1~16集(大結局)
謎霧劇場の新作。
去年の「沈黙的真相」や「隠微的角落」と同じように張り詰めた空気がピリピリしているドラマですが、その緊張感の内容は全く違います。ドラマ全体を覆っている静かな狂気が目を離させてくれません。
これもまた17年前の連続殺人事件が今に至るまで未解決で登場人物たちに影を落としているという中華ミステリにはよく見る構成。
その17年前に預けられていた親戚の女性夏金蘭を殺された夏木が警官となって海舟市警察署に赴任してきます。捜査チームを率いる冷小兵は17年前に犯人を間近にしながら、拳銃を打つことができずに犯人が逃亡、同僚も殺害されてしまっている。彼らはそれぞれに過去の傷を抱えて生きてきました。
もう一人の主人公、沈雨は精神科医として事件に関わってきます。実は彼女も17年前に突然父親が失踪、事件の犯人が父親ではないのかという疑いを持って生きてきました。
この3人がそれぞれに精神的に追い詰められています。中でも夏木は薬に頼る状態。
追う者たちがどんどん事件に迫っていくのに、誰が犯人なのか最後まで見当がつかないというのは、視聴者に提供される情報も警官たちと同じ条件で出てくるからなのです。ただ、そこで違うのは趙麗頴演じる沈雨が凍り付いたような笑顔の裏で仕組んでいるあれこれ。夏木たちを精神的に追い詰めていく彼女の怖いこと。
メインの事件以外の事件にも取り組んでいますが、なかでも夫を殺したと自首してきた女性曹瑛侠のエピソードがすごかった。どう見ても精神のバランスを壊している彼女が演技なのか、真実の病気なのか、鑑定を依頼された沈雨が、警官たちに尋問内容を指示し、それによってどんどんと曹瑛侠は狂気を見せてくる・・・その彼女を見る沈雨の表情にまたぞっとしました。趙麗頴が前半は可愛い笑顔で人を翻弄し、その一方で悪魔のような表情を見せるというのが見どころの一つでした。後半になるとまた違った顔を見せてくれましたが、ネタバレになりそうなので内緒にしときます。
加えて、曹瑛侠を演じる劉琳の演技がまた背筋が凍る感じでした。同じような話は確かCSIシリーズのどれかで見た気もするのですが、こちらのほうがさらにすごい話だと思いますよ~一見の価値はあります。彼女、「琅琊榜之風起長林」で蕭元啓の母莱阳太夫人で名前を覚えたんですが、目を引く俳優さんですね。
夏木には童子健、登場した時からテンション目いっぱいで、自分も警官になりながらも夏金蘭の事件を解決できなかった警察、犯人を撃てなかった冷小兵への不信は膨れ上がったまま、犯人を見つけたら彼自身が殺してしまいかねない危うさがある。
冷小兵は肖央、「唐人街探案」とか映画の方が記憶に残ってますが、彼もまた個性的な魅力のある俳優さんです。彼は刑事になったその日に事件に遭遇、重案隊を率いるようになった今でも事件を忘れられずにいる。今にも壊れそうな夏木とは違って、ふてぶてしさも身につけたが、やっぱり危うげさをぬぐえない。
夏木の赴任と共に再び事件が動き出し、惨劇が再現され、犯人の姿が見えてきます・・・
演員的には常铖や姚安濂、李光复ら好みのイケおじが顔をそろえています。沈雨のためにPCを操る胡刀刀を王茂蕾が演じてますが、あまりにいつも見る役と雰囲気が違うんでぱっと見誰かわからんかったw
導演が慶余年の孫皓というのも私的にはポイント高かったです。お化けも幽霊も出てこないがうんと怖いドラマを楽しみたい向きにはお薦めです。
角 色 演 員
沈 雨 赵丽颖
冷小兵 肖 央
夏 木 董子健
何伟光 郝 平
陈大明 姚安濂
曹瑛侠 刘 琳
高 鹏 常 铖
沈海洋 李 强
李维一 王 鑫
陈 涵 姜卓君
小 刘 孙绍龙
肖华军 边天扬
夏援朝 李光复
吴超超 周 奇
胡刀刀 王茂蕾
夏金兰 高 露
李 岚 耿 乐
秦局长 常 戎
導 演 孙皓
編 劇 孔优优,陈维涵