江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

熱血神探 その1

1~15集

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 張雨剣と梁洁主演の民国期探案もの。喜劇を見るつもりなんですが、なんか雲いきが怪しくなってきた気がするので、ちょうど半分で一区切り。

 このドラマで一番ユニークで視聴意欲につながったのは時代背景です。清末民初を舞台にしたドラマは他にも見てるんですが、伝令の台詞一つで「革命成功」というのはまずなかったと思う・・・

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 主人公の孔雪笠は留学から帰ったばかりの新任の祥城の捕頭。彼は迷信や神やら妖物やらを操る怪しげな連中とそれに惑わされる民衆を相手に科学知識で事件を解決していく。日本でもそういう設定の推理ものを見かけますし、そう珍しくない設定ではあります。


 その彼とお互いにいきなり一目ぼれしたのが連昇酒楼の老板娘連海萍。

 孔雪笠と共に事件の解決に望むのが法医の方棟。彼は科学ですべてが割り切れるわけではないと考えている。

 彼らの上司である県令陳天官は権力振りかざすくせに小心者で強欲な汚職官僚の典型みたいなもの。

 このあたりを中心に清朝から民国への転換点にある地方都市を舞台に探案ものドラマが展開します。そこに今どきの中華ドラマによく見る弾幕やらアニメやらなんやらもたくさん盛り込んでのドラマ作りがされています。


 孔雪笠と連海萍のいちゃいちゃ、そこに割り込もうとするわがまま金持ち娘、一見怪奇な事件に科学で切り込む孔雪笠と伝統的な価値観から脱却できない祥城の人たち、清朝から革命政府へと音を立てて変わっていく時代に必死にくらいついていこうとする陳天官たち・・・ステロタイプな喜劇場面が前面に出ていますが、同時に笑って見てられない話も展開。

 

 方棟の妻は行方不明になって3年、彼はずっと彼女の行方を捜しています。
 冒頭で孔雪笠がぺしゃんこにしたいかさま道士は意外に大きなバックを持っていて、ずっと孔雪笠たちに絡んできます。これがまた怪しげ。

 当初革命派を探して皆殺しにしろ的な勢いだった陳天官は革命政府が勝利したと聞いた瞬間に日和ってしまいました。ハイテンションでとらえていた孔雪笠の友人の革命派をさっさと解放して同士!兄弟!と言い出す変わり身の早さ。着るものも洋式に替え、辮髪もさっさと切っていますが、中身は何も変わってない強欲な汚職官僚。県令でありながら、阿片窟を経営してたりします。

  政府から阿片窟閉鎖の命令が来て、遠慮なく潰しにかかる孔雪笠。陳天官や彼と結びついて暴利をむさぼっていたグループとの対立が決定的になります。

 孔雪笠が要領よく事態を裁き、とうとう陳天官牢屋の中。ところが、もっと要領のいい陳天官はさっさと県令に復活。しらっと県令と捕頭の関係が続きます。この辺のこだわりなさすぎ設定があほらしすぎて、もう笑いも誘わないくらい。

 けど、この県令、見かけ以上に悪い奴のような・・・

 

 方棟の妻はどこかに売り飛ばされたらしいとか連海萍の兄が死刑にされた恨みを晴らすとかいう次第に姿を見せてきた事件の裏にいる勢力とかの話は別。シビアな話の方はこのままずっと最後まで引きずっていきそうな感じです。

 で、ちょうど半分越すあたりで、孔雪笠の正体とか連海萍との因縁が明らかにされて、喜劇ムードより虐劇ムードの方にバランスが傾いてきた?

 

 祥城へ現れたときの孔雪笠が辮髪がないと人々から怪しまれて、仮髪をぶら下げるとか時代の先を行く孔雪笠と祥城の人たちとの軋轢があったりしましたが、あっという間にみなさん辮髪を切ってしまいました。捕快一同も一瞬で民国風に変身w
 こっちのこだわりのなさは笑えます。

 でも、県令が裁きを行う衙門なんかは前のまま。どんな格好で裁くんだ?と清朝の役人の装束ではまずいだろう?という陳天官とか、時代の移り目ならではのおもしろいエピソードも取り込まれています。

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 孔雪笠の張雨剣は「盛唐幻夜」とか「法医秦明之无声的证词」でも見せたちょっととぼけたキャラがよく似合っています。相手役の連海萍を演じているのは梁洁。彼女と言うと日本でもファンの多い「双世寵妃」の女主小檀ですが、私が見たのは「絶代双驕」の蘇櫻。酒楼の小粋な老板娘にはちょっとキャラが可愛い気もするが、主演二人のバランスは悪くない。

 正直なところ、演員とか話の展開に興味があったというより、時代背景に興味があったのですから、ま、いっか~と視聴継続。