江湖迷人

Yahooブログから引っ越してきた武侠迷のブログです。中華ドラマの古装劇、ミステリ、SF方面を主に取り上げて、感想文を書き連ねてます。ネタバレはしたくはないんですが、ばらし放題になってることも、逆に肝心なことを抜かして何のことかわからないこともあって、あまりあてにはならないので、ご用心ください。

鹿鼎記 その8

vs碧血剣


鹿鼎記を二周り見終わったところで、チャンネルNECO碧血剣の放送を見てるところです。
正直、碧血剣はもう何度も見たし、大好きなんですけど、鹿鼎記と並べるとやっぱりすごく違う。
だいたいが片頭曲からして、ずいぶん違う。

   烽火阵阵起边关 馬蹄声声战鼓响
勇赴国难闯四方 热血满腔
好男儿 心里装天下
为国家 生死两相忘
壮志未酬心不甘 千难万险不能
烽火阵阵起边关 馬蹄声声战鼓响
勇赴国难闯四方 热血满腔
好男儿 心里装天下
为国家 生死两相忘
壮志未酬心不甘 千难万险不能不能

と、国のためなら、命も惜しくはない・・・と愛国心を募らせる「好男児

これに対して、

 怎么忽然就成了这样    只在出生时哭过一场
 我越慌张却越灿烂     倒退着跑到了前方
 怎么忽然就成了这样    该下雨的时候出起了太阳
 老天爷放弃各自的翅膀   那我就安心地说谎
 怎么忽然就成了这样    被上天冲到了天上
 怎么忽然就成了这样    把几辈子的幸运都全部花光
 爱就爱 散就散       不能忘情丝绵绵
 老天对你的好啊       全都用在我的身上
 对也对 错也错       你装的和他们一样
 你躲在世界的外面     愉快的张望
 爱就爱 散就散       只是多了一点点留恋
 给我找一个理由       让昨天回一回头
 对也对 错也错       你装的和他们一样
 你躲在世界的外面     我等你一直到天亮

と、ラブソングにも聞こえるこの曲。韋小寶と康熙が互いに語りかけている歌じゃないかという指摘もネット上でされています。
確かに、どうしてこんな急に変わっちゃったんだ、お前まで他のもののように私をだましてたのかと小寶に問いかけているようにも聞こえます。
鹿鼎記の終わりのほう、対ロシア戦で勝利を収め、条約を手に北京にもどってきた小寶をむかえた康熙は、これからいっしょに国を作っていこうと彼の肩をたたく。たたかれた小宝は、ぞくっと身震いする。寒いのかという康熙。そんな責任には耐えられない、毎日楽しく暮らせればそれでいいと思う小寶。ここが二人の決定的な別れの瞬間。
現実に、小寶が北京を逃げ出したあと、二人の独白が交差するシーンが続くのですが、「いい友達だったじゃないか」「私の気持ちをわかって、喜ばせてくれたじゃないか」という康熙に「あなたがそう願ったからだ」「小玄子が皇帝とわかったときに小桂子もいなくなった」という小寶。
康熙は小寶にともに国づくりをする臣下としての朋友を求め、それに応えてきた小寶。でも、ほんとうのところ韋小寶は康熙以上に広い世界を持っていて、皇帝にはそれが理解できないし、許せない。だから、韋小寶は康熙のもとを去っていくしかない。袁承志だったら、喜んで国づくりを手伝いそうだけど・・・
同じ、金庸作品の張紀中によるドラマ化でもずいぶん違います。原作のせいか、脚本のせいか・・・
イメージ 1金庸作品の主人公たちってけっこう最後に隠遁しちゃうんですけど、袁承志なんかは明というか中国に居場所を見失って出て行ったわけだし、どっちかというとわりと不本意ながらってパタン。けど、韋小寶は違う、国家も政治もどうでもいい、まず自分や周囲の人たちが大事。そういうところに鹿鼎記の魅力を感じるんです。
でもねえ、韋春花が最後に「お前、これからどうするんだい」と聞くのに「俺はまだ二十いくつ、使えきれない金もある。これから何をするか、ゆっくり考えよう」みたいなせりふがあるけど、これだけのことをやった後に、まだ新しいことできるもんだろうか。結局は、家族を大切にするマイホームパパ、韋小寶ということになりそうです。