘇鳴玉の恋人柯夢蘭の話などもメインの話に絡む形で展開していきます。
 
 その柯夢蘭の妹分天胡が東笑に誘拐されて薬で操られるとか、三つの錦嚢をもらうとか、舒亜男・金彪vs唐笑の配下の男女武芸者の一騎打ちとか武侠ドラマでもおなじみの展開もありつつ、唐笑との闘いも雲襄の計略の勝利に終わります。

 

 武芸者にあこがれ、修業はしていたものの初めて戦いの場に臨んだ蘇鳴玉がどう反応し、どう人格を立て直していったのかとかの描写が丁寧にされていたのには好感を持ちました。

 

 ここまででとにかく雲襄の人たらしぶりがあざやかです。といっても、彼にとっては周囲の人間はみな将棋の駒と見抜かれているし、全面的に彼に心服しているわけでもなくて、お手並み拝見から、そっちがこっちを利用するならこっちだって~という向きも多く、簡単な人間関係というわけではないです。

 

 そんな中であっさりといったのが雲襄と舒亜男の関係。「君だ好きだ」「雲台の掟に背くでしょ?」「君の方が大事」ということであっという間に展開、好きだ嫌いだと延々とやってる恋愛ドラマ苦手人間には痛快でした。

 

 ときどき姿を見せないものの登場してきて雲襄に文句を言ったり、雲襄を支援している師兄莫不凡に雲襄を見張れと命じている門主などというのもいるし、まだまだ胡乱な人物が出てくることは確かです。

 ここまでの闘いがこれまで見たこの手のドラマに比べて「金銭」が大きく取り上げられ、ただ「見せ金」的に大きな箱に金やら銀やら詰め込んで見せるというのとは違っています。「那年花開月正圓」などのように、金銭に重さがあって、生臭さを感じさせます。

 

 前半部分を過ぎたわけですが、これから雲襄はさらに一族の仇を求めて、真相を知っている人物を次々にたどっていくはず。どんな人物とどんな場面で対決していくのかが楽しみです。