江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

最近見た映画たち 倭寇的踪迹


 去年日本で一部公開された「刀のアイデンティティー」です、DVDも最近出たということで、またしても焦って中文版鑑賞。どうしてわたしのやることはこうなんだ(´;ω;`)

 でここから先、ネタバレ、ご容赦。

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 この映画、昨年大阪の映画祭で公開された時に見に行きたかった于承恵主演の映画ということと、最近珍しい本格的武侠映画という世間の評判を予備知識として、鑑賞開始。

 見始めたとたん、本格的武侠映画・・・?ほんまかね??
 と、疑問符がぽこぽこぽこ~~

 これ、すごく真面目な感じ、重厚な感じ、本格的武侠映画の顔した武侠コメディじゃないですか?

 舞台は明代、倭寇の害を防いだ戚継光らの次の時代。すでに天下は太平、朝廷の役人たちは手柄を立てるチャンスがないんで、朝廷から鉄の鎧ももらえず、紙製の鎧を着ているような時代。

 武林は四大門派に掌握され、新しい門派を立てるためには彼らの承認を得なければならないという掟ができている。

 そんなときに、街に現れたふたりの男は見たこともない長い直刀を奮って四大門派に挑戦してくる。この二人を倭寇だと考えた四大門派や役人たちは色めきだつ。
 しかし、実はこの二人は戚継光が残した倭寇の刀法に対抗する武芸の継承者で、それを世間に認めてもらおうとしているわけですが・・・うまくいかない。

 こういう映画ですから、武芸を発揮して対決シーンもたっぷり。ちょっと風変わりな感じの武芸ですが、迫力十分で、大満足。

 それに恋愛もパラッとアクセントに。裘冬月@于承恵の若い嫁と実家から付いてきた護衛の浮気、それを知って山に引っ込んでしまっていた裘冬月。倭寇と間違われた梁痕录@宋洋とペルシャからやってきた踊り子の関係。この二つだけ。

 こうやってストーリー紹介してると普通の武侠映画な感じなんです。私も実際に見るまでそう思ってました。

 でも、です。

 なんか説明しにくいんですが、コミカルな場面として用意されていない場面でも、場面場面でじわりと笑えてくるんです。

 笑傲江湖じゃないけれど、武林の盟主やら高手やら、武芸そのものを皮肉っているような場面がいっぱい。
 勘ぐり始めると、場面場面に裏というか行間があるんじゃないかと思えてくる・・・

 ようやく倭寇ではなく、武芸を認めてもらいに来た武芸者だとわかってもらった梁痕录は裘冬月と戦い、勝負には負けたものの四大門派の承認をとりつける。目的を果たした梁痕录は踊り子と共に去っていき、裘冬月もまた山に戻っていく・・・武林の掟がなんだってんだ、門派がなんだってんだ、勝手にすれば~~ですか?

 その証拠がラストシーン。インディ・ジョーンズなんですよ、これが。さんざん苦労して、四大門派から新しい武芸と認められ、その印として刀が宝物庫に収められる・・・で、ドアが閉められ、エンド。

 武林に公式に認められようが認められまいが、そんなことはその武芸の実力には何の関係もないというわけでしょうか。

 ともかく、なんかけったいな感じの鑑賞後感で思わず二回繰り返してみてしまった、なんか変な魅力があるんです。

 間違いなく武侠映画だし、アートシアター系の映画なんでしょうが、おもしろい。興味深いという意味でも、笑えるという意味でも、おもしろい映画でした。


 演員表・・・ちょっとした迷子メモ付き

角色 演員 迷子メモ
裘冬月 于承惠   言うまでもない于爺ですが、真っ白な髪もヒゲも隠し、口ひげを黒く染めて登場。
梁痕录 宋 洋   少年楊家将で二郎。今度の神鵰侠侶で尹志平だそうです。
余么尼(裘夫人)&改娥 趙圓圓
?? 馬君
賽蘭 徐福晶   ペルシャから来た踊り子。
彼女を含めて4人、踊り子の役なのに全然ダンサー体型じゃない。
アテレコだけが「ペルシャなまり」らしいのがけったい。
赣崗 馬可
劉铠 劉哲欣
左偏使 姚未平 二人組の年上の方
蔡? 欧克勤
王? 李桂生
陸? 薄冰
賽梅 米娃・木拉提 ペルシャから踊り子1
賽竹 肖勒娜依・艾尼   2
賽菊 哈斯艶・叶尔肯     3

職員表

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▪ 制作人:李锐
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▪ 編劇:徐浩峰
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